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コクリコ坂から

先週の週末興行成績、『ハリポタ』が断トツ1位なのはわかりきってましたが、
2位がまさかの『劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ』…。
『ポケモン』映画が強いのは知ってるけど、ジブリ作品を抑えての2位にはビックリです。
興収でジブリ作品が初登場でアニメ映画に負けたのって初めてじゃないかな?
天下のジブリの求心力も、かなり弱まってきているように思います。

でも『ポケモン』は2本同時公開なのに、なぜか興収は合算なのは、
納得いかないというか、フェアじゃないと思います。
しかも2本とも内容はほぼ同じなのに、それを明確にしないで公開しているので、
違うエピソードだと思って2本とも観る人も続出しているようで、やり方が汚いです。
それでなくても各々別の特典(レアポケモンのデータ)付けるなど、
まるで複数枚を誘うAKB商法のようですが、(オタク相手の商売ならまだしも、)
チビッコを対象にそんなアコギな商売するなんて酷くないですか?
こんな下衆な方法を考えたのが、任天堂かテレ東か東宝かはわかりませんが、
同じ配給会社であるジブリは、自社の配給作品同士を潰し合わせるような東宝とは、
もう手を切った方がいいんじゃないかな?(どうもポケモン贔屓のようだし…。)

ということで、今日はポケモン商法に屈したジブリ作品の感想です。
とはいえ『ポケモン』2本分の興収8億円を折半すれば、
本作の興収を下回るので、本作が実質2位みたいなものです。
評判は悪くないので、来週は実際に逆転するだろうと思われます。

コクリコ坂から

2011年7月16日公開。
宮崎駿企画・脚本、宮崎吾朗監督のスタジオジブリ最新作。

東京オリンピックの開催を目前に控える日本。横浜のある高校では、明治時代に建てられた由緒ある建物を取り壊すべきか、保存すべきかで論争が起きていた。高校生の海と俊は、そんな事件の中で出会い、心を通わせるようになる。(シネマトゥデイより)



スタジオジブリの「経営5カ年計画」。
最初の3年で若手監督の作品2本作り、残る2年で超大作1本作る。
その若手監督による最初の1本が去年の『借りぐらしのアリエッティ』で、
2本目となるのが本作、宮崎吾朗監督による『コクリコ坂から』です。

本作の初週末(土日祝の3日間)の興収が6億円にも届かず、
ジブリ作品としてはかなり低調な出足となりました。
(ちなみに『借りぐらしのアリエッティ』は初週末9億円。)
この原因は世間が宮崎吾朗監督の才能に猜疑心を抱いているからで、
それは言わずもがな、5年前の初監督作『ゲド戦記』が駄作だったからに他ありません。
(『ゲド戦記』は初週末2日間で9億円となかなか期待されていました。)
その年の日本映画年間一位になるなど、成績的には成功しましたが評価は散々。
「七光りのコネ監督」「やはり二世はダメだ」などと叩かれまくってました。
もちろんボクも『ゲド戦記』は大嫌いで、宮崎吾朗の才能には懐疑的になりました。

ただいろんな記事を読むにつれ、『ゲド戦記』の失敗は宮崎吾朗のせいというよりも、
鈴木敏夫プロデューサーが悪いのではないかと思うようになりました。
彼は宮崎駿なき後のジブリを心配するあまり、「宮崎ブランド」の延命を図り、
息子・宮崎吾朗を半ば無理やり引きづり出してしまったわけです。
一番拙かったのは、それを宮崎駿の反対を押し切ってやってしまったこと。
宮崎駿は息子にアドバイスするどころか、逆にネガティブキャンペーンをされる始末で、
「宮崎ブランド」を盲信するファンから反感を買うことになります。
そんな環境ではいい作品なんてできるわけがなく、歴史的駄作になりました。

でもこれは宮崎吾朗を擁護しているわけではありません。
才能があるかどうかは懐疑的なのには変わりないし。
それは別として、彼の最もよくないところは『ゲド戦記』を失敗作と認めないところです。
マイケル・ベイは『トランスフォーマー2』を自ら失敗だったと認めたことで、
続編『トランスフォーマー3』はシリーズ最高のオープニング成績になりました。
ちゃんと反省するから次は期待できるんであって、
反省なしでは「また前回同様ではないか」と思われても仕方なく、
それがこと低調なオープニング成績につながったんだと思います。

