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カウボーイ&エイリアン

狙ったのかどうかはわかりませんが、先週末は2本の西部劇が公開となりました。
なんだか近年、ハリウッドで西部劇ブームが盛り返してきている気がします。
特に去年度、『トゥルー・グリット』がオスカー候補になり大ヒットしたことで、
ドル箱コンテンツと気付いたのか、西部劇製作の情報をよく目にするようになりました。

西部劇は長い歴史を持たないアメリカにとって時代劇のようなもので、
これまでももっとたくさん作られててもいいようなものなのですが、
西部開拓時代は白人が原住民の土地を奪う侵略の歴史で、
人権問題的に作りづらくなり、西部劇は衰退してしまったそうです。
その後、イタリア産のマカロニ・ウエスタンが大ヒットし、
西部劇がアメリカの時代劇という印象も薄くなっちゃいましたね。
今日の西部劇は原住民(インディアン)を悪く描いたりしませんが、
「インディアン、嘘つかない」でお馴染み、原住民偏見の代名詞的西部劇である
『ローン・レンジャー』も(ジョニデ主演で)リメイクされるということで、
どんな仕上がりになるのか見ものです。

ということで、今日は西部劇映画の感想です。
西部劇は今後盛り上がっていくジャンルだと思いますが、
本作は現在ブーム真っ盛りの宇宙人ものSF映画でもあります。

カウボーイ&エイリアン

2011年10月22日日本公開。
人気グラフィック・ノベルを実写化したSFアクション超大作。

過去の記憶をなくした男(ダニエル・クレイグ)が砂漠の町アブソリューションに迷い込むが、住民たちからは歓迎されなかった。また、すべては町を牛耳るダラーハイド大佐(ハリソン・フォード)の支配下にあることを知る。男の記憶の手掛かりは片方の手首にはめられた手かせだけだが、そんな中、町の上空から未曾有の脅威が襲い掛かってきて……。(シネマトゥデイより)



カウボーイとエイリアン。
なんとも興味深い異色のコラボを果たした本作ですが、
そんな設定以上に興味深いのはキャストのコラボでしょう。
現ジェームズ・ボンドことダニエル・クレイグと、
インディ・ジョーンズのハリソン・フォード、
ハリウッド映画二大ヒーローの夢のコラボが実現です。
しかし、物語序盤で初顔合わせをした二人は、一触即発の状態となり、
ボンド対インディの実現か!…と思いきや、突如襲来したエイリアンが横やり…。
こんなことなら「カウボーイ&カウボーイ」の方がよかったと興醒めしました。

…というのは冗談ですが、本作はそんな二人の共演を目当てに観に行く人も多いでしょう。
特にハリソン・フォードの日本での人気は絶大なものがあり、
アメコミ映画なんて観なさそうな年配のお客さんも多く入ってました。
それもあって、日本ではあたかも二人のW主演作であるかのような売り方がされてますが、
実際はダニエル・クレイグ単独主演作です。
ハリソン・フォードの役柄はアメコミ映画でいうところのサイドキック…、
いや、せいぜい主人公の最初の仲間ってところでしょう。
(あ、最初の仲間はイヌだから、2番目の仲間で…。)

本作でハリソン・フォードが演じるダラーハイドは、牧畜業を営む町の有力者で、
特に凄腕のガンマンというわけでもない偉そうなオジサン。
たしかに制作サイドもインディを意識してキャスティングしたのは事実のようですが、
インディのようなヒーロー的な要素はあまりなく、どちらかといえば嫌な役回りで、
インディのようにマッチョな活躍を期待すると拍子抜けすることになります。
(サービスで、投げ縄をムチのように使ったりするシーンがあってもよかったのに…。)
ダニエル・クレイグ演じるお尋ね者のガンマン、ジェイク・ロネガンとは、
戦う力的にも対等ではありません。(というより格が違う。)
ボクもハリソン・フォードの活躍をアクション面でも期待していたので、ちょっと残念…。

