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ラビット・ホラー3D

思い返せば直近で観た映画4本連続で3D映画…。
ボクはなるべく2Dで観たい派なのに、近所のシネコンでは、
せっかく導入した設備を活用したいからか「3Dでの上映のみ」が多いです。
3D割増料金も一本当たりだと300~400円程度とはいえ、積み重なると地味に痛い。
3D映画4本分の料金があれば、通常の2D映画だと5本分ですもん。
『アバター』『アリス・イン・ワンダーランド』『パイレーツ・オブ・カリビアン4』
『ハリー・ポッター最終章』『トランスフォーマー3』など3D映画が大ヒットして、
そろそろ設備投資費用も回収できてるだろうし、思い切って値下げしてくれないものかな?
(特にランニングコストがかからない、使い捨て3Dメガネの劇場は。)
ホントは3D映画自体が廃れてしまうことが一番ありがたいんですけどね。

ということで、今日はまだ数少ない日本の実写3D映画の感想です。

ラビット・ホラー3D
ラビット・ホラー3D

2011年9月17日公開。
清水崇監督による3Dホラー映画。

ブーム到来中の3D映画を鑑賞していた姉と弟は、突然スクリーンから飛び出してきたウサギの縫いぐるみを受け取ったことで、以来弟は夜な夜な階段の納戸から広がる不思議な世界に誘われてしまう。ウサギの着ぐるみがいる遊園地のような世界に不審を抱いた姉が弟の後を追うと、弟を連れ去ろうとするウサギ人が突如襲ってきて……。(シネマトゥデイより)



「恐怖の国のアリス」なんてキャッチコピーも踊っていて、
もちろん『不思議の国のアリス』のオマージュ的な展開もありますが、
本作の物語は『人魚姫』がモチーフになっています。
そうゆうこともあってか、本作はJホラーというよりも、
ダーク・ファンタジーという趣が強いです。
『人魚姫』足す『不思議の国のアリス』割る『呪怨』って感じです。

だけど実は一番影響を受けている(傾向が近い)のは、
清水崇監督の前作『戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTH』です。
監督が同じだからとかそういうレベルではなく、もう続編と言っていいレベルで、
『戦慄迷宮3D』を観てない人は本作を観ても仕方ないんじゃないかと思うほどです。
というのも、本作は主人公姉弟が映画館で『戦慄迷宮3D』を鑑賞したことがきっかけで、
次々と不可解な怪現象に見舞われるようになるという物語だからです。
ある日、姉キリコ(満島ひかり)が弟と3D映画『戦慄迷宮3D』を鑑賞していると、
劇中の不気味なウサギのぬいぐるみがスクリーンから浮かび上がり、
それを弟がキャッチしてしまうという、なんともメルヘンチックな展開。
だけど、そのウサギのヌイグルミが夜な夜な怪現象を起こし、
姉弟を苦しめるというホラーです。
続編というよりも、ウサギのぬいぐるみのスピンオフって感じかな。

とても斬新な展開ですが、実際に『戦慄迷宮3D』を映画館で3D鑑賞し、
ウサギのぬいぐるみが浮かび上がるシーンを目の当たりにした人じゃないと、
臨場感というか、その設定の興味深さの半分も伝わらないんじゃないかと思います。
だけど『戦慄迷宮3D』は全くヒットしておらず、総動員数も5万人以下と大コケ。
『戦慄迷宮3D』は邦画初の長編デジタル3D映画であり、
日本映画史に新たな1ページを記した最重要邦画のひとつでしたが、
少し時代を先取りしすぎていたのか、あまり注目されませんでした。
(3D映画の料金も概ね今より高かったし…。)
だから本作も続編やスピンオフのような内容だけど、
あえて『戦慄迷宮3D』を冠さないで売り出してるんでしょうね。
しかし上記のように本作を潜在的にちゃんと楽しめる人は5万人しかいないので、
本作が一般的に高く評価されるのはけっこう難しいと思います。

ではなぜそんな(興行的)失敗作を引きずるような内容にしたのかが疑問ですが、
昨今3Dの邦画『海猿3』が大ヒットしたり、『一命』が国際的に評価されたりする中で、
清水崇監督は「自分こそが日本での3Dのパイオニアである」ということを、
再び知らしめておきたかったんじゃないかと思います。
そういう意味では、本作自体が『戦慄迷宮3D』の宣伝みたいなところもありますね。
まぁ今となっては『戦慄迷宮3D』を3Dで観られる環境を探すのは容易ではないけど…。
(3D版DVDがリリースされていますが、左右色違いメガネで見るタイプです。)
ちなみに劇中で姉弟が鑑賞したのは6月20日ということになっていましたが、
秋公開の映画だったので、そんな時期に劇場で上映しているわけないです。