本作も鈴木プロデューサーがゴリ押しして再び宮崎吾朗を監督に据えたそうです。
公開が発表された当初は嫌な予感しかなかったので、スルーしようとも思ったのですが、
腐ってもジブリ作品、どう転んでも日本映画の年間ランキング1~2位になる映画だし、
映画好きとして避けては通れない注目作なのは間違いありません。
しかしそれ以上に本作に興味を持つことになったキッカケは、本作の劇場予告です。
ヒロインが、想いを寄せる少年から、実は異母兄妹であると告げられるという、
重大なネタバレのようなシーンを抽出した劇場予告だったのですが、
この時のヒロインの印象が妙にいいなと感じました。
ポスターにもなっている宮崎駿が描いたイメージ画の少女とは趣が全然違いますが、
それが他のジブリのヒロインとは異なり、どこか洗練された印象で今っぽい。
(主に声優オタクから)懸念の声もあった長澤まさみの声の起用も当たっていて、
単純に可愛らしいキャラクターで、妙に惹かれました。
で、いざ本編を観ても、やはり可愛らしく、魅力的なヒロインでした。
この予告編のシーンはかなりシリアスな印象がありましたが、
劇中では軽めなBGMが付いていて、アッサリした印象に仕上がっていたのが意外です。

本作は1980年に発表された少女漫画が原作。
なんでも宮崎駿の山小屋には『りぼん』や『なかよし』など少女漫画誌が置いてあり、
そんな中から彼の目に止まり映画化されたのが16年前に公開された『耳をすませば』。
本作の原作はそれよりも先に目を付けられていたそうですが、
「学園闘争(学生運動)を扱うのは時期尚早」ということで、
少女漫画原作ものとして、先に『耳をすませば』が作られたんだとか。
で、その後長らく寝かされてきたわけですが、満を持して映画化されることになりました。
『耳をすませば』同様、原作が少女漫画なので、当然のように恋愛がテーマです。
件の予告編のシーンで「まるで安っぽいメロドラマだ」みたいなセリフがありますが、
メインとなるストーリーはまさにそんな感じで、とても安直な純愛ドラマです。

しかしその舞台となる時代設定がとてもよかった。
原作よりも更に時を遡り、1963年の横浜が本作の舞台になっています。
1963年といえば、東京オリンピック前夜で、高度経済成長の真っ最中であり、
『ALWAYS』の3作目の舞台になるなど、古き良き日本のノスタルジーを感じやすい時代です。
主題歌の森山良子の「さよならの夏」をはじめ、ナツメロをふんだんに使用して、
その時代の雰囲気を高めています。
希望に満ちた時代な反面、まだ戦後から20年もたっておらず、
本作の主人公の高校生たちはちょうど太平洋戦争が終わった直後に生まれた世代。
そんな彼らの出生の秘密や、ヒロインの父親が朝鮮戦争で消息を絶つなど、
戦争の爪痕がまだ少年たちに影響している時代です。
そんな時代だからこそ、安直なメロドラマでも、瑞々しく描けているんだと思います。
とても清々しく青春ラブコメとしてはかなりいい出来なんじゃないかと思います。

宮崎吾朗監督も『ゲド戦記』みたいな大ネタは手に余るようですが、
こういう身近な題材なら意外といい線行けるのかもしれません。
特に恋愛は、さすがに高齢になった父・宮崎駿はよりもまだ現役に近いし。
ただ、単なるラブコメならば、別にジブリでなくても、
むしろそれを得意とするアニメーターや製作会社は他にもあります。
たまにはこんな軽いテーマのものもいいと思うけど、
ジブリには「自然との関係性」とか「文明への警鐘」とか、
もっと壮大なテーマを内包したファンタジーを期待してしまいます。

しかし、ジブリの今後の方向性について、
宮崎吾朗監督は「しばらくファンタジーから離れる」と語っています。
「大震災という現実を前にすると、生半可なファンタジーは作ることができない。」と。
これは彼だけの思いではなく、宮崎駿も「今は軽々しく文明論を語る時期ではない」、
「今はファンタジーを作る時期ではない。今こそ等身大の人間を描かなければ。」と
語っていて、ジブリがしばらくファンタジーを作らないのは決定的のようです。
ジブリの次回作、経営5カ年計画で示された最後の2年で作る予定だった超大作は、
おそらく宮崎駿が直々に監督する大型ファンタジーだと思っていましたが、
それもどうなってしまうのか全く想像がつかなくなりました。
むしろ今こそ、文明論を語ることに現実味を持つことができる機会だと思うんだけど…。

なんにしても、ジブリの次回作は2年後以降ということになるのかな。
できればジブリもピクサーのように年一で制作出来たらいいと思うんだけど、
本作を観てみて、ジブリ程度の規模の会社だと、技術的にそれは厳しいようで、
本作もギリギリまで制作していたそうですが、映像的に少し劣る気がします。
海(水)の表現方法とか、群衆のシーンとか、いつもより書き込みが甘いです。
まぁテレビアニメや、テレビアニメの劇場版と比べれば十分なレベルではありますが、
世界に打って出るなら、映像技術も毎作更新する方がいいですね。

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