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マネーボール

読売ジャイアンツの清武GM(ゼネラルマネージャー)が、
ネベツネ会長がヘッドコーチの人事に不当に介入してきたとして、
「プロ野球を私物化している」と非難、内部告発の声明を発表しました。
プロ野球チームのフロントのことはよくわかりませんが、
親会社の会長でも球団の人事には口出ししてはいけないんことを初めて知りました。
あまりナベツネ会長にいいイメージはないので、ちょっと胸のすく出来事ですが、
たかがジャイアンツの人事問題で「プロ野球を私物化」って…。
清武GMも「ジャイアンツ=プロ野球」と思い上がってるんじゃないの?
まぁ今年のドラフトの菅野騒動見ても、
ジャイアンツがプロ野球を私物化しているのは事実ですが…。

そういうボクは、甲子園の近所が地元なので、阪神タイガースファンです。
だけどもう長い間プロ野球は見てません。
金で他球団の選手を集めるタイガースの金満体質に嫌気がさしました。
金に釣られてやってくる選手も嫌いだし。
今年のオフからはちょっと金満体質を和らげるそうだけど、
今年4位なのに、新井選手に現状維持の2年5億円を提示とかアホでしょ。
それに不快感を示す新井選手にもガッカリです。
というか、彼に限らずプロ野球選手は年棒貰いすぎです。
今のプロ野球の人気から考えたら、最高年棒1億円ぐらいが妥当です。

ということで、今日は貧乏球団オークランド・アスレチックスのGMが、
金満球団をギャフンと言わせた実話を基にした映画の感想です。
なんかタイムリーですね。

マネーボール

2011年11月11日日本公開。
オークランド・アスレチックスのGM、ビリー・ビーンの半生を、
ブラッド・ピット主演で映画化したヒューマンドラマ。

元プロ野球選手で短気な性格のビリー・ビーン(ブラッド・ピット)は、アスレチックスのゼネラルマネージャーに就任する。チームはワールド・チャンピオンになるには程遠い状態で、優秀な選手は雇えない貧乏球団だった。あるとき、ピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)というデータ分析にたけた人物との出会いをきっかけに、「マネーボール理論」を作り上げる。しかし、「マネーボール理論」に対し選手や監督からは反発を受けてしまい……。(シネマトゥデイより)



メジャーリーグのオークランド・アスレチックスのGM、ビリー・ビーンが、
セイバーメトリクスを使った独自の「マネーボール理論」で、
貧乏球団を強豪チームに作り替えたという実話を描いたノンフィクション書籍を、
映画化したのが本作です。
その徹底的にコストパフォーマンスに拘った理論は、野球界のみならず、
ビジネス界からの反響も大きく、経済書としても読まれたそうで、
原作本は全米でベストセラーになったそうです。
野球ネタの経済書といえば、日本で話題になった『もしドラ』を思い出してしまいますが、
本作は実話が基になってますから、『もしドラ』のような机上の空論ではないです。
まぁ『もしドラ』は経済学の野球への応用だけど、本作はその逆の目的だから、
本質が全然違いますが、映画化としては本作の方が1000倍面白いです。

マネーボール理論とは、従来の野球選手の評価基準だった打率や打点を否定し、
出塁率や選球眼(ヒットよりも四球)のいい選手を優先して獲得するという戦略です。
そうすることで他球団と評価基準が異なるので、欲しい選手が低い年棒で獲得できます。
他にも守備力を重視しない、バントや盗塁はしないなど、
従来の野球の常識では考えられない独自の理論を含んでいます。
かなり極端な理論に思えるので、ホントに有効なのか疑問に思ってしまいますが、
その根底には統計学があり、統計上は理にかなったもののようです。
ボクも昔、野球のシュミレーション・ゲームで、好打者オンリーのチームを作りました。
守備はザルでしたが、なかなか強かったです。(まぁ打率優先だったけど…。)

2000年初頭、ビリー・ビーン(ブラッド・ピット)がGMを務めるアスレチックスでは、
ジェイソン・ジアンビ、ジョニー・デーモン、ジェイソン・イズリングハウゼンといった
主力選手が一斉にFA権を獲得してしまいます。
アスレチックスはメジャー屈指の貧乏球団なので、彼らを残留させることは出来ず…。
特に金持ち球団ヤンキースに取られたジアンビの穴は大きく、
スカウトたちはその穴を埋められる安い選手を見つけることができません。

そんな折、ビリーはインディアンズのGMの補佐としてデータ分析をしていた
ピーター・ブラント(ジョナ・ヒル)に出会います。
野球経験はないが独自の選手評価基準を持つピーターを気に入ったビリーは、
ピーターを引き抜き、自分の補佐に任命、彼と共に新しい基準で球団作りを始めます。
なんというか、本作はカリスマGMのビリー・ビーンの話ですが、
実際にスゴイのは、その独自の理論を作りデータ分析するピーターの方のような…。
ただ、どこの馬の骨ともわからない若造を信じて重用したことに関しては、
なかなか真似のできないことだと思いますが…。
まぁ実績がなく不確定な要素が多いピーターを起用することは、
マネーボール理論には反する行為ですよね。

ピーターから出塁率の重要性を説かれたビリーは、
ひとりでは埋まらないジアンビの穴を、出塁率の高い3選手を獲得して埋めることを決定。
選ばれたのは、利き腕を怪我した元捕手スコット・ハッテバーグ(クリス・プラット)、
少し前は名選手だったが高齢のデービッド・ジャスティス(スティーヴン・ビショップ)、
素行は悪いが選球眼だけは兄以上のジアンビ弟、ジェレミー・ジアンビの3人。
いずれも他球団ではお荷物となっていた選手のため、コストは安いのですが、
出塁率だけで怪我人、ロートル、ダメ人間を獲得すると決定したビリーに、
当然スカウトたちは反発しますが、彼はあっさりチーフスカウトをクビにし強行します。
ついでに変な投げ方(アンダー・スロー)でかっこ悪く人気がなかった投手
チャド・ブラッドフォードもお安く獲得します。
メジャーは球団も選手もドライというか、これだけ主力が交代したら別球団みたいですね。

独自の理論で満足のいく補強が出来たビリーですが、彼のこの補強は、
従来の野球の常識とはかけ離れており、一般的には愚行とみなされます。
実際に彼らを使うことになるハウ監督もビリーの理論は全く理解できず、
特に捕手だったハッテバーグをジアンビの穴である一塁手として使うことに疑問を感じ、
ビリーの意図には反して、ハッテバーグではなくカルロス・ペーニャをスタメンに…。
そのせいで理論がうまく機能しないためかチームは開幕直後から低迷を続けます。
なんだかんだで試合の采配を取るのはGMではなく監督ですもんね。
監督は監督で自分の去就問題もあるから、自分が納得できないことはやりたくないしね。
やっぱり監督って重要で、今年の阪神タイガースの不振も真弓監督の采配のせいです。

ビリーが監督にいくらお願いしても、監督はハッテバーグを使ってくれないので、
彼はGMの人事権で、一塁手ペーニャを勝手に放出してしまいます。
ペーニャまで放出してはアスレチックスはもうダメだと、世間から人事を酷評されますが、
ハッテバーグが一塁に入った途端にチームは好調に転じます。
やっぱりビリーの理論はスゴイんだなと思ったけど、常に彼が正しいわけでもないようで、
ペーニャと共に、せっかく理論で獲得したジアンビ弟も放出するんですよね。
始めにジアンビ弟を取ったのは間違いだったということでしょうね。
ジアンビ弟は負けてもヘラヘラしているので、ビリーの癇に障っただけかも…?
それにしても、ちょっと無用と思ったら、すぐにトレードしちゃうなんて、
メジャーはホントに選手をコマのように扱うんですね。
日本はどちらかといえば生え抜きの美学があるし、ボクも生え抜きが好きだから、
こんな球団は思い入れが持てなさそうです。

ビリーは人事権を握っているので、選手と同行したりすることを避けているのですが、
彼はこのトレードがキッカケか、選手ともコミュニケーションを取るようになります。
喝を入れたり励ましたり、時にはデータでバッティングなど技術面もサポート。
それもあってか団結力が増し、理論も機能し、チームの快進撃が始まります。
ビリーがゴリ推ししたハッテバーグのサヨナラホームランなどもあり、
チームはア・リーグのレコード連勝記録を20連勝で更新するまでになります。
このレコード更新となった20勝目の試合はかなり波乱の展開です。
勝ったからいいけど、マネーボール理論による守備を重視しないという姿勢が、
マイナスに働いたような印象を受けます。
この理論は統計学なので、トータルでは勝率が高くなるけど、
一戦一戦の勝敗はけっこう不安定みたいですね。

トレード最終日にはピーターのイチオシ選手、リカルド・リンコンまで
巧みなトレード交渉で獲得し、チームはいよいよ絶好調。
そのままア・リーグ西地区を制し、ポストシーズンに進出します。
しかし前述のように、トータルでの勝率重視のこの理論は、短期決戦には弱く、
ディビジョンシリーズでツインズにあっさり敗退してしまいます。
短期決戦ではWBCの日本代表のように、盗塁やバントを多用してでも、
一点を貪欲に取りに行くスモール・ベースボールが有効のようです。
マネーボール理論は、低コストでも攻撃重視のビッグボールの進化系ですからね。
なかなかプレーオフは勝ちあがれません。

そう思えばマネーボール理論はコストパフォーマンスは重視するものの、
結局は即戦力となる実力者を獲得するというメソッドで、
決して他球団のお荷物を何でも引き受けようというものではないんですよね。
このビリーの成功により、他球団でも出塁率が重視されるようになり、
年棒に反映されるようになってしまいました。
こうなってくるとあまりこの理論は意味をなさなくなってしまいます。
まぁ結局はやったもの勝ちの奇策でしかなかったということでしょう。
もうこれを真似しても、強いチームは作れないでしょう。
経済書にしてもそうだけど、成功した経営者の経営理論なんか学んでも仕方ないです。
ジョブズと同じことをしてもジョブズは超えられません。

アスレチックスで一定の成功を収めたビリーは、
メジャー屈指の金持ち球団レッドソックスから、
超高額の年棒(1250万ドル)でオファーされることになります。
ところがビリーはそのオファーを蹴り、アスレチックスに留まります。
それは自分が高校時代に、メッツからスカウトから高く評価され、
高い契約金に釣られ、大学進学を諦めメッツに選手として入団したものの、
全然活躍できなかったという苦い経験から、
もう二度と金で釣られたくないと考えているからです。
たしかにマネーボール理論は好き好んで取る戦略ではなく、
金がない中で生まれた苦肉の策だから、金持ち球団がやっても仕方ないし、
ビリーもレッドソックスに移ったら活躍できなかったと思います。
それにあそこで残留したからこそ美談であって、
こうして本になったり映画化されるんですしね。
(ピーターとの会話の流れでは、オファー受けそうな印象だったのですが…。)

それにしても、ビリーも選手時代に泣いたドラフト制度ですが、
学生野球などアマでの名選手がプロになって活躍できる保証なんてどこにもなく、
なかなか難しいシステムです。
今年のドラフトで話題になった東海大の菅野智之くんも、
希望していたジャイアンツではなく、日ハムが交渉権を取ったことは不服でしょうが、
自分がプロで活躍できる保証なんてどこにもないんだから、
ダダこねてジャイアンツ入ったはいいけど活躍できなかったら悲惨ですよ。
たかが伯父の七光りでどこからそんな自信が湧くのか知らないけど、
ドラフトに掛かる選手は謙虚でいた方がいいです。
江川卓がいい例で、ナベツネからは寵愛されてるみたいだけど、
野球ファンからは総スカンです。

本作はコストパフォーマンスを追求することで、
正当に評価されていない人をちゃんと評価することの重要性を描いた物語です。
先達て、「最ギャラが払われすぎなハリウッド俳優」ベスト10が発表されました。
1位はダントツでドリュー・バリモア。
以下、エディ・マーフィ、ウィル・フェレル、リース・ウィザースプーン、
デンゼル・ワシントン、ニコラス・ケイジ、アダム・サンドラー…と続きます。
なかなか興味深いデータで、マネーボール理論では絶対に起用してはいけない
コストパフォーマンスの悪い俳優ってことですね。
中には好きな俳優もいるので、ホントに起用されなくなったら困りますが…。
本作の主演ブラッド・ピットはコストパフォーマンスはいい方なのかな?
前作『ツリー・オブ・ライフ』はコケたので、かなりコスト悪くなってそうですが、
あれは自分で製作してるからギャラは安かったかもしれませんね。
そんなブラピは本作でオスカー候補になるのではと噂されています。
(『ツリー・オブ・ライフ』でもオスカー候補になるかもしれませんが…。)
オスカー候補、あわよくば受賞なんてことになったら、どんなコストも帳消しですね。

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