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イキガミ

涼しくなりましたね。秋は寂しげでなんか好き。
今日もまた映画の感想です。

イキガミ

2008年9月27日公開。
間瀬元朗の同名の漫画を映画化。

"生命の価値"の再認識のため、1000分の1の確立で18~24歳の若者の命が奪われる"国家繁栄維持法"が施行されている世界。厚生保険省の職員・藤本(松田翔太)は24時間後に必ず死亡するという死亡予告証、"逝紙(イキガミ)"の配達を担当していたが、しだいに疑問を抱くようになる。(映画冊子より)

『バトル・ロワイヤル』系のトンデモ法律ものですね。
漫画だと別に問題ないけど、よりリアリティが感じられる実写映画化となると、
国家繁栄維持法はちょっと無茶苦茶すぎて説得力がないです。
この法律の主旨は、国民に死の恐怖を与える事で生命の価値を認識させることで、
国家の平和、繁栄を維持しようというもの。
なんか『SAW』シリーズのジグソウの思想に近い気がする法律ですが、
逝紙が届けば100%死ぬということでは、ジグソウのゲームよりも性質が悪いですね。
まぁ実際に施行されれば、逝紙が届かなくなる25歳までは、どんなに頑張っても
理不尽に殺されるかもしれないんだし、好き放題生きるか、無気力に生きるか、
どっちかの若者が増えるだけだと思いますけどね。
1000人に1人といえば少ない気もするけど、18~24歳の狭い範囲で
1日平均2人以上死ぬみたいだからかなり高確率じゃないかな。

まぁファンタジーの世界のことなんで、現実ではどうだとかは意味がない議論です。
でも劇中でこの法律施行後、犯罪件数、自殺者数は劇的に減ったと謳われていますが、
逝紙で死ぬ事となる4人のうち2人が受け取った後犯罪に走ってるし、
残る2人も、1人は元から犯罪組織のメンバーだし、もう1人は元から自殺志願者だし、
制作側は自ら作品に説得力をなくすようなエピソードばかりチョイスしています。
それも、この法律にリアリティを持たそうとして逆に足をすくわれた感じです。
これが法律じゃなくて、超常的な力による理不尽な死とかなら多少説得力が増すかも?
ありがちすぎて作品の面白味はなくなりますけどね。

でもこの作品の本質は、そんな法律の是非ではなくて、
死を宣告された若者3人が最期の時をどう過ごすかという感動のヒューマンドラマ。
…のはずですが、あんまり感動しませんでした。
それは前提となっている法律が支離滅裂すぎるのもひとつの原因ですが、
なによりも、それぞれのエピソードの逝紙を受け取った若者に
感情移入できなかったからだと思います。

まずひとり目の田辺翼(金井勇太)は一緒にメジャーデビューを目指して頑張っていた
フォークデュオの相方を裏切ってソロデビューしてしまった俗物。
最期の瞬間も母ひとり子ひとりだった母親と過ごさずにテレビ出演を選ぶという
俗物根性丸出しのダメ息子で、かってに死ね!と思わずにはいれません。
ふたり目の滝沢直樹(佐野和真)は自殺志願のヒキコモリ。
彼の境遇には同情してしまうところはあるが、逝紙を受け取ってから自暴自棄になり
警官を暴行(殺害?)してピストルを奪うなど、もう殺されて当然としかいえない。
3人目の飯塚さとし(山田孝之)は一見、妹想いのいい兄貴だが、
架空請求業者の構成員。この時点でもう殺されて当然でしょ。
…といった感じで、3人の設定に好感が持ちにくく、感情移入できません。
最期の1日の行動もあまり妥当とは思えず、リアリティがないです。

そんな中、主人公・藤本(松田翔太)は唯一まともな倫理観を持ったオアシス的存在。
松田翔太はちょっと苦手な俳優だったけど、なかなかの好演で好感を持ちました。
ラストの方で彼がこの法律に強い疑念を抱いたり、
彼の上司が意味深な発言をしたり、保守派の議員が落選したりなどなど、
この法律を覆すクーデター的なものへの伏線が貼ってあるように思います。
この物語はその悪法をぶっ潰してこそ完結するし、そこに本当の感動があるはず。
今作は駄作だったけど、次回作があるなら興味深いし、是非観たいと思います。

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