ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

スーパー!

今日で、今年劇場で観た映画100本目の感想になります。
100本目に達して見えてきた今年の鑑賞している映画の傾向としては、
洋画を観ることが多く、邦画の比率が低いことです。
GWの頃くらいまでは洋邦半々くらいでしたが、ここ10本は洋画9本に対し邦画は1本だけ。
年末にかけても観たい洋画は多いけど邦画はそんなになく、邦画比率は更に下がります。
これは近年の邦高洋低の影響が悪いように出て、邦画に駄作が濫造されているからか、
邦画に対して期待できなくなってきているのかもしれません。
それか映画マニアは最終的には洋画に流れる傾向があるのですが、
ついにボクもその段階に入ったのかもしれません。

ジャンルとしては、なんでも節操なく観ていますが、
例年に比べるとアニメを観る量が少なく、全体的に質も低いです。
いや、実際には日本のアニメがテレビアニメの劇場版ばかりで、
テレビアニメに興味がないボクには、アニメ映画を観る機会が少ないです。
アニメ映画は好きなので、いいオリジナル作品をもっと作ってほしいです。
飛躍的に増えたジャンルはアメコミ原作映画。
すでに去年一年で観た量の倍以上のアメコミ映画を鑑賞してます。
これから年末にかけてもまだまだ公開されるので、
おそらく今年は過去最高にアメコミ映画が公開された年になるでしょう。

ということで、今日はアメコミ映画のオマージュであるヒーロー映画の感想です。

スーパー!

2011年7月30日日本公開。
レイン・ウィルソンとエレン・ペイジが怪演するヒーローコメディ。

さえない中年男フランク(レイン・ウィルソン)。彼の妻(リヴ・タイラー)がセクシーなドラッグディーラー(ケヴィン・ベーコン)の後を追って家を出てしまう。愛する妻を取り戻すため、彼はお手製のコスチュームに身を包みスーパーヒーロー“クリムゾンボルト(赤い稲妻)”に変身。イカれた女の子ボルティー(エレン・ペイジ)を相棒に、危険地帯の犯罪に立ち向かうフランクだったが……。(シネマトゥデイより)



何の能力もない男がヒーローの扮装をして勝手に自警活動を始める。
本作はいわゆる素人なりきりヒーローもので、
そのジャンルの代表作である『キック・アス』とよく比較され、
中年版『キック・アス』と称されることもあります。
たしかに概要だけなら『キック・アス』の二番煎じのようにも思えますが、
『キック・アス』がアメコミヒーローのパロディ色の強い作品だったのに対し、
本作はけっこう直球なアメコミヒーローだと思いました。
(まぁアメコミが原作ではないんですが…。)
何の能力もないオッサンがヒーローなりきるということでは、
『キック・アス』よりも映画版『グリーン・ホーネット』に近いです。

ただ『グリーン・ホーネット』の主人公ブリットには莫大な親の遺産と、
文武に秀でた超人的なサイドキック、カトーがいました。
『キック・アス』の主人公デイヴでさえも、情人離れした打たれ強さという能力があり、
なりきりヒーロー映画は数あれど、本作の主人公フランク(レイン・ウィルソン)ほど、
本当に何も持たないなりきりヒーローというのは珍しいかと思います。
それだけに親近感とリアリティを感じます。
さらに彼はブリットやデイヴとは違い、元来アメコミヒーローに全く興味がありません。
なのでヒーロー的な行為がしたいがために自警活動をしているのではなく、
あくまで悪人をぶちのめすことが目的で、そのモチーフとしてヒーローに扮装しています。
なので自分のヒーロー活動が注目されてもそれほど嬉しくもないし、
目的が達成されればあっさりヒーローをやめてしまいます。
ヒーロー多しといえども、ヒーロー自体に価値を見出さないヒーローは彼くらいです。

そんな珍しいヒーロー、クリムゾンボルトことフランクは、
レンチを片手に夜な夜な事件を探し街を徘徊し、麻薬の売人や小児性犯罪者を殴打します。
当然そんな暴力的な自警活動が認められるはずがなく、
メディアからは義賊気取りの暴漢として犯罪者扱いを受けます。
「ヒーローは法の番人か犯罪者か?」というのはヒーローもののテーマのひとつですが、
明らかな犯罪者のみに制裁を加えるバットマンやスパイダーマンなどとは違い、
クリムゾンボルトはちょっとしたルール違反も許さず、
映画館の行列に割り込んだだけの男女に対しても、犯罪者相手同様に制裁を加えます。
このことから彼の行為を利己的、独善的と見る人もいるようですが、
ボクは彼ほど道徳心の強いヒーローはいないと思います。
法的に罰せられる犯罪よりも、法では裁けないルール違反の方が不条理です。
むしろ警察では取り締まれないルール違反やマナー違反を裁くことこそ、
イリーガルなヒーローの出番だと思うし、痛快なところです。
クリムゾンボルトは貞操観念も強く、妻に捨てられながらも自分がまだ既婚者であるため、
サイドキックの美人で若いリビー(エレン・ペイジ)の色仕掛けにも誘惑されません。
ブサイクで今までモテたこともない男なのに、これも彼の強い道徳心の顕れです。

そのサイドキックのボルティことリビーですが、彼女はフランクとは違い、
ヒーロー活動そのものに魅力を感じるアメコミオタクです。
殺人も厭わない過激な性格で、『キック・アス』のヒット・ガールと比較されますが、
殺しの英才教育を受けたヒット・ガールとは違い、
ボルティはクリゾンボルト同様、何の能力も持たない普通の人間です。
だからこそ残虐な犯行(制裁)の狂気がよく描けていて、いいサイコっぷりです。
けっこうエロい性格でもあって、ヒット・ガールより気に入りました。
(もともとエレン・ペイジは大好きな女優だし…。)
彼女の顛末も、なりきりヒーローものとしてはありそうでなかった感じで、衝撃的です。

ヒーロー映画の見どころのひとつは、普通の人がヒーロー活動を始める経緯や動機ですが、
本作はその展開にちょっと無理がありすぎます。
フランクはある日、テレビをザッピングしていて、
たまたまB級ヒーロー番組「ホーリー・アベンジャーズ」を見ます。
その夜いきなり神の啓示があり、自分がヒーローになることを神が望んでいると解釈、
近所のアメコミショップの定員にアドバイスを受け、衣装を自作し、活動を始めます。
ヒーローに興味ない人が如何にしてヒーロー活動を行うに至るのか、
その展開は難しいとは思いますが、「神の啓示」ってのはいくらなんでもトンデモすぎ。
他が比較的リアルな展開になっているのに、そこが雑すぎて勿体ないです。
その神の啓示のシーンが、あまりにサイケデリックな演出で、
麻薬常習者の妻サラ(リヴ・タイラー)以上にトリップしてるように見え、
フランクも麻薬常習してるんじゃないかと思ったほどです。
素直に「ホーリー・アベンジャーに感銘を受けた」くらいの動機でよかった気がします。

他にも、ちょっとイマイチだった点は、クリムゾンボルトの衣装と装備です。
衣装はなりきりヒーローとしてはちょっと格好よすぎます。
バストショットだとけっこうチープさも目立つんですが、
全体的によく出来すぎで、特に腰回りが格好いいです。
なりきりヒーローはダサければダサい方が魅力的になるので、
『キック・アス』の主人公ぐらいダサダサの方がよかったです。
そして装備ですが、当初の武器であるレンチは、バイオレンスかつリーズナブルで、
なりきりヒーローの武器としてピッタリだったのですが、後半の銃火器はいただけません。
いくら銃社会とはいえ、安月給の主人公が、銃とか火薬とか防弾チョッキとか、
あんなにまともな装備を揃えられるとは思えません。
それに銃やナイフみたいな見慣れた武器よりも、レンチの方がインパクトがあります。
敵陣に微妙な武器で勝算なく乗り込んでこそのなりきりヒーローです。
ボルティのカギ爪は笑えましたが…。

あのラストは賛否の分かれるところですが、
彼を利己的な男とするなら納得できないオチだろうけど、
道徳的と見るボクにはシックリくるオチでした。
フランクが妻を麻薬のディーラー、ジョック(ケヴィン・ベーコン)から取り返したのは、
寝取られたことに腹が立ったのではなく、妻を麻薬依存から救いたかったから。
だから麻薬さえやめてくれれば、彼は妻と別れてもかまわなかったんだと思います。
(ケヴィン・ベーコン、『X-MEN』のヴィラン役よりいい味出してます。)
クリムゾンボルトの決めゼリフ「シャラップ、クライム」は、
自分の利害よりも、何より犯罪が許せない彼を象徴しているセリフです。

ダークコメディなので笑える人はかなり笑ってましたが、
ボクは主人公フランクに感情移入してしまったので、
最初からシリアスな気持ちになっていたので、あまり笑えませんでした。
でもありそうでなかったアメコミヒーローパロディの亜流として、
面白い作品であることは間違いないです。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/520-2553d632
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad