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新少林寺

アメリカで一番稼いだ外国語映画って中国映画『グリーン・ディスティニー』なんですって。
2番目がイタリア映画『ライフ・イズ・ビューティフル』、3番目がまた中国映画『HERO』。
日本映画はといえば、ずっと下がって25位に『Shall we ダンス?』が入ってます。
24位までに中国映画は6本も入ってるのに、
やっぱりアジアにはマーシャルアーツ映画しか期待してないのかな?
TPPで日本の市場がアメリカに蹂躙されるんじゃないかと危惧する声がありますが、
すでに映画市場は一方的にやられっぱなしです。
日本映画ももう少し公開規模が大きければ観てもらえるものもあると思うんだけど、
円高を武器に、現地に配給会社とか作って乗り出せないものかな?

ということで、今日は中国映画の感想です。

新少林寺 SHAOLIN

2011年11月19日日本公開。
カンフー映画『少林寺』を、29年ぶりに蘇らせたカンフー・アクション大作。

辛亥革命の時代の中国、ごう慢な将軍・候杰(こうけつ、アンディ・ラウ)は、権力拡大の野望を抱くも、部下・曹蛮(そうばん、ニコラス・ツェー)に裏切られ、愛する幼い一人娘も失い、自身はお尋ね者の身に。すべてを失った候杰は、少林寺の料理係(ジャッキー・チェン)の家で髪を切り、出家することを決意するが……。(シネマトゥデイより)



あのカンフー映画の金字塔『少林寺』が新しく生まれ変わったわけですが、
オリジナル版であるジェット・リー主演の『少林寺』はたぶん観てないです。
「少林寺」自体にそれほど興味があるわけでもなく、
ただ単に好きな俳優ジャッキー・チェンの98本目の出演作として観に行きました。
リメイクでもなければ続編でもないので、それで十分楽しめました。

オリジナル版は隋時代が舞台だったようですが、
『新少林寺』はその名の通り舞台もかなり新しくなり、
中華民国が誕生して間もない時期が舞台となっています。
中華民国は辛亥革命で清朝を倒し誕生した国ですが、
辛亥革命といえば先日公開されたばかりのジャッキー100本目の出演作
『1911』の題材だったことが記憶に新しいですが、奇しくも2作連続で、
同じ時代背景のジョッキー出演作が公開中なのですね。
全くタッチの違う作品ですが、1912年が舞台の本作の理解を深めるということでは、
『1911』を先に観ておけたのはよかったと思います。

例えば本作の主人公である候杰(アンディ・ラウ)ですが、彼は軍閥の将軍という設定です。
中国史に疎いボクは「軍閥」と言われてもどんな立場の組織かわかりませんでしたが、
『1911』を観たことで、中華民国初代大総統・袁世凱の新政府軍だということがわかりました。
『1911』のジャッキーは中華民国の成立に尽力する立場でしたが、
本作では逆に少林寺のひとりとして中華民国の軍人と相対する立場なわけです。
だからなんだってこともありませんが、ちょっと興味深い設定じゃないかな?

中華民国が誕生したとはいえ、列強の半植民地化や内戦で疲弊する中国市民。
そんな中、少林寺は慈悲の心で怪我人の手当てや炊き出しで市民を助けます。
しかし食料も乏しくなり、少林寺の僧侶たちの食い扶持すら事欠く状況…。
そこで少林寺の僧侶・浄空(シー・イェンレン)と浄海(ユイ・シャオチュン)は、
自ら義賊となり、軍や金持ちの蔵から食料を失敬して、こっそり市民に分け与えます。
当然、盗みは仏の教えに反する行為ですが、そんなことはお構いなしで、
彼らはちゃっかり自分たちの食料も確保しています。
この浄空と浄海のコンビはなかなかコミカルなキャラで好印象。
ほんの序盤のシーンですが、この義賊行為を行うシーンは楽しくて好きです。
もっとこの展開が続けばよかったのにと思うほどでした。

主人公である軍閥の将軍・候杰は、強欲な義兄弟・宋虎に嫌気がさし、殺害を画策。
部下の曹蛮(ニコラス・ツェー)に暗殺のセッティングさせた宴席に宋虎を誘き出しますが、
日頃から候杰に恨みを抱いていた曹蛮に宴席でクーデターを起こされ、
候杰は妻子もろとも曹蛮の刺客に暗殺されかけます。
一家散り散りになるも、妻・顔夕(ファン・ビンビン)は、
たまたま義賊活動流だった浄空らに救い出され、少林寺に保護されますが、
候杰と幼い娘は、辛くも逃げ切るも、その時の負傷により娘は他界…。
候杰は絶望に打ちひしがれ、生きる気力を失いますが、
そこを少林寺の料理番・吾道(ジャッキー・チェン)に拾われたことで、
出家し少林寺に入門することを決めます。

