ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ランゴ

本日、日本公開を迎えたCGIアニメーション映画『ランゴ』ですが、
これだけの大作アニメ映画の場合は、日本語吹替えが圧倒的に多いのが普通なのに、
本作はほとんどの劇場で字幕のみの上映となっています。
その理由は日本でも絶大な人気を誇るジョニー・デップが主演声優だからでしょう。
配給会社もジョニデ目当てでお客が入ることを期待しているということです。
逆に言えば、西部劇のアニメなんて、日本人は観ないと思っているから、
キャストで釣ろうとしてるんでしょうね。

でもこれって至極当然のことで、むしろ他のアニメも字幕上映の回数を増やすべきです。
ほとんど日本語吹替えされてしまうので、あまり注目されないけど、
ハリウッドのアニメ映画って、キャストが恐ろしく豪華なことがあります。
例えば『カンフー・パンダ2』なんて、主演ジャック・ブラックで、
脇にはアンジェリーナ・ジョリー、ダスティン・ホフマン、ゲーリー・オールドマン、
ジャッキー・チェンなどなど、実写なら不可能じゃないかと思うくらい超豪華共演。
これでもかなりお客さんは呼べるはずなのに、日本語吹替えでの上映が圧倒的でした。
日本語吹替えの主演の山口達也がよくなかったってことはないけども、
あまりに吹替え版比率が高すぎて、字幕版を選べない地方がいっぱいあるのは問題です。
(かくいうボクも、字幕がよかったけど、吹替え版しか選択できませんでした。)
子どもも観るアニメなので、吹替え版は絶対にあるべきだけど、どこの劇場でも、
出来れば半々、せめて平日レイトショーくらいは字幕で上映してくれないかな?
本作が日本でもヒットして、アニメは字幕でも勝負できるという前例になれば嬉しいです。

ということで、今日はジョニデのお蔭で字幕で鑑賞できた作品の感想です。
今回は逆に字幕しか選択できなかったんですが、字幕ばかりというのも問題で、
小学生以下の観客も多く、その子たちにはちょっと気の毒でした。

ランゴ

2011年10月22日日本公開。
ジョニー・デップがエモーション・キャプチャーで主演するCGIアニメーション映画。

ドライブ中に水槽ごと道路に投げ出されてしまい、砂漠でさまよう羽目になったカメレオン、ランゴ。自分とおもちゃしかいなかった水槽の世界から一転、ダートという町に流れ着いたランゴは、人間関係、生存競争などに満ちた現実世界の厳しさを知っていく中、町からなくなった水を取り戻す依頼を受ける。(シネマトゥデイより)



本作はパラマウント映画ですが、今までパラマウントのアニメ映画製作は、
『シュレック』シリーズなどのドリームワークス・アニメーションに委託していました。
しかし本作はパラマウントが自社で製作したアニメ映画です。
ドリームワークスはアメコミのパロディ・アニメ『メガマインド』の不振により、
得意とするパロディ(オマージュ)路線から撤退することを決めましたが、
その直後にパラマウントが独自で作った西部劇のオマージュ作である本作が大ヒット。
この成功に自信を付けたパラマウントは、ドリームワークスに三下り半を突き付けました。
来年以降、ドリームワークスは新たに配給先を見つけるか、自社配給することになります。
その意味で本作は、パラマウントが自らアニメ製作を始めたメモリアルな作品です。

本作は昨今のCGIアニメーション映画とは異なる3つの特徴があると思います。
1つ目は上記の通り、(日本では)ほぼ字幕でのみの上映ということ。
2つ目はデジタル3Dを使わない、2D上映のみのCGIアニメということです。
CGIアニメは実写映画とは違い、バーチャルなので3D化するのは簡単で、
ほぼ全てのCGIアニメ映画は3Dで公開されています。
3D化すれば割増料金も取れて儲かるので、会社としてはもちろん3D化したかったのですが、
なんでも監督が3D化したくないと必死に抵抗したそうです。
最終的には監督の意向に押し切られたわけですが、なぜそこまで嫌がったのかは謎です。
このゴア・ヴァービンスキー監督は『パイレーツ・オブ・カリビアン』の監督ですが、
3Dになった4作目だけは彼が監督してないんですよね。
よっぽど3Dが嫌いなんでしょうが、ボクも嫌いなのでこんな監督がいることは嬉しいです。
必然的にほぼ2D字幕のみの上映となるんですが、この秋の新作ラッシュの時期に、
スクリーンを複数使う必要がないのは有難いです。

最後の3つ目の特徴はエモーション・キャプチャで制作されているということです。
役者の動きをセンサーで取り込むモーション・キャプチャでも、
役者の表情までセンサーで取り込むパフォーマンス・キャプチャでもない新技術。
…というか、役者の演技をアニメ制作の参考にするというなんかローテクな手法です。
アフレコ現場で実際にキャストに衣装着せて演技させ、その動きや表情を参考に、
CGIのキャラクターの動きを決めるという手法です。
本作の主人公のカメレオンはジョニー・デップが演じていますが、
声だけでなく、動きも彼に似せて作ってあるってことですね。
不思議と厳密に動きを取り込むエモーション・キャプチャーよりも、
彼らしい動きが再現されていると思いますが、人間じゃないキャラだからかな?
カメレオンのデザイン自体もジョニデを充て書きしており、
爬虫類キャラなのに、どことなくジョニデに似ているような気がします。
でもせっかくジョニデに直に演技してもらってるのに、
アニメーションの参考にするだけってのも、勿体ないというか贅沢というか…。
俳優と声優の区別がない、ハリウッドならではの発想ですね。

ここまでは本作の概要に対する感想ですが、ここからは本作の内容の感想です。
まず本作は西部劇、特にマカロニ・ウエスタンのオマージュが満載のアニメであり、
どちらかと言えばそれが理解できる大人向けの作品と言うことになります。
子どもはもちろん、西部劇に全く興味がない人だと、ちょっとつまらないかも?
ボクも西部劇に興味を持ち始めてからまだ日が浅く、
何かのオマージュっぽいシーンだと思っても元ネタまではわからず、
かなりの笑いを損したと感じています。
(西部の精神がクリント・イーストウッドのオマージュということだけわかりました。)
まぁ古典的な西部劇を擬人化した動物でやっているだけなので、
西部劇の雰囲気は十分味わえます。

ある荒野の町に余所者がやってきて騒動が巻き起こる、というのが西部劇のパターン。
今回はその余所者が主人公の名もなきカメレオン(ジョニー・デップ)です。
彼は人間のペットだったが、飼い主のドライブ中に事故で道路に投げ出されてしまい、
砂漠をさまよう羽目になり、なんとか荒野の「土の町」にたどり着きます。
その町で彼は「ランゴ」と名乗り、西部の凄腕ガンマンだと即興のウソを付いたことで、
住民から祭り上げられ、その町の保安官に任命されてしまいます。
町は深刻な水不足に悩まされており、彼は保安官としてその問題に取り組むことになるが、
その裏には大きな陰謀が隠されていた…、という話。

主要登場キャラたちが砂漠の動物なので、彼らにとって大切なものは金ではなく水、
本作では水が金のように扱われており、銀行にも水が預けてあります。
昔は豊かにあった水がなぜ急に不足するようになったのかが本作の最大の謎で、
ランゴはその謎を探るイグアナの女の子マメータと一緒に水問題の調査をします。
この水問題ですが、実はかなり込み入っており、なかなか難しいです。
悪党が何組(匹)もいたりと、登場キャラもかなり複雑な相関関係になっており、
その割にはちゃんと整理されておらず、ややこしいことになっています。
たぶん小学生以下の子どもには理解しにくいので、親御さんは気を付けてください。
『カーズ2』の時も思ったけど、最近のCGIアニメは大人を意識して懲りすぎ。
アニメはあくまで子ども用に作るべきで、この傾向はよくないです。
本作は特にブラックすぎるし、端から子どもは無視していると思われます。

この水問題は、抜本的な水不足問題と、水銀行の銀行強盗事件の二段構造になってますが、
この2つの事柄は全く違う別問題と捉えないといけません。
特に水不足問題は如何ともしがたいほどのスケールの大きな話で、
まさかそんな展開になるとは思いもよりませんでしたし、
抜本的に解決できないので、なんとなく後味の悪さが残る気がします。
(『ハッピーフィート』の後味の悪さに似てるかな?)
銀行強盗の真犯人である悪党をこらしめて、めでたし×2で終わりますが、
その悪党たちもある意味では水不足問題の犯人の被害者ですが、
その犯人が裁かれることはありませんし…。
なのでサスペンス的に楽しむのはオススメできません。
細かいことは流して、ランゴの成長の物語として楽しむのがいいでしょう。

でもそのランゴが成長する過程で、急に虚実不明なスピリチュアルな展開になります。
(西部の精神が登場する前後の展開です。)
例えるなら『パイレーツ・オブ・カリビアン』3作目冒頭のような…。
ボクは必至で物語の筋を追っていましたが、さすがにそこでは振り落とされかけました。
あれもなにかの西部劇のオマージュなのかな?
とにかく意図がわからない展開でうろたえました。
そう思えば、冒頭から登場した関西弁(メキシコ訛り)のアルマジロも、
結局何者なのかわからなかったなぁ…。
彼もスピリチュアルな存在という考え方でいいのかな?

あと、主人公のランゴがカメレオンである必然性ももっとあってもいいかな。
カメレオンがカメレオン俳優のジョニデのメタファーだということはわかるけど、
せっかくならカメレオンの代名詞である擬態能力とかもっと活かしてもいいかも。
この展開だと、余所者としては別に砂漠の動物でなければ、
カメレオンじゃなくてもよかった感じだし…。
まぁいろんな動物が登場するけど、ガラガラヘビの死神ジェイク以外は、
その種の特色を出してないし、あまりアニマル映画という意識で作ってないのかも…。
個々のデザインは客に媚びずにグロテスク気味で気に入りましたが…。

今年度のアカデミー賞長編アニメ部門のオスカー最有力とも目される本作。
面白いと思えるかどうかは別としても、なかなか異色な意欲作だと思います。
映像的にもドリームワークスやピクサーに引けを取るものではないし、
本当にオスカー取っちゃう可能性は高そうです。
万人にオススメはできないけど、映画ファンなら通っておくべき映画ではないでしょうか。

本作のコンビ、ゴア・ヴァービンスキー監督、ジョニー・デップ主演の実写西部劇、
『ローン・レンジャー』(2012年公開予定)も楽しみですね。
ジョニデのギャラが高すぎて、一時は製作中止になりかけましたが、
彼がギャラ減額に応じ、さらに予算大幅縮小することでなんとか製作されそうです。
それでも製作費は2億1500万ドルだとかで、十分超大作クラスです。
本作『ランゴ』は1億3500万ドルだから、これ以上予算でもめるようなことがあれば、
本作みたいにCGIアニメで作っちゃえばいいよ。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/565-6ee76acc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad