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僕たちは世界を変えることができない。

先日、氷室京介さんが東日本大震災復興支援ライブで集めた総額6億6922万940円を、
被災地に寄付したことが話題になりました。
二日間行ったチャリティーライブで集められたお金らしいですが、
ひとりのアーティストがこれだけ集められるなんてすごいです。
それに比べ、多数のタレントやアイドルを起用し、公共の電波で丸一日全国放送した
日テレの「24時間テレビ」が放送中に集めた募金総額は2億4300万円程度…。
金額の問題ではないかもしれないけど、製作費40億円とも言われるチャリティー番組で、
それだけしか寄付金集められないなんて効率が悪すぎるでしょ。
氷室さんの寄付金はライブの収益から出ており、氷室さんサイドが稼いだお金。
しかし24時間テレビの寄付金は視聴者による募金で、日テレの収益金からではないです。
他人の金でチャリティーしようなんてムシがよすぎる。だから募金はしたくない。

そんな偽善番組を製作し儲けている日テレは感心できませんが、
フジテレビの「27時間テレビ」はもっと酷いです。
なんでも被災地でお笑いなどの復興ライブを行い、それを番組内で中継したそうですが、
そのライブ特設会場の設営に、被災地復興のための一般ボランティアを動員したとか…。
24時間テレビに集まった善意の募金はとりあえず無駄にはならないが、
27時間テレビが動員した善意の労働力は完全に無駄。こちらの方が性質が悪いです。
だからボランティア活動もする気が起きないです。
あ、もちろんボクがしたくないからといって、やってる人を馬鹿にしてるわけではなく、
善意でボランティアや募金をすることはとても尊い行為だと思います。
しかしその善意を利用する人がいる限り、ボランティアも募金も信用できないだけです。

ということで、今日はボランティアやチャリティーが題材の映画の感想です。
チャリティーのあり方を見つめなおせる、興味深い作品でした。

僕たちは世界を変えることができない。
But, we wanna build a school in Cambodia.


2011年9月23日公開。
2008年に自費出版された現役大学生の体験記を原作に映画化された青春ストーリー。

医大生のコータ(向井理)は友人たちと楽しい日常を過ごしていたが、何か物足りなく感じていた。ある日、海外支援のパンフレットに目が止まったコータは、すぐに知り合い全員に「カンボジアに学校を建てよう!」とメールを送る。実際に現地へリサーチに行くまでに活動を本格化させるが、そこには想像以上の現実が待ち構えていて……。(シネマトゥデイより)



4月に放送された毎日放送の「ウルルン滞在記」のスペシャル見ました。
向井理がカンボジアの地雷原の村にホームステイするやつです。
彼は駆け出しの頃にもこの番組で同じホームステイ先に行っており、
4月のスペシャルはその再会企画でした。
その時すでに人気俳優となっていた彼ですが、『ゲゲゲの女房』を見てなかったボクは、
「なんか急にチャラいやつが出てきたなぁ」って感じで、あまり好きではなかったです。
でもこの番組見て、見直したというか、すごく立派な人だと感心しました。
なんと彼は、村のためにガチの自腹で自発的に井戸を掘ったのです。
1度は失敗したものの、再び挑戦し、見事に井戸を完成させました。
井戸掘り費用は決して安い額ではなく、そうそう出来ることではないです。
彼のカンボジアに対する特別な気持ちが伝わってきて、感動しました。
それを見たから本作に興味を持ったのですが、もし見てなかったら、
こんなネガティブなタイトルの映画を観ようとも思わないだろうし、
未だに向井理は苦手だったかもしれません。

そんなカンボジアっ子の向井理が格別の思いで挑んだのが本作。
本作は、ある大学生がカンボジアに小学校を立てたという実話が基になっています。
医大生の甲太(向井理)は、郵便局でたまたまで海外支援案内のパンフレットを手に取り、
150万円の寄付金カンボジアに小学校が立てられることを知しります。
普通の大学生活に物足りなさを感じ、何か変わったことがしたいと思っていた彼は、
賛同してくれた友達3人と共に、学生サークル"そらまめプロジェクト"を立ち上げ、
寄付金集めのチャリティーイベントを開催する、…という展開で始まります。
コンパにも飽き、暇に飽かした名門大学の大学生たちが、
イベントサークル感覚でボランティアを始めるという話で、
正直なところあまり好印象は持てません。
自分たちが楽しむためとか、就活に有利だからという理由で参加したりと動機が不純。
「やらぬ善よりやる偽善」といいますが、無償の奉仕だからこそのボランティア、
結果として小学校が建ったとしても、それはボランティアではないです。

賛同者のチャラ男の本田(松坂桃李)の行動力により、サークルメンバーは増え、
IT企業をスポンサーにして、クラブイベントを開催し、
その収益を寄付の資金に充て、順調にプロジェクトは進行しますが、
遊びの延長でボランティアするチャラい学生たちは偽善者扱いされ、
IT企業の社長が逮捕されたことも重なり、ネット上では大バッシングされます。
楽しいはずだったのに当ての外れ、メンバーが次々脱退。
甲太と本田の間にも微妙な方向性のズレ(と恋愛感情のもつれ)があり、
いよいよサークルは崩壊寸前となります。

まぁ当然の結果ですよね。
お気楽なイベントを開催して、パー券を売り、それを資金に充てるなんて、
政治家やヤクザ屋さんが短期間で儲けるためやりそうなイメージの悪い資金集め方法です。
よく駅前などで、大学生がズラッと並んで楽しそうに募金活動してるじゃないですか。
健康な若者が、本当に募金したいなら、通行人の小銭なんて当てにしないで、
その時間バイトでもして、それを募金しろよと思いますが、それと同じこと。
学生にとって150万円は大金だけど、あれだけ頭数がいれば自腹で捻出できない額ではなく、
イベントなんかで短絡的に儲けようとしないで、バイトでもしろって感じです。
イベント開催にかかる経費も考えると、効率もいいとはいえないと思います。

とはいえ、これが無償の奉仕といえるかどうかは疑問ですが、
社会貢献なのは間違いなく、一定の価値のある行為だったとは思います。
それに医学生たるもの、このくらいのボランティア精神は持っていてほしい。
彼らは150万円寄付しカンボジアに小学校を建てられましたが、
それ自体にはそれほど意味のあることじゃないと思います。
偽善者・島田紳助がある番組で、やはりカンボジアに小学校を建てましたが、
その後のフォローがされず、物資も滞り、現在は廃校状態なんだとか…。
世界からは「日本は金だけ出す国」と批判されたりするけど、
医者になれば普通じゃできないような、もっと実のある社会貢献もできます。
原作者である甲太さんは今は都内で医者をしているそうですが、
今のままではただの自慢話を出版しただけで、紳介とそう違いません。
経済学部の学生だった本田さんは、その後本格的に海外支援活動始めたそうですが、
どちらが立派でしょうか。

この映画は、大学生がカンボジアに小学校を建てたという実話を
映画化したことに価値があるのではなく、
甲太役の向井理たちがカンボジアに実際に行き、スタディツアーとして、
カンボジアのポル・ポト政権の遺産や、地雷原の村、HIV感染者病棟を見て回る、
半ドキュメンタリーの部分に価値があります。
カンボジアは時差もたった2時間しかなく比較的近い国ですが、
日本人にとって隣国のベトナムやタイに比べてあまり馴染みのない国です。
ボクもアンコールワットのイメージしかなく、どこにあるかも知りませんでした。
でも実は東南アジアの最貧国で、つい最近まで内戦状態だった国です。
これを観て、カンボジアを支援したいと思うかどうかは別にしても、
同じ東南アジアの国民として、少しは知っておくべきことだと思ったし、
それをこうして紹介する機会となった本作は、とても価値があると思います。
(今の日本は、東南アジアでは良くも悪くも韓国ばかりに関心が向き、嘆かわしい。)
しかもこのツアーで回るところは、普通の旅行ではあまり行かないところだし、
とてもいいスタディツアーの疑似体験です。
現地ガイドの方もとてもいい人で、感動しました。

そんな半ドキュメンタリーのツアーをただ上映するだけでは、誰も観ないでしょうが、
大学生の実話を基にしたドラマにすることで間口が広がります。
なのでやはりドラマ部分も必要なものではあるのですが、
甲太のキャラが、日本でのドラマ部分とカンボジアでの半ドキュメンタリーで
明らかに違い、少し違和感があります。
日本での甲太は、医大生なのに全然モテないし、ドモリ気味で頼りない感じですが、
カンボジアでの甲太はすごく快活で情熱的。
というか、甲太ではなく完全に向井理に戻ってしまっており、
カンボジア経験者としての頼りがいと、親善大使としての使命感に満ち満ちています。
これはもう演技とかの問題ではないので、仕方のないことですが、
ドラマとしては甲太の心情表現がチグハグになってしまっている気がします。
カンボジアでは向井理の素が出てしまって、ずいぶん成長したように思えたのに、
日本帰国後また頼りない甲太に戻ってしまい、
カンボジアでの経験があまり活きてないように感じてしまいます。
まぁそれがまた半ドキュメンタリーという作品の異色さを強調してて、
興味深かったりもするのですが…。

向井理には今後もカンボジアと関わり続けてほしいし、
それに伴って、「ウルルン滞在記」もまた復活してほしいです。
日本人の国際親善意識にもとてもいい番組だったし、
なかなか見えてこない俳優の素が見えるいい番組だったので。

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