なかなか登場しないんでやきもきしましたが、ここで我らがジャッキーの登場です。
この時点で、物語も結構中盤に差し掛かってたりします。
ただこの後も、それほど登場するわけでもなく、額面通り特別出演程度です。
とはいえ特別だけあって、なかなかオイシイ役どころ。
少林寺の修行についていけずに料理番になったという役柄で、
カンフーはたしなむ程度というキャラ設定ですが、とんでもない。
料理の動きを取り入れた、ジャッキーらしいコミカルなオリジナル・カンフーで、
攻めくる敵をバッタバッタと倒す痛快で楽しいシーンが用意されています。
その少し前には、子どもの僧侶たちによるコミカルな見せ場もあり、それも楽しく、
ある意味、ボクにとっては本作のクライマックスでした。
本当のクライマックスでは、ジャッキーは戦闘に参加しませんので…。

出家し入門を認められた候杰は、吾道の炊き出しを手伝うことで、市井の人たちとふれあい、
一方で少林寺での修行にも励み、仏の教えに目覚め、改心します。
修行のシーンはたぶん「少林寺」系の作品の醍醐味なんじゃないかと思いますが、
候杰はけっこう歳なんで、あんまり凄まじい修行のシーンはないですね。

候杰を追い落とし、軍閥の実験を掌握した曹蛮は、
こっそり中国の文化財を外国人に売り、代わりに列強の最新兵器を買い集めます。
もちろんこんな売国行為が許されるはずもないので、
その文化財運びだしなどにかかわった労働者たちを、口封じのために皆殺しに…。
たまたま曹蛮のそんな蛮行を目にした候杰は、少林寺の仲間たちと一計を案じ、
自分が曹蛮のもとに乗り込む隙に、別働隊が労働者を開放するという策を実行します。
ここでの少林寺のNo.2、浄能(ウー・ジン)の活躍は素晴らしいです。
特に仲間を逃がすための人間閂(かんぬき)は熱いです。

物語序盤の曹蛮は、敵将を追い詰めても結局仕留めることができず、
なんだか非情に徹しきれないタイプの軍人かと思ったのですが、
実権を掌握した途端に別人のように残虐な男に変わりましたね。
ちょっと不自然さを感じるかな…?
それに単なる若造の曹蛮が、軍閥を掌握できた理由も、
彼の手先の刺客・索降図(ホン・ヤンヤン)がかなり強いカンフー使いで、
軍閥の幹部たちがビビってしまったからなんですが、
近代的な軍隊である彼らが1~2人のカンフー使いにビビるってのも…。
とはいえ、なんでもカンフーで解決してしまうのがカンフー映画の真骨頂。
戦争映画の『1911』ならおかしいが、本作はこれでいいのかもね。
曹蛮は列強の最新兵器である機関銃とかも持ってるのに、
クライマックスで候杰と戦いに剣一本しか持っていかないのも普通ならあり得ないけど、
カンフー映画だからアリです。

労働者を勝手に解放された上に、文化財まで奪い去られた曹蛮は、
軍隊を動員し、少林寺に総攻撃をかけます。
近代的な軍隊だから、当然ライフルなど銃火器を装備しているのですが、あまり使わず、
刺客・索降図をはじめ、半数ほどは時代遅れな青龍刀で戦います。
もちろんこれは銃を持たずに槍やカンフーで戦う少林寺の僧侶たちといい勝負をさせるための
カンフー映画ならではの配慮です。
戦火から民衆を非難させるために自らしんがりを務めた少林寺方丈(ユエ・ハイ)が、
カンフーで軍人たちを次々となぎ倒し、屍の山を築くところがかっこいいです。
そんなカンフーマスターの方丈でも、さすがに銃器には勝てず、狙撃され絶命しますが、
その死に方がまたかっこいい!

そんな少林寺境内での両軍による肉弾戦に、文化財を奪い返しに外国人の部隊が、
丘から境内を大砲で砲撃という無粋な横やりを入れに来ます。
さすがのカンフーでも近代兵器にあがなう術はなく、崩壊する少林寺…。
中国映画だからこの無粋な外国人は、大日本帝国軍人にでもしそうなところですが、
今回は白人部隊でした。
でもそんな砲撃も本作にとっては派手な舞台装置でしかなく、
砲撃で死ぬ人はほとんどおらず、そんな中でもちゃんとカンフーで闘ってるんですよね。

正直、ハッピーエンドではないですが、後味はかなりよく予想以上に楽しめた作品でした。
やっぱり外国人として中国映画に期待するのって、
『1911』みたいなリアルな戦争映画じゃなくって、本作のようなカンフー映画です。
今年は例年よりも中国映画を観ましたが、今年一番の中国映画でした。
(といっても両手に余るほどの本数しか観てませんが…。)

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