しかし、もっと残念なのはエイリアンの描き方ですよ。
宇宙船や光線銃作れるだけの科学力があるにもかかわらず、
陸戦で人間を襲う時は主に直接的な暴力を使います。
虫けら同然の地球人には化学兵器を使うまでもないということかもしれないが、
それにしても虫けらを噛み殺すなんて戦い方、高度な文明人のやることではないです。
せっかく西部劇とSFが融合しているのに、こんなエイリアンでは野生動物と変わらない。
容姿も禍々しく、でかいカエルのようで、インテリジェンスのカケラも感じません。
せめて宇宙服くらい着ればいいのに…。
何も着てないから防御力がなさすぎて、アパッチの原始的な武器でも大打撃を受けます。
明るいところが苦手らしいけど、それならサングラスでもすればいいです。
同じスピルバーグ関連作では『SUPER8/スーパーエイト』の時も思ったけど、
最近のハリウッドは、なぜエイリアンをクリーチャー的にしか描けないのかな?

…と、残念なところを先に書いてしまいましたが、全体としては概ね楽しめました。
西部劇とSF映画の組み合わせでは『ワイルド・ワイルド・ウエスト』などがありますが、
本作のようなエイリアンものSF映画となるとちょっと珍しかったかも。
おそらく19世紀後半あたりの西部開拓時代が舞台だと思いますが、
当時は宇宙人という概念が一般的ではなく、登場人物たちはエイリアンを悪魔と称します。
それくらいギャップのある設定ということですね。
エイリアンたちが地球に来た目的も、単なる地球征服とかではなく、
なんとも開拓時代らしいもので、興味深いです。
エイリアンも白人も西部を開拓する目的は一緒ってことですね。
そういえばエイリアンってのは外国人って意味だから、
この時代の白人たちも原住民からすればエイリアンってことですね。
ダブルミーニング、或いはメタファーのつもりなのかも?

本作は内容的には「エイリアンVS.カウボーイ&アパッチ」といった感じで、
普段敵対しているカウボーイとアパッチ(インディアン)が、
共通の外敵エイリアンと戦うために共同戦線を張るという展開です。
ライバルが手を組み、強大な敵に立ち向かうというのは、
少年マンガやアメコミでは鉄板の激熱な展開!
本作は基本、その展開の連続からなり、手を組むのライバルはアパッチだけでなく、
最初は敵対していたジェイク(D・クレイグ)とダラーハイド(H・フォード)もそう。
実業家ダラーハイドと、彼の荷を積む駅馬車を襲う強盗団、
利害が反する2組が共闘することになるのもそうです。
だから後半にかけてどんどん盛り上がっていく展開になるわけです。
人類は共通の敵がいると、人種や利害の壁を越えて協力し合えるというメッセージです。

ただ、今回の共通の敵であるエイリアンですが、そんな共同戦線はあまり意味がなく、
ほとんどジェイクの謎の腕輪により始末されてしまいます。
その腕輪はこのエイリアンが作った化学兵器であり、
実質エイリアンの力でエイリアンを倒しているのと変わりはなく、
カウボーイ対エイリアンという異色コラボ的な構図とは言い難いです。
例えばサムライとカウボーイが戦うとして、サムライが日本刀ではなく、
ピースメーカー(カウボーイのリボルバー)で戦ったらガッカリすると思いますが、
本作もそれと同じようなガッカリ感を微妙に感じます。
もう絶望的な戦力の差で、この時代の武器ではどうにもエイリアンに対抗できないなら
まだ仕方ないかとも思うのですが、なまじっか効くんですよね。
ライフルやナイフも有効だし、前述のように槍や弓矢でも殺せちゃいます。
もし現代のアメリカにこのエイリアンが来たら、米軍に速攻制圧されるでしょう。
それくらい弱いので、例の共同戦線で決着がつく展開でもよかったかと思います。

ジェイクの腕輪の入手経緯も、もうちょっと工夫がほしかったかな。
あまりにも都合のよすぎる偶然によるものだし、仕様もいいかげんです。
あと、ヒロインのエラ(オリヴィア・ワイルド)も謎すぎます。
その素性はわかりますが、いろいろ詳しすぎるし、実質最強じゃないですか?
ラストの顛末も、不死鳥のような彼女ならきっと平気じゃないかと思われます。
もしかしたら続編への伏線かもしれませんね。

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