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聯合艦隊司令長官 山本五十六

今月19日にキム・ジョンイル総書記の死亡が発表され、ビックリしましたが、
朝鮮半島や周辺諸国に思ったほど混乱はなく、少々拍子抜けしました。
あの最悪の独裁者のことだから、どうせ死ぬなら大勢を道連れにするために、
心停止と同時に核弾頭を発射するようにするくらいのことはしてそうだと思ったけど…。
でも、三男のキム・ジョンウンが後継者として最高司令官になるようですが、
あんなゲームオタクのガキでは軍と統制するのは無理だろうという見方が強く、
来年あたり混乱は避けられないんじゃないかな?
有事にでもなろうものなら、アメリカ、中国、ロシアが出張ってきて、
ことがどんどん大きくなり、ついには第三次世界大戦になり、
最終的に切羽詰まった北朝鮮が核弾頭使用して、アメリカも報復し、核戦争に発展。
なんだかマヤ文明の2012年人類滅亡説が現実味を帯びてきました。
…なんて、ちょっと飛躍しすぎですね。

ということで、今日は戦争映画の感想です。

聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実

2011年12月23日公開。
大日本帝国海軍の軍人・山本五十六の実像に迫るヒューマンドラマ大作。

昭和14年夏。日独伊三国軍事同盟をめぐり、締結を強く主張する陸軍だけではなく、国民の大半も同盟に希望を見いだしていた。そんな中、海軍次官の山本五十六(役所広司)、海軍大臣の米内光政(柄本明)、軍務局長の井上成美(柳葉敏郎)は、陸軍の圧力や世論にも信念を曲げることなく同盟に反対の立場をとり続ける。しかし、第2次世界大戦が勃発(ぼっぱつ)し……。(シネマトゥデイより)



去年は太平洋戦争敗戦65周年、今年は太平洋戦争開戦70周年ということで、
去年から今年にかけて、戦争映画が多く公開された気がします。
その最後を飾るのが本作です。

本作は、その功罪について賛否の分かれる大日本帝国軍人、
山本五十六を英雄的に描いた作品ですが、
学生時代に授業で自虐史観を植えつけられたボクは、
太平洋戦争を招いた大日本帝国軍部は全員悪い奴らと洗脳され、
山本五十六にもいいイメージは持っていませんでした。
でもボクも洗脳が解け始め、若干右傾化してきているので、
今なら山本五十六のことを再評価できるかもしれないと、楽しみに鑑賞したのですが、
いざ観てみると、以前とは逆の意味で彼に幻滅しました。
こんなのは英雄でも何でもなく、単なる日和見なオッサンですよ。

昭和14年、支那事変が泥沼化する中、中国を支援する英米と対抗するべく、
日独伊三国軍事同盟締結の世論が高まるが、海軍次官の山本五十六(役所広司)は、
三国同盟を締結すれば、アメリカと戦争になると断固反対します。
本作では、山本五十六を「太平洋戦争に最後まで反対した人物」として描いているので、
反戦映画かと思いきや、彼は「アメリカと戦ったら負けるから反対」なだけで、
本作も山本も、戦争自体に反対しているわけではないんですよね。
結果論として太平洋戦争に負けたわけだから、山本の主張は正しかったわけだけど、
山本は長岡出身なので、戊辰戦争で新政府軍に徹底抗戦した長岡藩士に例えられますが、
「負ける戦いはしない」なんて、長岡藩士の武士道とは全く逆の、とんだ腰抜けです。

