ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

天国からのエール

なんでも、10月10日付のオリコン・ウィークリー・ランキングで、
史上初めて、韓流アイドルがアルバムとシングルチャート両方の1位を独占したとか。
アルバムチャート1位の東方神起は、日本での実績もあるからわかりますが、
シングルチャート1位のT-ARAは、これがデビューシングルだそうで、
K-POPってホントに人気あるんだな…と思いかけたのですが、
T-ARAのシングルは5万にも満たない売り上げ枚数で1位になったんだとか。
K-POPの1位独占がどうとかいう以前に、ここまでCDが売れなくなっている
日本の音楽シーンに愕然としました。
ボクが学生の頃は、まだミリオンなんかもバンバン出てたから、
周りにもアーティストになる夢を持った人がけっこういたけど、
こんなに衰退産業になってしまったら、アーティストを夢見る若者も減るんじゃない?
特にこの長い不況で、若者は夢を持ちにくく、現実志向になってますし。

しかもチャートを見てみると、上位は「ジャニーズ」「秋元康」「K-POP」といった、
作品の出来よりも看板(ブランド)で売れているグループが目立ち、
アーティストが真面目に音楽に取り組んでも、ちゃんと評価されそうもない感じ。
金満なメディアに評価できるとは思えないけど、せめて消費者が自分で判断できるように、
もっと幅広いアーティストを紹介してほしいと思います。
メディアはもっと新人アーティストを応援するべき。
それが日本のカルチャーの育成にも繋がり、メディアにとってもプラスのはずです。

ということで、今日はアーティストを夢見る若者を応援した人の実話の感想です。

天国からのエール

2011年10月1日公開。
沖縄で無料の音楽スタジオ「あじさい音楽村」を作った仲宗根陽の実話を映画化。

沖縄で小さな弁当屋を営む大城陽(阿部寛)は、弁当を買いにくる高校生たちがバンドの練習をする場所がないことを知り、店のガレージをスタジオに改装する。「あいさつをすること、赤点を取らないこと、人の痛みがわかる人間になること」を条件に、陽は無料でスタジオを貸し出す。高校生たちは陽を“にぃにぃ”と呼び慕い、練習に励むのだが……。(シネマトゥデイより)



めちゃめちゃ泣けました。
難病もので泣かされるのは癪なので、あまり泣けないはずなんだけど、
本作はめちゃめちゃ泣かされてしまいました。
なんというか、悲しいから泣くというのではなくて、悔しくて泣けてくる感じ。
こんな素晴らしい人が死んでしまうということに対する、
運命の不条理さに悔しくて惜しくて、どうしようもなかったです。
これが実話が基ではなく完全フィクションだったら全然泣けてなかったでしょうが…。

近所の高校生たちがバンドの練習場所がないことを知った弁当屋の店主・陽(阿部寛)は、
店のガレージに手製の音楽スタジオを建て、無料で開放します。
それだけでもなかなかできることではないけど、
彼は利用する高校生たちに「挨拶すること」「赤点は取らないこと」と、
音楽活動とは関係ないルールも設け、高校生たちを厳しく指導します。
なんだか名作『コーチ・カーター』を思わせる人ですね。
その根底には「昔はいろんな人が助けてくれた。今の若者にはそれがない。」
「そういうのをほっときたくない。」という、大人としての責任感があります。
こんな素晴らしい大人にボクも出会いたかったし、
憧れるけど自分がこんな大人になるのは絶対無理です。

道楽でタレントを援助したりするタニマチみたいな人ならけっこういるでしょうが、
彼の場合は身を削って若者を支援してますからね。
なにしろ田舎町の小さな弁当屋の主人で、決して裕福なわけじゃない。
無料スタジオだって借金して、それでも建てられないから、
材料だけ買って、自力で建ててしまいます。
本気でプロを目指すバンドのためには、仕事の合間にライブに同行したり、
ラジオ局に売り込んだりと、マネージャーのようなことまでして、
お金以外の面でも高校生たちの夢を応援します。
彼にとって身を削って応援というのは何も比喩的な表現ではなく、
彼は後に病気を押してまで高校生のために頑張ろうとするのです。

そのスタジオのバンドが軌道に乗り出した頃、彼のガンが再発しますが、
彼はそのことを隠して、バンドを支援し続けます。
難病ものの実話なので、彼が亡くなるのはわかっているのですが、
作品自体は全く湿っぽくなく、不思議と明るい雰囲気に仕上がってます。
いつも前向きで熱い主人公の性格と、それを実物以上に演じた阿部寛の力でしょうね。
高校生バンドのサクセス・ストーリーという側面もあり、
夢と希望がいっぱいのキラキラした作品です。
でもキラキラ輝けば輝くほど、運命の残酷さに、冒頭から泣けてくるんですが…。

この高校生バンド「Hi-Drangea」ですが、はっきり言ってあまりうまくはないです。
特にボーカルの女の子(桜庭ななみ)の歌声が弱々しく、
本作の展開ほどとんとん拍子に売れるとは思えないバンドではあります。
でも最後のライブのシーンはめちゃめちゃ泣けました。
うまい下手ではなく、あの選曲は反則的ですよ。やられました。
それに演奏以外の演技はとてもよくて、好感が持てる子たちです。

もちろんこのバンドは架空のもの。
実際の無料スタジオ「あじさい音楽村」出身のアーティストの筆頭は、
おそらくガールズ・バンド「ステレオポニー」でしょう。
彼女たちは本作のために主題歌「ありがとう」を提供しています。
さすがに本作を観た後、エンドロールでこの歌が流れると泣けますね。
でも本作を観るまで、聞いたこともないようなバンドでした。
本作で主人公は病気を押してまで「Hi-Drangea」を応援する理由を、
「もうここまでくれば大丈夫というところまで連れて行きたい」と言ってました。
しかし現実は厳しく、ステレオポニーもまだまだその域には達していませんね。
ひとりの人間が命を懸けてまでサポートしても、これが限度なのかと、
音楽業界の厳しさというか、個人の無力さを痛感します。

ちなみに調べてみると「ありがとう」はオリコン26位だったようです。
最高位はセカンドシングル「泪のムコウ」で、2位まで行ったようですが、
どうやらアニメ『機動戦士ガンダム00』の主題歌だったから売れたみたいで、
人気は定着せず、その後は20位代をウロウロしてます。
やっぱりブランド力でしか売れない時代なんですね。
…って、映画のタイアップって、アニメよりも弱いのか。

…う~ん、ダメだ。
本作の感動を1%も伝えることができない…。
映画としての出来ではなく、実話として実在の人の生き方に感動する作品なので、
映画として評価することは難しいです。
現にフィクションなら、お涙頂戴の凡庸なドラマとして、バッサリ斬ってます。
(映画評論家が本作に対して厳しいのもそのためでしょう。)
とにかく一度観てみてほしい映画としか言えません。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/551-53c987fa
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad