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アーサー・クリスマスの大冒険

アニメ監督の押井守が日本のアニメの現状を、
「オタクの消費財と化し、表現の体をなしていない」と苦言を呈したそうです。
それに対しアニメファンから賛否両論でているみたいです。

ボクはアニメ映画はけっこう観ますが、テレビアニメはあまり知らないので、
そんな惨状になっているとは思ってませんでしたが、
気になったので、テレビのジャンル検索でアニメをピックアップしてみました。
すると200件以上のアニメ番組が引っ掛かりましたが、
それほどオタク向けのアニメはないような気がします。
全体の1~2割じゃないかな?
深夜に限れば、急激に割合は上昇しますが、深夜アニメだけを鑑みて、
アニメ全体がオタクの消費材になったような物言いはちょっと違うかなと思います。
深夜アニメが10本束になっても、『サザエさん』の人気には敵わないんだし…。
たぶんオタクの消費財ってのは、萌えアニメやエロアニメのことでしょうが、
深夜にそんなのが多いのは今に始まったことじゃないよね。
バラエティ番組だって深夜はお色気が増えるんだし、アニメ番組も一緒でしょう。

ただ日本のアニメ映画に限れば、萌えやエロは別にしても、
テレビアニメの劇場版が多いことには懸念を感じます。
オタクの消費財ではないかもしれないが、テレビアニメファンの消費財と化してます。
もっと映画独自のオリジナル作品が増えることを望みます。

ということで、今日はオリジナルのアニメ映画の感想です。
海外のアニメ映画はほとんど映画オリジナルで、
ちゃんと単体として楽しめるのがいいですね。

アーサー・クリスマスの大冒険
Arthur Christmas

2011年11月23日日本公開。
英アードマン・スタジオと米ソニー・ピクチャーズによるCGIアニメーション。

サンタと彼の超エリートの息子スティーブは、600万人の子どもたちのうち、たった1人にプレゼントを配達できなかったことを仕方ないミスとしてあきらめてしまっていた。ところが、末っ子のアーサー・クリスマスは、クリスマスの夜が明けるまでの2時間で、地球の反対側にある子どもの家にプレゼントを届けることを決意する。(シネマトゥデイより)



本作はクレイアニメ『ウォレスとグルミット』の制作会社によるCGIアニメ作品です。
今日はちょうどクリスマスの1カ月前になりますが、
本作はサンタクロースの仕事の舞台裏を描いた内容の、
クリスマスにピッタリなファミリー・コメディとなっています。
なので子ども向けアニメだと思われるかもしれませんが、
侮るなかれ、ひねりの利いた設定で、大人も楽しめるアニメになっています。
むしろひねりすぎて、サンタを信じる子どもにはオススメできないかも…。

なにしろ子どもに優しいサンタクロースが、利己的で人間的な人物に描かれ、
半ば軍隊のような組織の長であるという設定です。
軍隊の中でも、特に諜報部隊のようで、クリスマスのプレゼント配りも、
スパイのミッションのようなアクションで演出されています。
その意外性が面白いのですが、一般的なサンタのイメージからすると、
ちょっと夢のない設定かもしれません。

サンタは宇宙戦艦のような超高速巨大ソリで世界を回り、
使役している100万匹の妖精がプレゼントを高速で配布していきます。
子ども一人当たりのプレゼント配布の所要時間は20秒弱、
この効率的で組織化されたミッションにより、
一晩で20億個のプレゼント配布を可能にしているのです。
この描写で、サンタを信じる子どもたちの、
「サンタ一人で、どうやって一晩で世界中の子どもにプレゼントが配れるのか?」
という素朴な疑問に対しての答えを提示しているわけですね。

う~ん、たしかに納得できなくもないけど、
魔法ではなく、ハイテク巨大そりによる科学力や、数万人の部下を使った人海戦術で、
プレゼントを配るということに、はたして夢があるのかどうか…。
イブにはトナカイのために枕元にニンジンを置いて寝る子どももいるみたいですが、
トナカイの牽くそソリに乗ったサンタが家に来ることを期待している子どもには、
サンタがトナカイを使っていないことに、ちょっとガッカリな設定かもしれませんね。
まぁ子どもはそんなこと気にしないで、純粋に映像の面白さを楽しむでしょうが…。
ちなみに劇中ではそんなトナカイを期待する子どものために、
ニンジンに歯形を残すハイテクマシーンも登場します。

といっても、サンタの仕事がハイテク化されたのは、今の代のサンタから。
サンタという職は聖ニコライを初代に世襲されるもので、
先代サンタまでは一般的なイメージ通りトナカイの牽くソリや魔法で配ってました。
しかし近年、クリスマスやサンタクロースの文化が世界中に広まり、
その方法では間に合わなくなり、効率化のためにハイテク化したのです。
そのシステムを構築し、宇宙戦艦型ソリ「S-1」を造船したのが、
現サンタの長男であり、北極オペレーションセンターの責任者スティーブです。
彼は次期サンタと目されており、本人も早くサンタを継ぎたがっています。

しかし現サンタは世界一の名誉職であるサンタをまだ息子に譲る気はなく、
サンタ歴はもう70年にもなります。
現サンタの父、先代サンタであるお爺サンタ(136歳)もまだ存命です。
日本もちょうど今年は太平洋戦争開戦70周年ですが、
お爺サンタは70年前に第二次世界大戦中のクリスマスのプレゼント配り時に、
酷い目にあって引退を余儀なくされたのですが、それを後悔しており、
まだ自分がサンタ職としても健在であることをアピールする機会をうかがっています。
また自分は6頭のトナカイと1匹の妖精だけで仕事をしてたことに誇りがあり、
今のハイテク化された方法に対しても反感を抱いています。
もちろんスティーブも早くサンタになりたくてイライラしているので、
この親子三世代サンタはけっこうギスギスした関係です。
なんとも夢のない設定で面白いですね。

で、本作の主人公は、現サンタの次男であるアーサーです。
彼は利己的な家族とは違い、誰よりもサンタの仕事を尊敬していますが、
次男だし、ドジで仕事ができないので、サンタの後継者扱いは受けません。
サンタの部下である100万匹の妖精たちも彼のことはバカにしています。
今は手紙係として、世界中から届くサンタ宛の手紙を管理し、
返信を書くのが彼の仕事ですが、彼自身もその仕事に不満はないみたいです。

あるクリスマス・イブの夜、いつも通りサンタは20億個のプレゼントを配りますが、
ちょっとしたミスで1つだけプレゼントを配りそこないます。
ミッション終了後にそのことが判明しますが、サンタやスティーブは、
誤差の範囲だとして、1つ残ったプレゼントを放置します。
手紙係で子どもがどれほどサンタを心待ちにしているかわかっているアーサーは、
そのことを放っておくことができず、祖父であるお爺サンタの入れ知恵で、
昔のソリと8頭のトナカイを引っ張り出し、お爺サンタと共にこっそり届けに出かけます。
日の出までのタイムリミットは2時間しかありません。

2時間しかないとはいえ、プレゼンと1つ配ることなんて、
一晩で20億個配れるサンタにとっては造作もないことですが、
アーサーはホントにドジで、イギリスの女の子に届けるのに、
アフリカ行ったりメキシコ行ったりと、世界中を無駄に飛び回り、
至るところで人間を巻き込んで問題を起こしたり、
トナカイを失ったりして、なかなか目的地に着きません。
もうドジというよりも、アーサーはソリのような速い乗り物や、
トナカイのような大きな動物が苦手で、世界一サンタに向かない奴で、
彼を見ているとヤキモキを通り越してイライラします。
彼を煙たがる妖精たちの気持ちがわかります。
とはいえプレゼントを届けたいという気持ちは純粋なので、
なんだかんだで嫌いにはなれないですけど…。

アーサーとお爺サンタがソリで世界中を飛び回る姿は、
人間からエイリアンの宇宙船と間違われ、世界は大騒動となります。
結局、ソリは米軍により撃墜されてしまうという、凄まじい展開に…。
それはそれで面白い展開だけど、サンタが人間に姿を見られてはいけない理由が
イマイチ理解できないかな?
姿を見られてはいけないから就寝中にこっそりやってくるんだけど、
実在するのになぜ姿を見られてはいけないのかという素朴な疑問も答えてほしいかな。
一応、19世紀にサンタが子どもに見つかったことがあって、
そのためにラップランドから北極に引っ越すことになったみたいですが、
もうちょっと説得力のある答えが用意されていたらよかったかな。

1匹の妖精・ブリオニアが、アーサーとお爺サンタに同行することになりますが、
この妖精、一見すると男のようですが、実は女の子なんですよね。
妖精なのに、なんかあまりかわいくないです。
まぁ彼女に限らず、本作の妖精は小人って感じなので、
皆それほどかわいくはないのですが、アニメとしてはもっとマスコット的な
かわいらしいキャラを用意しておいてもよかったと思います。
主人公のアーサーも含めて、全体的にちょっとバタ臭すぎます。
特に日本ではバタ臭いのはウケませんからね。
内容が面白いだけに、キャラデザで敬遠されたらもったいないです。
キャラだけなら今週末公開の『ハッピーフィート2』の方が断然かわいらしいし、
公開時期が近いだけに本作はかなり不利を受けるんじゃないかな?

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