それにしても流石は3D邦画のパイオニアです。
興行のために3Dに変換したり、ただ単に3Dで撮るというだけではなくて、
3Dという視覚効果を活かした画作りをしようとするチャレンジ精神は、
ハリウッドのそれを超えていると思います。
奥行きの見せ方に拘ったり、Jホラーのザラついた画質をあえて3Dで表現してみたり、
3Dでどんな演出をすれば面白いものになるか、よく研究されていると思います。
姉弟の父親の職業をただの絵本作家ではなく、飛び出す絵本の作家にしたのも、
3Dで見栄えがするように工夫したからだと思います。
そんな彼だから、3D映画で浮かび上がったものをキャッチしてしまうという、
面白い発想が浮かぶんだろうし、それを映画に出来てしまうんでしょうね。
やはり技術的(設備的)にはハリウッドの3D映画よりも劣るようには思いますが、
2年前の『戦慄迷宮3D』の時の残念な3D感に比べたら見違えるような進歩です。
当時の3Dカメラは手作りでしたが、今回はパナソニックが開発してくれたそうで、
かなりクリアで違和感のない映像が楽しめます。
あと、撮影監督のクリストファー・ドイルの技術も貢献してるかも。

清水崇監督のホラー映画は、『輪廻』以降、大どんでん返しがあるものばかりで、
本作もJホラーとしての怖さよりも、サイコサスペンス的な展開で魅せる内容です。
なので怖いというよりも、違和感を楽しむといった感じで、
『呪怨』みたいな心霊系Jホラーが苦手な人でも大丈夫だと思います。
まぁ『呪怨』の伽椰子や俊雄みたいなのも出てこないわけではないのですが、
本作の恐怖の対象のメインはウサギのぬいぐるみ。
若干不気味なビジュアルだけど、怖いってほどでもないです。
このウサギですが『戦慄迷宮3D』の時のままの小さいぬいぐるみタイプのほかに、
大きな着ぐるみとしてゆるキャラタイプとリアルタイプがあります。
ボクとしては、なんでこれを統一しなかったのか不思議です。
ぬいぐるみタイプは最も不気味でなかなか怖いのに、着ぐるみの2タイプは微妙…。
もっと不気味にするか、ぬいぐるみタイプに似せた方がよかったです。

舞台は前作に続き富士急ハイランドのアトラクション「戦慄迷宮」ですが、
本作は富士急ハイランド自体も重要な舞台となっています。
ウサギは夜な夜な姉弟を遊園地の近くの廃病院に連れ込もうとするのですが、
映画の最後に、その廃病院が後に遊園地の施設になったとの説明がされます。
つまりそれが富士急ハイランドのお化け屋敷「戦慄迷宮」ってことになるんだけど、
それじゃあ姉弟が鑑賞した『戦慄迷宮3D』は、それ以降に作られたものってことになり、
ここにちょっとしたパラドックスが発生するんですよね。
ラストの大どんでん返しにより主人公の世界観が覆るんですが、
それによってウサギの存在自体もパラドックスに陥り、
最後に提示された真実が本当の真実かも疑わしい状態になります。
それがまた不気味で興味深いです。

清水崇監督は今後、漫画『寄生獣』を原作にしたハリウッド映画を撮る予定みたいです。
とても楽しみですが、続報があまりにもないんで、実現にはちょっと懐疑的…。
でも本作の宣伝もそこそこに、今まさにハリウッドで何かを撮っているようなので、
もしかしたら『寄生獣』の撮影に入ったのかも?
Jホラーの3D映画としては、『貞子3D(仮)』が来年公開予定です。
3Dの力で呪いのビデオのように貞子をスクリーンから這い出させようという計画ですが、
本作の劇中劇のウサギのぬいぐるみみたいに、
触れそうなほど浮き上がって見えた3D映画は洋邦問わず未だありません。
だからそんなことは夢物語なんじゃないかなとも思うのですが、
出来ないとも言い切れないので、もしかしたらという期待感もあります。
こちらも来年公開なのにまだキャストも監督も不明で、
全く続報がないのが少し心配ですが…。

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