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リアル・スティール

明後日の午後4時からNHKで「高専ロボコン」の全国大会が放送されます。
この番組(というか大会?)好きなんで、地方予選の様子もほとんど見ました。
「大学ロボコン」とかアジア大会も面白いけど、一番はやっぱり「高専ロボコン」。
ルール的にロボット操縦の腕が勝敗を分ける割合が多いところがいいです。
今年はラグビーのタッチダウンをモチーフにした競技で、
ラグビーボールを投げたり受けたりは学生がしなくてはいけなくて、
ロボットの性能だけではなく、人間の運動神経が勝敗を左右することも多いです。
まだ予選しか観てないけど、やはり理系の学生ばかりなためか、
ラグビーボールの扱い(特に投げ方)を知らないんじゃないかと思う子が多いですね。
そんなちょっと緩いところも「高専ロボコン」の魅力です。
あと、いくら競技に強くても、効率を重視した味気のないロボットのチームよりも、
非効率的でもロボコン大賞狙いの奇抜なアイディアを採用したロボットのチームが好き。
全国大会だと予選の経験を踏まえてブラッシュアップされたロボットが増えるので、
ちょっと画一的になり、実験的な面白いロボットは予選の方が多いかもしれません。

日本のロボット技術は高いと思っていて、日本人としてそれを誇りにも思ってたけど、
先の原発事故では高い開発費をかけて作られた日本の原発ロボが実用化できず、
海外の原発ロボが活躍したそうですが、なんだかガッカリしました。
日本がロボット大国なのはアニメの中だけなのかな…。
ロボコン出身の子たちにロボット大国復権を期待してます。

ということで、今日はロボットが競技で対決する物語の感想です。
ロボット大国(?)日本へのオマージュもいっぱい含む作品ですが、
その地位は近い将来、ハリウッド映画の中でも近隣諸国に取って代わられそう…。

リアル・スティール

2011年12月9日日本公開。
ヒュー・ジャックマン主演による感動のSFドラマ。

かつて優秀なボクサーだったチャーリー(ヒュー・ジャックマン)は妻子と離れ、ただ自分の夢だけに没頭してきた。だが、西暦2020年の今では人間に代わり、格闘技ロボットたちがボクサーとして活躍していた。ある日、どうにかロボット格闘技のプロモーターとして生活していた彼の前に、母を亡くした息子(ダコタ・ゴヨ)が姿を現わし……。(シネマトゥデイより)



人と映画の話なんてしてると、大抵「今年一番よかった映画は?」って展開になりますが、
今年もいい映画はそこそこあったんですが、一番を決められるほど突出した作品はなく、
適当に答えていたんですが、年の瀬になって漸くダントツだと思える作品に出会えました。
それが本作『リアル・スティール』です。
もう年内に観るのも数本だし、本作が今年のベスト映画になることは間違いなさそうです。

ボクは無類のボクシング映画好きなので、ボクシング映画の本作には当然期待していたし、
その反面ボクシング映画が好きすぎて、本作がボクシングそのものではなく、
"ロボット・ボクシング"という架空の競技が題材であることに不安もありました。
しかしそんな不安は簡単に覆され、高い期待も軽く凌駕する会心の出来でした。
ストーリーはボクシング映画お決まりの負け犬のアメリカン・ドリームだし、
予想通りの問題を抱えた父子の関係修復の物語だったけど、
あまり奇抜な展開にしなかったことが、ボクシング映画の王道感を盛りたて、
大興奮の熱いドラマになるのに功を奏していたのかも。

それにストーリーが王道なので、それだけに本作の世界観の独自性が活かされます。
そして本作はその世界観の構築が非常にうまいと感じます。
物語の舞台はちょっと未来の2020年、
人間同士のボクシングが廃れ、ロボット同士によるボクシングが隆盛する時代です。
ボクシングは生身の人間が死力を尽くして殴りあうから面白いんであって、
初めて本作の概要を聴いたときは、無機質なロボットのバトルがそんなに面白いのか?
『トランスフォーマー』や『ガンダム』と変わらないんじゃないか?…と思いましたし、
ちょっと突飛でSF的すぎやしないかと感じましたが、いざ観ると全然そんなことはなく、
生身の人間と変わらない、いやそれ以上に熱いかもしれない白熱の試合が展開してます。
その根底にあるのはおそらくリアリティで、本作はオーバーテクノロジーなSFだけど、
劇中では触れられないことも含め、緻密な世界観の考証・構築がされていると思います。

例えば、ロボット・ボクシングの成り立ちですが、
普通のボクシングが廃れたのは、野蛮なスポーツだから禁止されたとかではなく、
観客が試合により過激さを求め、生身の人間の殴り合いでは満足できなくなったからです。
日本でもより過激な試合を求めて総合格闘技が流行ったりしましたが、
それにも慣れて今では格闘技人気は下火になってますよね。
本作の世界観はその延長線上にあり、劇中では描かれていませんが、
人間のボクサーが対戦相手にロボットを選んで、より過激な試合をしていた時代を経て、
結局ロボット同士のボクシングに行き着いたという設定です。
その世界観に観客を自然に導けるように、効果的に使われていたのが最初の試合です。

世界ランカーとも闘った元プロボクサーのチャーリー(ヒュー・ジャックマン)は、
時代の流れでボクサー廃業を余儀なくされ、今ではしがないロボットのトレーナーです。
彼の所有するロボット「アンブッシュ」は、ある農産物品評会で猛牛と賭け試合します。
これが本作の最初の試合ですが、意外にもロボット同士の試合じゃないんですね。
闘牛ならまだしも、生身の人間では猛牛とガチンコ勝負なんて出来ませんが、
ロボットならそれも可能です。
それにより、如何にロボットが刺激的な試合をする道具として有効かを示し、
ロボットによる試合が格闘技の正統な進化であることにリアリティを持たせています。
まぁ安物のアンブッシュ程度の性能では、猛牛に大破させられてしまいますが…。

アンブッシュが壊れ、商売道具を失ったチャーリーですが、
借金まみれの彼に、新しいロボットを買うだけの予算はなく…。
そんな折、昔の恋人キャサリンが11歳の息子マックス(ダコタ・ゴヨ)を残して
亡くなったという知らせが届き、彼はマックスの親権のことで裁判所から呼び出されます。
キャサリンの妹夫婦がマックスの親権望んでいることを知った彼は、
妹夫婦にマックスの親権を10万ドルで売り渡し、その金で新しいロボットを買うことに…。
しかし妹夫婦の引き渡し準備が整うまでの間、ひと夏だけマックスを預ることになり、
父チャーリーと息子マックスとの共同生活が始まる…、という話です。

もちろんその父子関係を描いたヒューマンドラマも良質で感動しますが、
そっち系の立派な感想やレビューは多いので、ウチは本作をボクシング映画として、
SFスポ根ドラマとしての感想を書きたいと思います。
それに本作のセールスポイントであり本作の真の主役は、やはりロボットでしょう。

チャーリーがマックスの親権を売って得た金で購入したのが、
一昔前までWRBの公式リングで大活躍していたロボット「ノイジー・ボーイ」。
コントローラーで操縦するロボットが多い中、こいつは音声認識システムで制御できます。
しかし何よりの特徴はその外観でしょう。
WRBのリングを去った後、世界中を転戦していたノイジーは、
日本で甲冑のようなボディに改造され、胸には「超悪男子」のペイント。
日本語も認識できるシステムを搭載しています。
ノイジーを作ったのは伝説の日本人ロボットデザイナー、タク・マシド。
彼はWRB現世界王者であるロボットの設計もしている、本作のキーマンです。
そんな彼を演じるのが韓国系アメリカ人俳優なのは残念だし、
ノイジーもお世辞にもかっこいい外観とは言えないけど、
日本人として愛着を感じるロボットです。
そんな武者な感じのノイジーは、すぐさまアングラな賭け試合のリングに上がり、
ギリシャの戦士のような外観の「ミダス」により大破します。
もっと活躍してほしかったけど、彼の音声認識システムは、
本作の真打であるロボット「ATOM」へと受け継がれることになります。

ATOMはマックスが廃品置き場で捨てられているのを発見し拾ったロボットです。
第2世代(G2ロボット)と呼ばれる旧式のロボットで、
スパーリング用に開発されたロボットのため、かなり頑丈で、
人間の動きを真似るシャドー機能という珍しいシステムを搭載しています。
そのためか、ボクシングの真似だけでなく、ダンスが踊れるほど動きが人間的で、
最も無表情で無機質なロボットなのに、なんだか心があるようにすら感じます。
名前はやっぱり日本のアニメ『鉄腕アトム』から拝借されたという説もあり、
心を感じさせるのもその影響があるのかもしれません。
(最軽量のアトム級から取ってる気もしますが…。)
廃品置き場出身のためか、ボクはなんとなく『WALL・E』を彷彿とさせられました。

旧式のスパーリング用ロボットのため、試合には不向きと思われていたATOMですが、
動物園での賭け試合でラフファイトが得意なロボット「メトロ」に勝利したことで、
本格的にボクシングの試合に出始め、各地を転戦、連勝します。
そしてATOMの噂はついにWRBにまで届き、ついにWRBの公式試合へのオファーが決まります。
プロデビュー戦の相手は"双頭の暴君"の異名を持つロボット「ツイン・シティズ」。
異名の通り、頭が2つ付いた特殊なデザインのロボットです。
何かの雑誌で、ツイン・シティズのこのデザインを「卑怯だ」と称してましたが、
せっかくロボットなんだから、こんな人間ではあり得ないボクサーがいた方が面白いです。
というか、人間だったら頭は一番守らなければいけない急所です。
卑怯どころか頭が多い方がリスクは高いと思います。
性能で上回る新世代ロボットを、旧式ロボットのATOMが根性とテクニックでK.O.する。
なんとも痛快な展開です。

ツイン・シティズに勝利したATOM陣営は、WRB絶対王者「ゼウス」に挑戦状を叩きつけ、
その挑発を受ける形で、プロ2戦目にしてまさかの世界タイトル戦が実現します。
ゼウスは腕に高性能なピストン機能を装備している上に、かなりの巨躯。
階級でいえば5~6階級くらい違いそうな重量差で、卑怯と言うならコッチでしょう。
ロシアの大財閥であるゼウス陣営が、ATOMを20万ドルで買収しようとしたことに、
マックスが憤慨したことで始まった両者の因縁ですが、
クライマックスの試合相手の因縁としてはちょっと弱い気がしますよね。
なのにこれだけ盛り上がるのは、ロボットの新旧対決よりもっと根本的な、
ロボットの台頭によりリングを追われた人間のボクサーと、
そのロボットの頂点に君臨するWRB王者との因縁の対決だからでしょう。
また、WRBのロボットは、タク・マシドをはじめ理系の人が操縦しており、
元ボクサーであるチャーリーによる、体育会系の逆襲という展開でもあります。
特にボクシングは経験や戦績がものをいうスポーツです。
痛い目にも遭いながら身をもってボクシングを体験しているボクサーが、
プログラム上の格闘ゲーム感覚で試合しているロボオタクをギャフンといわせるという、
マッチョな展開なのが燃えるんだと思います。
それにしてもゼウス陣営の資金力なら、旧式のATOMなんて買おうとしなくても、
似たシステムのもっとハイテクなロボットを作れそうですけどね。

最後にキャスティングの感想を少し。
主演のヒュー・ジャックマンはもともと好きな俳優だし、本作での彼もよかったですが、
ヒュー以上によかったのがマックス役の子役ダコタ・ブヨです。
小賢しさも含め素直な子どもらしい演技がとても好印象で、
本作の魅力の半分はロボット・キャストだと思ってますが、
残りの半分はこの子と言っても過言ではないほど好演でした。
本作でデビューなのかなと思ったら『マイティ・ソー』に出演していたとか…。
あまり覚えてないけどソーの少年時代を演じたそうで、
何気にウルヴァリンとマイティ・ソーの共演だったんですね。

上映中は夢のような時間で、ATOMの活躍をもっと観ていたかったと思ったのは事実だけど、
すっきり終わってたし、ケチが付いても嫌なので、大ヒットしても続編はいらないかな。

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