ドイツがソ連と不可侵条約を締結したことで、三国同盟は一時棚上げとなりますが、
欧州で第二次世界大戦が勃発し、独ソ不可侵条約が破棄されたことで、
再び再燃した三国同盟はついに締結されてしまいます。
その時、連合艦隊司令長官として「長門」に着任していた山本は、
アメリカとの戦争は避けられないと知るや、「真珠湾攻撃」を立案し実行します。
一般的には成功したとされる真珠湾攻撃ですが、山本の目的は早期講和であるため、
それが成されなかったので、本作では失敗として描かれます。
その失敗の要因は主に二つ。
ひとつは宣戦布告が遅れたため奇襲となり、アメリカの怒りを買ったこと。
もうひとつは現場で指揮を執った「赤城」の南雲忠一司令官(中原丈雄)が、
徹底的に攻撃せず、早々に日本帰還してしまったことです。
宣戦布告に関しては、山本は真珠湾攻撃の前にきちんと通告するように念を押したけど、
ワシントンの日本大使館のミスで遅延したのが原因で、これは事実ですが、
もしちゃんと宣戦布告できていたら、早期講和できたかのような山本の言い分は…。
南雲司令官の件にしても、「作戦は完璧なのに他人のせいで失敗した」みたいな感じで、
山本の責任は全くないような描き方はどうかと…。

その後、大惨敗を喫したミッドウェー海戦でも、
南雲司令官が「赤城」のゼロ戦に空母用の魚雷を積んでなかったため、
「赤城」含む主力空母4隻を撃沈されてしまいます。
またしても失敗したのは南雲司令官の責任であり、山本の作戦ミスではない感じですが、
自分は遥か後方の「大和」で将棋してるだけなんて…。
ミッドウェー海戦は「大和」を温存していなければ勝てたという説もあります。
その戦いで「飛龍」に乗っていた有望な司令官・山口多聞(阿部寛)を戦死させますが、
搭乗していた「赤城」は沈没するも、南雲司令官はちゃっかり帰還。
でも山本は彼を罰するどころか、逆に慰める始末です。
山本の優しさを描いたつもりかもしれないけど、山口や死んだ兵士たちのことを思えば、
彼は全然ことの重大さを理解してないんじゃないかと思います。

ソロモン戦線では、不利な戦局になり撤退作戦を展開し、
犠牲を払ってガダルカナル島の1万人以上の日本兵を救出します。
本作の中ではこれが一番英雄らしい行いだと思うのですが、
映像的に難しかったのか、この部分はあまりちゃんと描かれません。
その後戦線を縮小するため、前線の日本兵を捨て石にする決断をした山本は、
彼らへのせめてもの労いに前線基地の視察をすることにしますが、
その電報がアメリカに解読され、視察中に搭乗機が撃墜され、山本は戦死します。
それまでずっと「大和」とかで後方にいて、急な思いつきで部下の反対を押し切り、
ようやく前線に出たかと思ったらコレですよ。
解読される電報を打ったやつのせいのような描き方だけど、どう考えても自業自得です。

山本が死んだことで、戦争を講和に導ける人がいなくなり、
太平洋戦争は長期化し、日本は結局敗戦したという論調ですが、
まだ余力がある時期に、3度も4度も早期講和のチャンスをふいにした山本には、
もともと講和を実現させるだけの力なんてなかったんじゃないかと思います。
そもそも敵にビビリ、負けないように戦っている人が、戦いに勝てるわけがなく、
そんな人がトップにいる組織も強いわけがなく、それが大日本帝国海軍の不幸です。
彼は日和った挙句に戦争を始めた張本人であると同時に、彼こそが敗戦の要因です。
軍人はとにかく相手を倒すことだけを考え、講和なんて外交は文官に任すべき。
これは自衛隊も同じで、隊員には政治なんて一切考えず、領海の不審船は即刻撃沈、
領土問題があればとりあえず実効支配するくらいの気概があったほうがいいです。
もちろん文官が軍人の暴走を止めれる状態であることが前提で、
当時のように軍人官僚が総理大臣になるなんてもってのほかですけど。

というように、本作の山本五十六像にはガッカリさせられましたが、
もちろんこれが本当の山本の姿だとは思ってません。
本作は山本を美化しようと頑張ってますが、そこに史実とのギャップが生じて、
なんだか中途半端な人物に仕上がってしまっていて、
一体彼を通して、観客に何を伝えたかったのかわからなくなっています。
英雄譚でもなければ反戦映画でもなく、作品としての立ち位置も不明瞭です。
ただミッドウェー海戦などの戦闘シーンは日本映画の割には頑張っており、
戦争エンタテインメントとしてはそれなりに楽しめました。
豪華俳優陣もよかったです。

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