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イースターラビットのキャンディ工場

去年のハリウッドのCGIアニメーション映画は、
『トイ・ストーリー3』『怪盗グルーの月泥棒 』『ヒックとドラゴン』
『塔の上のラプンツェル』(日本では今年公開)と、
質的にも興行的にもハイレベルな作品が連発され、
近年稀に見る…、いや、史上最高に豊作の年だったように思います。
しかし今年は、量だけならかなりの本数が公開されていますが、
大ヒットしたといえるのは『カーズ2』と『カンフーパンダ2』くらい。
それでも期待された成績には及ばない程度だったようです。
豊作だった去年の反動か、CGIアニメーション映画が斜陽しはじめている感は否めません。

そんな状態では日本公開は難しく、
『ノミオとジュリエット(仮題)』や『リトルレッド2(仮題)』などは
おそらく劇場公開されることはないでしょう。
それどころかそこそこヒットした『ブルー はじめての空へ』まで日本公開中止に…。
観てない(観れない)ので、それらの作品の内容の良し悪しはわかりませんが、
『少年マイロの火星冒険記』など駄作が横行しているのは間違いなく、
ブームに乗ってCGIアニメーションが粗製乱造されているのは確実です。

いや、粗製乱造というか、需要に供給が追い付いてないのかも。
ユニバーサルはアニメ部門立ち上げて去年の『怪盗グルーの月泥棒』がその初作品、
ディズニー・ピクサーも一本に4年かける作品を年複数本公開するらしいし、
パラマウントもドリームワークスだけでなく自社製作に踏み切ったりと、
アニメーション映画の本数や制作スタジオは急激に増えているのに、
人材が不足してるんじゃないかと思うんですよね。
才能ある人がヘッドハンティングとかで分散してしまって、
作品一本あたりのクオリティが落ちたんじゃないかと…。
でも今は若いクリエーターが場数を踏む機会だと思えば、粗製濫造も我慢できるかな。
去年みたいな豊作がまた来ることを期待しています。

ということで、今日はユニバーサルのアニメ部門による第二作目の感想です。

イースターラビットのキャンディ工場

2011年8月19日日本公開。
CGIアニメーション+実写で描くファミリーアドベンチャー。

イースター島にあるキャンディの国。うさぎの王子イービーはキャンディ工場を継ぐことになっているが、ミュージシャンになる夢をあきらめきれないでいた。ある日、オーディションを受けにハリウッドへと向かったイービー。ところが、イースター島ではイービー捜索のためにうさぎの最強部隊“ピンク・ベレー”が出動。そのすきにヒヨコたちが工場を乗っ取ろうとしていた。(シネマトゥデイより)



CGIアニメーション製作で出遅れていたユニバーサルが、
自社のアニメ製作会社イルミネーション・エンターテイメントを立ち上げ、
その初作品となる『怪盗グルーの月泥棒』が公開されたのが去年のこと。
これが処女作にもかかわらず素晴らしい出来栄えで、
同年公開されたアニメーション映画二大巨頭の会心作、
ピクサーの『トイ・ストーリー3』やDWの『ヒックとドラゴン』にも
全く引けを取らないものでした。
なのでイルミネーションの第二作目となる本作にも、期待して当然です。
しかしその期待は、無残にも打ち破られることになります。

まずボクの根本的な勘違いとして、製作会社が同じだからといって、
アニメーションを作っているところも同じと思ってしまったのが間違い。
本作のアニメーションを作ったのは『怪盗グルー~』のスタジオではなく、
『アルビン』シリーズや『ヨギ&ブーブー』を手掛けたVFXスタジオで、
それらの作品と同様、本作はフルCGIアニメーションではなく、
実写とCGIアニメーションの合成作品になっています。
なので本作には実写で撮られた部分も多く、主役のひとりも生身の俳優です。
これが完全に予想外で、フルCGIを期待していたために愕然としてしまいました。

予習不足だったボクにも問題はあるのですが、宣伝方法にも問題があります。
劇場などで流される本作の予告映像には人間なんてひとりも登場せず、
CGで作られたキャンディ工場の中で、アニメのウサギやヒヨコが動いているシーンだけ。
なのにいざ本編を観てみると、舞台の半分以上はハリウッドであり、
片方の主人公まで生身の人間じゃないですか…。
『アルビン』なんかは観る前から実写とアニメの合成ってわかってたから楽しめるけど、
フルアニメと思わせといて半分以上実写だとだまされた気分になります。
ボクだけかもだけど、アニメ映画を選択するときのメンタリティって、
「今は実写映画(または人間)を観たくない気分だから」ってのもあるんですよね。
それなのにこんなだまし討ちみたいなことされると、ちょっと不愉快です。

でも今回はたまたま実写を観たい気分じゃなかっただけで、
実写+CGIアニメーションの映画も嫌いじゃないです。
特に『アルビン』シリーズはかなり好きなので、
そのスタジオが作った本作のアニメキャラもかなりかわいいと思います。
(特にピンクベレーの3匹は超キュート!)
主役のウサギ、イービーもとてもかわいらしい見た目でよかったのですが、
如何せん声が合ってませんでした。
例によって近所では日本語吹替版でしか上映されておらず、吹替版で見たのですが、
イービーの声優である山寺宏一は、このキャラの雰囲気に全く合っていません。
普段は『シュレック』シリーズのドンキーや、『アイスエイジ』のマニーなど、
さすが本職の声優だけあってなんでもそつなくこなす人だと思ってましたが、
それらと同じ声色で本作のかわいいイービーの声をあてるのは厳しいです。
ラッセル・ブランドが演じるオリジナル版も予告動画で確認しましたが、
やはり山ちゃんとは全然雰囲気が違いました。(もっと若々しい声です。)
よくアニメファンはタレントが声優をすることをバッシングしますが、本作を観て、
本業とかは関係なく、オリジナルのイメージに近い人を選ぶことが最重要だと感じました。

しかしそんなことよりも問題視したいのは、やっぱり実写の方のキャストです。
実写の方の主人公フレッドは、親のすねをかじって毎日ぶらぶらしているニートの青年。
夢ばかり追いかけてロクに働かないため、親や妹たちから突き上げを食らっています。
こんなキャラって、20代半ばからせいぜい30歳くらいが普通ですよね?
なのになぜアラフォー俳優ジェームズ・マースデンを起用するのか?
何歳の設定か知らないけど、このキャラ演じるには老けすぎでしょ?
たしかに昨今ではアラフォーのニートだって珍しくないかもだけど、
本作は子ども向けのファミリー映画ですよ。
しかも下の妹はスレッドとは実年齢で二回り以上離れてそうな中国人の養子だし、
そんな特殊な家庭環境は、ネタというにもなんだかズレている気がします。

ただ、そんなめちゃめちゃなキャスティング以上に日本人ウケしなさそうな設定は、
イースター(キリスト教の復活祭)という日本になじみの薄い祝日が題材なことです。
こんな春の季節ネタの映画を、平然と夏に公開できてしまうのは、
日本人にこの祝日に対してなじみが薄いからこそですね。
そもそも「イースターラビット」ではなく「イースターバニー」が一般的だと思うけど、
それをわざわざ邦題にしても何の不都合もないほど日本になじみがありません。
ボクもイースターなんて祝ったことがないのでよくわかりません。
なぜ上司がウサギで部下がヒヨコなのか?
なぜタマゴを隠したりキャンディ配るのか?
なぜキリスト教の祭りとモアイ像のイースター島が関係あるのか?
全くわからず、ゆえにイースターを祝うことの意味が理解できないため、
本作の肝であるイースターラビットの仕事に価値を見出すこともできません。

まぁチビッコはかわいいヒヨコやウサギが跳びまわっているだけでも面白いだろうし、
イースターもクリスマスとハロウィンを足したお祭り程度の認識で大丈夫なので、
それほど文化の壁が障害になるわけではないんですが…。
その文化圏の差異をネタにしているところもあるし、意外とプレイボーイバニーとか、
チビッコにはまずわからないであろうポップカルチャーネタもけっこうあります。
一応、大人も楽しめるようにか、シュールなネタもちょこちょこあって、
親子連れの子どもがママに「これってどういう意味?」と訊いていたのが印象的です。
ハリウッドのファミリー映画にしてはちょっと過激なシーンもあります。

やはりイースターになじみがないのが災いしたのか、
翌日公開の『うさぎドロップ』とウサギ被りしたのがよくなかったか、
フルCGIアニメの『カンフーパンダ2』とバッティングしたのが決定打か、
本作の日本公開はかなり低調な滑り出しとなったようで、
何位かは定かではありませんが、初登場トップ10にも入れなかったみたいです。(12位?)
このことで次回作以降のイルミネーション作品の公開規模が下方修正されそうで心配です。
次回作は『ホートン ふしぎな世界のダレダーレ』でもおなじみ、
ドクター・スースの絵本『ロラックス(原題)』のCGIアニメーション化作品が来年公開。
で、その翌年には『怪盗グルーの月泥棒』の続編が公開になります。
本作は正直ハズレだったけど、イルミネーションには、ピクサーとDWに続く、
CGIアニメーションの第三極としてまだまだ期待しています。

あ、全米で12月公開の『アルビン』シリーズの3作目
『Alvin and the Chipmunks: Chipwrecked(原題)』も期待してます。
日本ではビデオスルーになるのはほぼ間違いないですが…。

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