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friends もののけ島のナキ

生涯で一番読み返した回数の多い本って、多くの人が絵本だと思います。
ボクの場合はたぶん『三びきのやぎのがらがらどん』。
子どもの頃に毎日のように読んでいたらしいので、300回以上は読んでいそうです。
他にも『すてきな三にんぐみ』、『かいじゅうたちのいるところ』、『ぐりとぐら』など、
もう20数年読んでないはずなのに、原記憶の近いところにまだ残っています。
だから子どもの頃に与えられた絵本って、子どもの人格形成にも大きな影響があるのかも。
最近は落ち目の芸能人が、イメージアップのために、何かと絵本を出版したがりますが、
そんな安易な絵本を子どもに与えたら、どんな悪影響があるやら…。
まぁボクが読んでたのは未だに人気のある名作絵本ばかりですが、
ボク自身ロクな大人にはなっていないので、あまり説得力はないけど…。

ということで、今日は名作絵本が原作のアニメ映画の感想です。
この原作絵本も子どもの頃に読んだ記憶があり、まだ絵も覚えていますが、
この前本屋に並んでいるのを見ると、最新版は浦沢直樹が作画してました。
浦沢直樹の漫画は好きだけど、絵本は前の絵柄の方がよかったような…。

friends もののけ島のナキ

2011年12月17日公開。
浜田広介の児童文学『泣いた赤おに』をベースにした3Dアニメーション。

赤おにナキや彼の唯一の親友である青おにグンジョーなど、さまざまなもののけが暮らす「もののけ島」に人間の子どもコタケが迷い込む。人間が嫌いでもののけ仲間ともうまく付き合えないナキだったが、コタケと交流を深めていくうちに、少しずつ心の距離が縮まっていく。しかし、もののけと人間は共存できないため、ナキとコタケは別れのときを迎えることになり……。(シネマトゥデイより)



正直、ここまでいい作品だとは驚きました。
今年はアニメ映画が不作気味とはいえ、今年観た日本のアニメ映画では断トツで、
海外のアニメ映画を含めても五指にはいるほど気に入りました。
日本のCGIアニメでは初めて、世界に出しても恥ずかしくないと思える出来だったし、
テレビアニメの劇場版ではない映画オリジナル作品だというのも評価できます。
しかしそれだけに、和製CGIアニメに対して抵抗があり、劇場版ばかりヒットする日本では、
本作は興行的にけっこう厳しいことになるんじゃないかと思われます。
でも、和製CGIアニメの発展ため、オリジナル作品の地位向上のためにも、
ぜひ多くの人に本作を観てもらいたい、こんな作品が量産されるようになってほしいです。
(ちなみに2Dで観たので、3Dの出来栄えはわかりません。)

人間との戦争に敗れ、霧深い海に浮かぶ"もののけ島"に追われた妖怪たち。
戦争に勝った人間たちも、妖怪による復讐を恐れ、島へ近づくことを禁じたが、
戦争から約200年後、人間の幼い兄弟がキノコ狩りのため島に上陸してしまう。
幼い兄弟は島で赤鬼ナキと青鬼グンジョーに脅かされ、
兄タケイチは何とか逃げ帰るも、まだ赤ん坊の弟コタケを島に残してきてしまう。
島の妖怪たちはまた人間が攻めてくることを危惧して、
残されたコタケをもしもの時の人質として生かしておくことを決める。
そのコタケの世話を赤鬼ナキに押しつけるが…、という話。

赤鬼ナキは戦争で母親を人間に殺されており、人間を恨んでいます。
当然人間の子であるコタケも嫌いだけど、図らずも面倒をみることになり、
無邪気で純真なコタケと一緒に暮らすうちに情が移り、
コタケを母親の元に返してあげることにします。
…というような、ナキとコタケの心温まる交流を描いた作品で、
それだけでも十分期待に応える内容なのですが、それは本作の半分でしかありません。
むしろ本作はコタケを母親の元に返してからが物語の本番です。

なにしろ本作の原作は国民的絵本『泣いた赤おに』です。
有名な絵本なので、誰もが一度は読んだことがあると思いますが、
原作絵本は赤鬼と人間と子どもの交流を描いた物語ではありません。
あくまで赤鬼と親友の青鬼との友情を描いた作品でした。
本作も後半は、赤鬼ナキと青鬼グンジョーの絆を描いた展開になります。

コタケを親元に返したものの、コタケが恋しくて堪らないナキは、
コタケに会うためにコタケが住む人間の村に赴きます。
しかし、ナキは村から雇われた妖怪退治のプロ(三悪人)により攻撃され負傷、
危うく殺されるところを青鬼グンジョーに助けられ、難を逃れます。
その後、グンジョーは人間に復讐するため、ひとり村に攻め入り、村人たちを襲います。
ナキはコタケたち村人を救うために、グンジョーの前に立ちはだかり奮闘、
見事グンジョーを撃退したナキは、村を救った優しい赤鬼として村人から歓迎されます。
しかし、村を襲ったグンジョーの真意は…。

原作絵本を知っている人ならご存じのように、これはグンジョーの狂言です。
ナキが人間と仲良くなれるように、優しい青鬼グンジョーが悪役を買って出たんですね。
「多くの友達を得る代償に一番の親友を失う」という内容ですが、
原作絵本ではこの狂言襲撃は赤鬼と青鬼の2人で計画したものなので、
ある意味「自業自得」という教訓的なところもありました。
本作ではナキにはその計画は知らされず、狂言はグンジョーのひとり芝居で、
ナキは本気で村人を救うためにグンジョーと戦います。
そのことにより、原作絵本以上に2人の鬼の優しさが純粋に強調されている気がします。

後にグンジョーの真意を知ったナキは200年ぶりに涙を流すわけですが、
その涙をより深く、感動的にするために効果的に使われたのが、
前半のナキとコタケの交流パートでしょう。
あれだけ愛おしく思うようになっていたコタケとの別れでも涙を堪えたナキが、
グンジョーとの別れではボロボロ泣いてしまったことで、ナキとグンジョーとの友情が、
コタケとの絆よりも更に深いものであることがしっかり伝わってきます。
その巧みなストーリーテリングで、オチはわかっていたのに、思わず泣いてしまいました。
前半のコタケとのパートは、同じ作家の絵本『りゅうの目のなみだ』の流用かな?
優しい怪物と人間の子どもの交流の話ってだけだけど…。

物語も感動的で素晴らしいですが、キャラクターも素晴らしいです。
『豆富小僧』の時も思いましたが、妖怪は世界に日本が誇れるキャラクターです。
特にCGIキャラになった時に、その魅力はより引き立つと思います。
2人の鬼以外にも魅力的な妖怪キャラが多く登場する本作ですが、
けっこう凝ったデザインや設定だったりするのに、勿体ないくらいチョイ役ばかりです。
本作はそれに加え、人間キャラも素晴らしい造形です。
一般的なCGIアニメの傾向とは反して、あまり写実的にせず、
NHKの人形劇風のデフォルメされたデザインにしてあり、
その造形はキャラクター大国・日本の独創性を発揮していると思います。
コタケなんて、かなり簡素なデザインだけど、表情の豊かさが尋常ではなく、
とても愛嬌があって、たまらない可愛らしさです。
それは、ハリウッドのCGIアニメのキャラでは、なかなか出せない魅力だと思います。

ナキの声のキャストが香取慎吾だったことは懸念していたし、
それが理由で一緒に観に行かないか誘った友達からも断られたりしましたが、
特に上手いわけでもないものの、マイナス要素になるほど酷くはなかったかな?
CGIアニメはプレスコ(後から口パクさせる)方式を採用しやすいので、
本職の声優でもタレントでもそれほど技術的な差は出ませんね。
ひとり3役を務めたFROGMANは、技術的にスゴイ、というか面白かったです。

この手の作品が日本でヒットするのは難しいですが、
その評判は『ヒックとドラゴン』のようにじわじわクチコミで広がっていくと思います。
もう偏ったアニメしか流行らない日本での成功はあきらめて、
海外を視野に展開した方が正当に評価されるからいいんじゃないかな?

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