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夜明けの街で

学生の頃に『ナニワ金融道』とか『カバチタレ』とか、法テク漫画にハマって、
一時期は法律家に憧れ、大学で法律系の講義を取ったりしてたんですが、
そのころ得た知識は、今となってはほとんど使いものになりません。
今の仕事で活かせないとか、そういうことではなくて、
法律はどんどん改正されてしまうので、昔の知識は役に立たなくなるということ。
法律は継続的に勉強し続けなければダメですね。
当時『ナニワ金融道』とかで使われていた抜け道的法テクも、
かなり使えなくなってきてるんじゃないかな?
こういう作品を今から映画化するとなったら、実情に合わせて、
かなり内容を変える必要に迫られるかもしれませんね。
なので法律絡みの作品は早めに映画化した方がいいです。
裁判員制度とか刑法が深く関わる法廷ものやサスペンスもそうでしょう。
時代劇なら全然問題ありませんが…。

ということで、今日は今の法律システムではありえない映画の感想です。
時効制度が重要なポイントになる作品ですが、去年の刑事訴訟法改正により、
殺人事件の時効は撤廃されました。
なので本作には「平成21年が舞台である」と補足が入っています。

夜明けの街で
夜明けの街で

2011年10月8日公開。
東野圭吾のベストセラー小説が原作のラブストーリー。

大手建設会社の課長・渡部(岸谷五朗)は理想的な家庭生活を送っていたが、ある日、会社に派遣社員として入ってきた仲西秋葉(深田恭子)と一夜を共にしてしまう。自分の中にまだときめく感情が残っていたことに驚きを感じた渡部は秋葉との逢瀬を重ねるが、あるとき彼女から自分は殺人犯という衝撃の告白をされ……。(シネマトゥデイより)



不倫映画には興味はないけど、好きなミステリー作家である、
東野圭吾の小説が原作の作品なので鑑賞しました。
彼にとって新境地となるロマンス作品だから不安もあったし、
内容も不倫なのでどんなドロドロの恋愛が描かれるのかと身構えてましたが、
意外にも軽いコメディ・タッチで思ったよりも楽しめました。
「不倫なんてする奴は馬鹿だと思っていた」という主人公のセリフから始まるので、
主人公はかなりお堅い性格なのだろうと思ったけど、意外とオチャラケた性格で、
そんな彼とかわいいOLとオフィス・ラブが軽快に明るく描かれます。
不倫のドロドロさは薄く、主人公の浮足立ってる感じが滑稽で面白いです。

『夜明けの街で』という題名は、何かで聞いたことがあるフレーズだと思ってましたが、
劇中曲を聴いて納得、サザンの名曲『LOVE AFFAIR ~秘密のデート~』の出だしですね。
後で確認したところ、実際にその曲からインスパイアを受けて書かれた小説らしいです。
本作を観て、あの曲が不倫の曲だってことに初めて気づきました。
あの曲もドロドロ感はなく、恋のウキウキ感が強いポップな曲ですよね。
だから本作も題材の割には軽妙な作風になったんですね。

ただそこは、ミステリーの大家・東野圭吾の原作作品です。
やはり恋愛関係の裏には、ちゃんと殺人事件が関係しており、
明るい作風の中にも、どこか緊迫感を醸しています。
特に終盤は、不倫の結末が刃傷沙汰で終わるのではないかという雰囲気があり、
序盤のウキウキ感から一転、息が詰まるようなシリアスな印象に変わります。

とはいえ基本はロマンス映画であり、それにミステリーの風味を足しただけの作品です。
本作においてミステリー要素はそれほど重要なファクターではありません。
それはわかってるんだけども、やはり東野圭吾に求めてしまうのは謎解きで、
そこに期待しすぎてしまった挙句、ちょっと物足りなく思った感は否めません。
作中の殺人事件に対し、ネタばらし、謎解きらしき展開は一応用意されているのですが、
あからさまに隠す気のないミスリードに、ちょっと無理がある真相。
○○を残しているのにあんな方法で△△する意味がないとか、
ヒロインに対する暗示とか、かなりリアリティのない展開で、
あまり上手いミステリーのはいえない内容です。

だけど殺人事件だけがミステリーではなく、恋愛ミステリーだと思えば、
オチ(妻のセリフ)のサスペンス感にはちょっとゾクッとくるものがあります。
ただここまでの展開ももうすこしヒネリがあってもよかったかな?
結局、妻に不倫がばれていたってオチなんだけども、本作の描き方では、
不倫がばれたのは妻の勘でしかなく、何か不倫の証拠を握られたわけではありません。
このあたりにもっとわかりやすい根拠、そしてネタばらしがあれば、
恋愛ミステリーとして綺麗な形になったと思います。
とはいえ、何の証拠も挙がってないのに不倫がばれるって方が、
逆に怖いのかもしれませんね。
主人公は悪い男ではないけど、不倫しておいてハッピーエンドは道徳的に許されず、
離婚よりも恐ろしい制裁を受けることになったのは、納得の結果ですが…。
妻にばれてもばれなくても、関係が終わっても続いていても、
離婚しない限りは不倫したものに罪悪感が一生残ることになるので、
当たり前のことですが不倫なんてするもんじゃないです。

深田恭子演じるヒロインの秋葉は、小悪魔的ツンデレキャラで、
同僚に黙ってこそこそオフィス・ラブする相手としては最高に楽しいタイプだろうけど、
魔性すぎて結婚を考えられるようなタイプではないです。
それに木村多江演じる妻の有美子は、秋葉に負けず劣らずの癒し系美人で、
秋葉に分があるとすれば、若さくらいのものです。
主人公の渡部(岸谷五朗)とも全く倦怠期なわけでもなく、
彼が不倫に走るとは考えにくい、とてもいい奥さんです。
例え不倫相手の秋葉と妻・有美子を秤にかけて釣り合ったとしても、
なにより有美子との間にはかわいい盛りの4歳の娘までいるし、
秋葉と家庭では全く釣り合いません。
彼の立場なら誰しも離婚なんて選択肢は考えられないと思うはずだけど、
そんな理屈じゃないのが不倫なのかな?
結婚すらままならないボクにはわからないことですが、
中盤以降の離婚を考え始めた主人公の気持ちは理解を超えていました。

さすがは東野圭吾とでも言いましょうか、
新境地に挑戦しても思ったより面白いものになっていたと思いますが、
向き不向きでいえば、彼はロマンス小説には向いてないです。
…というか、そんなのを書く労力を、いいミステリーを書くことに回してほしいです。
さて、次なる東野圭吾原作映画は来年早々に公開となる『麒麟の翼』です。
大好評だったテレビドラマ『新参者』の劇場版という位置づけで、
『ガリレオ』の劇場版『容疑者Xの献身』と同じパターンですね。
東野圭吾映画は『さまよう刃』『白夜行』そして本作と、連続ではずし気味でしたが、
『麒麟の翼』は期待できると思います。

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