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モールス

先月、海外の映画レビューサイト「ロッテン・トマト」が、
過去50年のリメイク映画ベスト50を発表しました。
ボクはリメイクにそんなにいいイメージはないのですが、
それもそのはず、このベスト50のうちボクは10本前後しか観ておらず、
今までダメなリメイクばかり観ていたからです。
ベストリメイク第一位の『トゥルー・グリット』は鑑賞しましたが、
たしかにオリジナルを超える名作でした。
他にもランキングされている中で鑑賞済みの作品はよかったものが多いです。

ちょっと嬉しいのは日本映画が2本もランクインしていることです。
三池崇史監督の『十三人の刺客』が12位、北野武監督の『座頭市』が29位でした。
どちらもオリジナルを観たことがないので比較はできませんが面白い作品です。
他に注目作としては、今月公開の『ピラニア3D』が47位にランクインしてます。

といことで、今日はベストリメイク6位にランクインした作品の感想です。
ちなみにボクが一番好きなリメイクはルイ・レテリエ監督の『タイタンの戦い』です。
世間的にはダメなリメイクとされてますが…。

モールス

2011年8月5日日本公開。
スウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウッド・リメイク。

学校でのいじめに悩む孤独な12歳の少年オーウェン(コディ・スミット=マクフィー)。ある日、隣に引っ越してきた少女アビー(クロエ・モレッツ)と知り合ったオーウェンは、自分と同じように孤独を抱えるアビーのミステリアスな魅力に惹(ひ)かれ始める。やがて町では残酷な連続猟奇殺人が起こり……。(シネマトゥデイより)



欧州各国で絶賛されたスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』、
日本でも小規模公開されましたが、その正気とは思えないダサすぎる邦題に、
劇場公開時は完全にスルーしてしまっていました。
ところが、公開されるやいなや、日本でも鑑賞した映画ファンから大絶賛。
「ぼくエリ」という愛称まで付いて、かなり話題になりました。
その評判を聞いて、ボクも遅ればせながらレンタルで鑑賞したのですが、
たしかに、今流行の他の吸血鬼映画とは一線を画す興味深い内容で、
予想をはるかに超える面白い作品でした。

そんな大評判の作品、ハリウッドが指をくわえているだけのはずもなく、
当然のようにハリウッド・リメイクが決定。
しかし成功例の少ないハリウッド・リメイクには、やはり期待よりも不安が大きく…。
唯一の期待材料としては、ヒロインの少女を『キック・アス』で映画ファンを魅了した
新鋭女優クロエ・モレッツが演じることぐらいでした。
…ところが、リメイク版である本作が完成して全米公開されるや、
オリジナル版と遜色ないほどの高評価を受けており、
これはハリウッド・リメイクでは稀な成功例かもしれないと一気に期待が高まりました。

そしてついに日本公開となり、さっそく観に行きました。
うん、たしかにオリジナル版と遜色のない出来映え。
オリジナルに忠実であり、オリジナルのイメージを壊さない完璧なリメイクです。
監督のオリジナルに対する敬意がにじみ出ています。

…って、いくらなんでもオリジナルを忠実に再現しすぎでしょ。
せっかくリメイクするなら、もっと独自性を出さなきゃ意味ないです。
スウェーデン語をアメリカ人が取っつきやすいように英語に変えただけみたいな感じで、
これだとリメイクすることの意義が感じられません。

内容はほぼ変わってないので、オリジナルを観てない人が観れば、
オリジナルを初めて観た人が感じたのと同様に面白いはず。
アメリカ人は外国映画なんてほとんど見ないので、本作が絶賛されるのもわかります。
ただ、オリジナルも観てリメイク版も観た人は、同じものを二度観ているようなもの。
いくらよく出来た物語とはいえ、この短いスパンで二度観ることになるのは少し厳しく、
やはり新鮮味がある分、オリジナルの方が圧倒的によかったと感じます。
きっと監督もあまり手を加えたくないくらいに、オリジナル版が好きなのでしょう。
ただオリジナルを越えられないどころか、敬意すら失っているダメなリメイクが多い中で、
本作はかなり頑張っている方なのは間違いなく、好感は持てます。
オリジナル未鑑賞の人は、どうぞそのまま本作を観に行くことをオススメします。

本作は吸血鬼映画でありながらロマンス作品なので、
大人気吸血鬼ロマンス『トワイライト』シリーズとよく比較されます。
まぁ十中八九、比較対象の『トワイライト』が貶められ、
『トワイライト』の好きなボクは複雑な心境ですが、
たしかに、本作の方が吸血鬼と人間のロマンスをビリーバブルに描けていて、
これに比べると、切ないはずの『トワイライト』の悲恋なんて甘っちょろく感じます。
これは偏に、吸血鬼というものの設定の違いでしょう。

本作のヒロイン、吸血鬼の少女アビー(クロエ・モレッツ)は、
定期的に人間の血を吸わなければ生きていけません。
さらに太陽の光を浴びると皮膚が発火し、焼け死にます。
血への渇望はあるけど我慢できるし、太陽を浴びても皮膚がキラキラ光るだけの
『トワイライト』の吸血鬼とはそこが違い、
アビーは食料としても、動けない日中に自分を守ってくれる存在としても、
人間に依存しなければ生きていけないわけです。
本作はロマンス映画ですが、そこに描かれているものは、
恋愛関係なんかよりももっと深い依存関係であり、
それが本作のなんともいえない切なさを強めているんだと思います。
そもそもアビーが人間に対して友情以上の恋愛感情を持っているのかも疑問で、
この恋愛には発展性が感じられず、それがまた切ないです。

このアビーを演じるクロエ・モレッツですが、各所で絶賛されているものの、
ボクからするとちょっと子どもっぽすぎるかな。
とても200年も250年も生きているようには思えない雰囲気です。
オリジナルの吸血鬼少女エリは、年齢的には同じくらいだったけど、
時折、大人も魅了しかねない妖艶さを感じさせました。
それが人間に依存するための武器であり、エイジレスな吸血鬼らしさだったのですが、
でもクロエ・モレッツは終始かわいい少女って感じで、
主人公の少年オーウェン(コディ・スミット=マクフィー)とも全く同世代な感じです。
これがオーウェンとの子ども同士の関係だけならいいのですが、
保護者であるトーマス(リチャード・ジェンキンス)と男女関係であるようには見えず、
絶賛されるほどのキャスティングだったとは思いませんでした。

一方、主人公の少年オーウェンの方も、オリジナルより幼く感じましたが、
普通の人間の12歳だと、これくらい子どもっぽい方がいい感じです。
性に目覚めるかどうかの微妙な年頃をうまく演じていたと思います。
このオーウェンはイジメられっこなんですが、彼をイジメるイジメっ子の設定と、
イジメの手口が変わっているところが、数少ないオリジナル版との差異のひとつです。
オリジナル版でのイジメっこのリーダーは、自分ではあまり手を下さず、
子分に暴力を強制するかなり陰湿な奴です。
しかし本作では、むしろ自らオーウェンを痛めつけており、
暴力の度合は酷くなっているものの、陰湿さは和らいで見えます。
しかも彼自身がなぜイジメに走るのかの原因まで描かれているために、
彼が最後に迎える結末は、ちょっと可愛そうにさえ感じます。
ほぼイジメの傍観者だった彼の子分はもっと可哀想です。
これは概ね忠実だった本作のリメイクの中で、唯一改悪に思えるものでした。

改善されていると思える点も挙げておくと、
アビーの正体に迫る男が、吸血事件の被害者の旦那から、
事件を捜査する刑事(イライアス・コティーズ)に変更されていること。
客観的な立場の刑事が登場し、彼の視点から物語を追うことで、
ミステリーとしても楽しめるようになっていると感じます。
病院のシーンを冒頭に持ってきたのも、その意図があったからでしょう。
あと、邦題は格段によくなってますね。

オリジナル版とリメイク版、どちらもオススメの名作ですが、
両方とも観ることはオススメできません。

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