ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ハッピー フィート2

連続でアニメ映画の感想です。

ことしはそれほどアニメ映画を観る機会がなかったなと思ったのですが、
先週から来年春にかけては、アニメ映画がなんだか多いような気がします。
今週も『タンタンの冒険』、『けいおん!』と話題作が公開され、
その後も『もののけ島のナキ』や『るろうに剣心』が控えています。
DVDですが『ブルー 初めての空へ』も今年中に日本初上陸するのでお見逃しなく。
来年に入っても、正月早々『マジック・ツリーハウス』や『チベット犬物語』など、
気になるタイトルが目白押しです。

ということで、今日もアニメ映画の感想です。

ハッピー フィート2 踊るペンギンレスキュー隊
Happy Feet Two

2011年11月26日日本公開。
第79回アカデミー賞長編アニメ賞を受賞した大ヒット作『ハッピーフィート』の続編。

タップダンスを得意としているマンブルは、自分の息子であるエリックがダンスを嫌っていることを悩んでいた。そんなエリックはマンブルのもとから逃げ出した後、飛べるペンギン、マイティ・スベンと出会う。ペンギンなのに飛ぶことができるマイティ・スベンを前に、エリックは……。(シネマトゥデイより)



洋画でも字幕が基本の日本でも、アニメの場合は日本語吹き替えが多くなります。
こちら、関西では字幕上映は一館のみです。
これはアニメ洋画の宿命なので仕方ないことだと諦めていますが、
本作のようなミュージカル映画は、歌が肝なので、
それを日本語に吹き替えてしまえば、作品の価値は半減、
いや、1/3以下になってしまうと思います。
日本語版の日本人キャストが歌が下手だとは言わないし、
特に歌が重要なキャラであるグローリアの声優には、
ちゃんと歌手(クリスタル・ケイ)を配してるので、
日本語吹き替え版の制作に全く努力してないとも思わないけれど、
やっぱりね、ショービズ大国のアメリカには歌のレベルは劣ります。
特に本作で多用されているヒップホップやR&Bなどのブラック・ミュージックは、
本場には敵わないです。

それに声優のレベル云々よりも、映画としての音作りの姿勢が、
ハリウッドと日本では雲泥の差があります。
日本語版の音作りのいい加減さが端的に表れていると思ったのが、
本作の主人公であるペンギンの雛エリックの声優です。
エリックの声優は人気絶頂の子役・鈴木福くんが担当してます。
福くんは7歳とは思えないほど、声の演技を完璧にこなしていますが、
エリックが歌う部分だけは、どこかの合唱団の子どもが吹き替えています。
しかし、その代役の子の声が、福くんとは似ても似つかない様な歌声で、
ミュージカルらしくセリフから自然に歌に入らないといけないシーンなのに、
急に声変わりでも始まったのかと思うような変貌っぷりで違和感があります。
たしかに歌まで福くんに要求するのは難しいと考えて当然だし、代役は仕方ないけど、
せめてもっと似た声の子を代役に立てることはできなかったのかと…。
どうも何のコダワリもなく歌のうまい子を選んだような気がするんですよね…。

というか、日本語に吹き替えた時点で、歌の価値なんてのは、
ただメロディに乗せただけのセリフでしかないので、
歌がうまい子を使う必要はなく、拙くても福くんに歌ってもらえばよかったです。
芦田愛菜ちゃんとのCDシングル『マル・マル・モリ・モリ!』では、
オリコン最高2位を記録したほど歌も人気がある子だし、
そんな福くんが歌うとなれば、それだけでもこの映画の売りのひとつになるはず。
(関西でしか知られてないかもだけど、)『へんしん!!じゃがポテ仮面』の歌など、
何気に歌手としてのキャリアもあるんですよね。
というか、エリックというキャラ自体が、歌がうまいキャラでもないし、
福くんが可愛く拙く歌った方が、演出的にもよかったんじゃないかな?

ただ本作は、物語が進むにつれて、歌よりもダンスが重要になってくるので、
序盤のペンギンたちの歌パートをガッカリしながらも乗り越えてしまえば、
それ以降は日本語吹き替え版の歌の不利益は徐々に薄まります。
ただそれは歌だけの話で、吹き替え版自体の文句もついでに書きます。
まず、続き物なのに前作の吹き替え版からキャストを一新するな。
これこそ、その都度その都度、安易にキャスティングしている証拠です。
オリジナル版はメインキャストはみんな続投してます。
特にラモンの声優、ブラザートムから山寺宏一に変更されているけど、キャラ変わりすぎ。
なぜ沖縄弁で喋るのか意味が分かりません。
いや、ホントはアデリーペンギンが沖縄弁で喋るのはシュールで面白いんだけど…。
皇帝ペンギンは標準語なので、種族によって方言を変えるというのは、
遊び心としては面白いんだけど、なんで悪いトウゾクカモメは関西弁なの?
関西人はガラが悪いという偏見のあらわれじゃない?

とはいえ、選ぶ余地がなかったにしろ、日本語吹き替え版を観てしまったのは、
自分にも非があるとは思いますし、本来の作品の出来とは無関係なことです。
本作は日本語版制作による劣化を鑑みれば、作品としてはそんなに悪くないです。
特に前作から比べると、かなりよくなっていると思います。

本作の主人公は前作の主人公のペンギンであるマンブルの息子、エリックです。
皇帝ペンギンは大人になるとあまりかわいくないけど、雛のうちはとてもかわいい。
特にワーナーのCGIアニメはリアル志向なので、
フワモコな雛のかわいらしさがちゃんと再現されています。
(逆に言えば成鳥の皇帝ペンギンのかわいくなさもきっちり再現されてますが…。)
前作の主人公マンブルも始めは雛だったけど、すぐ成鳥になったので、
あまりかわいらしさは堪能できませんでしたが、
本作のエリックはずっと雛のままで出ずっぱりです。
同級生(?)のアーテカスとボーもかわいらしくて、癒されます。
もちろんマンブルも登場し、彼もほぼ出ずっぱりです。
しかしマンブルは成長になっても綿毛のままで、なんだか不気味です…。

本作には新キャラとして「自称、空飛ぶペンギン」スヴェンが登場します。
エリックはスヴェンに夢中になりますが、当然それを飛べるペンギンなんているわけなく、
実は彼はペンギンではなくパフィン(ツノメドリ)という鳥類です。
ネットで実際の写真見ると、たしかにペンギンぽいカラーリングでした。
とはいえ実物はペンギンには見えません。
でもワーナーはリアル志向なので、アニメキャラの方も始めからペンギンぽくないですね。

本作はその邦題のサブタイトルでもわかるように、ペンギンを救出する話です。
突如起こった氷山の衝突により、皇帝ペンギンの群れが氷の断崖の底に閉じ込められます。
その時たまたま群れを離れていて難を逃れたマンブルとエリックの親子は、
母グローリアを含む群れの仲間をなんとか救出しようと奮闘します。
いろいろ試みますが、最終的にたどり着いた方法がダンスです。
ダンスでどうやって救出するのか、これがけっこう意外な方法で面白いです。
それが現実的かといえば疑問ですが、なかなか盛り上がるクライマックスでよかったです。
そこに至るまでの試行錯誤も、一種のシチュエーションもの脱出劇のようで興味深いです。

そんな本筋と並行して、とあるオキアミ、ビルとウィルの冒険も描かれます。
本筋とはほぼ関係ない幕間劇のようなもので、
さしずめ『アイス・エイジ』シリーズのリスのパートみたいなもの。
南極が舞台なので単調な銀世界ばかりだと飽きるから、
映像的に変化をつけるためにところどころで挿入してあるのでしょう。
『アイス・エイジ』にしても、本作の前作にしても、
昔は技術的な問題でディテールがシンプルな銀世界をあえて舞台に選んでたのに、
CGアニメの技術の進歩はめざましいですね。
とはいえオマケとはあなどれない出来で、映像のスペクタクル感は本編以上。
しかもオリジナル版のキャストはブラピとデイモンってんだから超豪華です。
日本語版ではバナナマンのふたりが声を担当してますが、
さすがに格は落ちるものの、それなりに味のあるいい演技をしています。

まぁ正直なところ、よく出来たものが多いハリウッドのアニメ映画の中では、
それほど完成度が高い方ではないと思います。
ただ前作が酷すぎただけに、本作はかなり良く感じてしまいます。
なにしろ前作は、子供向けアニメの皮を被ったプロパガンダ映画で、
本作を制作したオーストラリアのスタジオの政治的メッセージ、
反漁業や反捕鯨の思想が色濃く出た作品だったので、気持ちよく見ることはできません。
それに比べると、本作はあまり政治的なメッセージは含まれておらず、
前作では魚を獲りつくしたり、保護したペンギンを動物園に放り込むんだりと、
人間をペンギンの敵、悪者として描いてありましたが、
本作は怪我したペンギンを保護して手当てしたり、
氷山に閉じ込められて動けなくなった群れの救出を試みたりと、
動物愛護意識の高い優しい人間しか出てきません。
オーストラリアの動物保護の考え方は日本人には合いませんから。
始めは氷山の崩落など、温暖化の問題を描きたいのかとも思ったのですが、
特に温暖化に触れることなく幕を閉じたし…。
今回はエンタテインメントに徹したのだと思いますが、それがよかったです。

悪くない作品なので、誰にでもオススメできますが、
近所で字幕版が上映されていないなら、DVD化を待つのもアリかと思います。
チープな日本語化では、せっかくの劇場の音響も活かされてるとは思えないし…。
今劇場でアニメを観るなら『アーサー・クリスマスの大冒険』をオススメしたいです。
まぁ明々後日になれば『タンタンの冒険』をオススメするかもだけど…。

最後に、本作の上映前にオマケの短編「見た、見た、ネコたん」が上映されます。
ルーニー・テューンズのトゥイーティーとシルベスター・キャットの追いかけっこだけど、
トゥイーティーといえばワーナー・マイカル・シネマズのマスコットです。
他のチェーンのシネコンで本作を観ると、ちょっと妙な感じがしますね。

コメント

http://blrpn.blog.fc2.com/blog-entry-1057.html
のアイスさんから頂いたコメントに対する返信です。

>当時、私も合唱団の子が歌唱しているのだと思っていたのですが、
>歌唱しているのも福くんという事が分かりました。
>というのもhttp://www.youtube.com/watch?v=zQaKtSSdqIw
>見て頂けば分かると思います。

1年半も前のことなので、かなりうろ覚えですが、
当時観た時に「福くんの声じゃない」と思い、エンドロールで確認したら、
「やっぱり福くんじゃなかった」と思った記憶があります。
ミュージカルなので、台詞の途中の短い歌台詞は福くんがそのまま担当し、
長い劇中歌は合唱団の子に任せているのだと思います。
だから、全てではないが福くんが歌っているところもあるということでしょう。
動画も見せていただきましたが、別の子のものと思われる劇中歌は、
こんなに舌足らずな歌い方ではなかったはずです。
記憶が定かではないので、間違ってたらすみません。

  • 2013/06/26(水) 22:27:12 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/588-bfbec761
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad