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スカイライン-征服-

『スーパーエイト』『トランスフォーマー3』『世界侵略:ロサンゼルス決戦』などなど、
今年のハリウッド映画は宇宙人もの超大作が目を惹きますね。
中でも一番期待していた宇宙人映画が『Paul(原題)』です。
2人の漫画おたくと1匹のエイリアンが遭遇することから始まるSFコメディで、
超大作ではありませんがかなり面白そうです。
でも残念なことに、日本公開がまだ決まっていないようです。
もうビデオスルーでいいから、早く見たいです。

ということで、今日は多彩な宇宙人が地球に攻めてくる映画の感想です。

スカイライン-征服-

2011年6月18日日本公開。
『アバター』や『2012』を手掛けたVFXチームによるSFパニック映画。

ロサンゼルスの親友に会いにきたジャロッド(エリック・バルフォー)とエレイン(スコッティー・トンプソン)。早朝4時ごろ、突如として青白い光と共に不気味な音が響き、友人が光の中に姿を消してしまう。窓の外ではたくさんの巨大な飛行物体が空を埋め尽くし、地球から人間を次々と吸い上げていた。(シネマトゥデイより)



本作を語る上で外せないのが、低予算で作られたということでしょう。
SFパニック映画なんて膨大な製作費が必要だと思うのですが、
本作はたったの1千万ドルで作られています。
金額ではよくわからないかもしれませんが、例を挙げると『2012』の約20分の1、
日本のSF映画と比べるなら『SPACE BATTLESHIP ヤマト』の半分以下の製作費です。
低予算で作られる映画なんて沢山あるし、本作以下の予算の作品だって珍しくないです。
しかし低予算映画ならば、お金がない分アイディアを捻出して、
斬新な切り口で撮ることで超大作に対抗するのが普通。
本作のすごいところは低予算なのに超大作と遜色ないVFXを使用し、
超大作に真っ向から対抗しようとしているところです。
そして並みの超大作SF程度なら、映像的には勝利しています。
低予算で作られたことを知らない人が観れば、本作も超大作だと思うかもしれません。

本作は『アバター』や『2012』の特殊効果を手がけたVFXスタジオ「ハイドラックス」が、
独自に制作した作品です。
いつも大手スタジオから外注でVFX制作依頼を請け負ってきたVFXスタジオが、
「ハリウッド映画って無駄に人件費がかかりすぎてっから、オレらで作った方が良くね?」
って感じで、20人程度のスタッフで作ってしまった作品なんだとか。
本作の主人公たちは映画のVFX制作を生業にしているという設定で、
まさにハイドラックス社のスタッフを投影した設定だと思います。
「ロボットのCGの出来はどうだった?」「最悪だけど監督は満足してたよ。」
みたいな会話が劇中で出てきますが、それ映画の請負の姿勢をよく表していますよね。
「手抜きでも客がOKならそれでよし」って感じで、予算内で何とか安くVFXを作って、
余った制作費はピンハネしてると思います。
しかし自社で制作した本作はそういうわけにはいきません。
請負料で稼ぐのではないので、手抜きをしても利益にはならず、
むしろ最低の費用で最高の映像を作ろうとするはず。
だから本作は予算以上の素晴らしいVFXが使えているんだと思います。

でもそれはVFXだけの話です。
映画というのはVFXだけでできているものではありません。
本作はVFXは一流だけですが他はイマイチだと感じます。
特に人件費を抑えるという目的から、マンパワーが弱すぎます。
キャストは有名映画俳優は使えず、テレビ俳優が中心で華がないし、
人手がないから大がかりなロケもセットも組めず、室内での撮影が中心。
ゆえに展開も宇宙人と戦ったり逃げ回ったりはせず籠城戦ばかりで、
SFパニック映画というよりは、ゾンビ映画の展開に近い印象です。

宇宙人から意味もわからず攻撃され、為すすべなく捕獲される人間たち。
ただただ襲われるだけでドラマ性はほとんどなく、脚本の弱さも感じます。
ラストもかなり弱く、あれでちゃんとオチているのかも微妙。
脚本の中身の薄さもさることながら、低予算映画の魅力である奇抜なアイディアもなく、
宇宙人の母船も、キングコングみたいな巨大宇宙人も、ベタなタコ型宇宙人も、
どこかで見たことあるような奴ばかりです。

宇宙人の放つ青い光に吸い寄せられるという設定は独自性があると思いましたが、
その設定を煮詰め切れておらず、光を浴びた人間がどうなるのかちゃんと描けていません。
なんか身体に異変が起きるみたいですが、それがなんなのか最後まで不明のままです。
その光が照らされるシーンが多いのですが、逆光が強すぎて眩しいです。
サングラスでもしてないと、まともに画面を観るのもつらいです。
もしかしたらその逆光でVFXの粗を隠してるのかとも思いました。

やっぱり特殊効果にだけお金をかけてもダメですね。
脚本にも俳優にもスタッフにももっとお金を掛けないといいものはできません。
とはいえ本作は全米で制作費の倍以上の2100万ドル稼いだそうで、
そのコストパフォーマンスは魅力的です。
同じくロサンゼルスを舞台にした映画『世界侵略:ロサンゼルス決戦』は、
制作費7000万ドル掛けても、全米で8300万ドルしか稼げておらず、
実質的な利益はほとんどかわらない程度です。
これなら少人数で手早く作った方が一人あたりの利益が大きそうですよね。
ただ制作者の利益なんて観客には関係ないわけで、同程度の面白さの作品でも、
同じ鑑賞料払って観るなら、金かかっているものの方がお得感があります。

あ、そういえば余談ですが、ハイドラックス社は本作『スカイライン-征服-』のことで、
『世界侵略:ロサンゼルス決戦』の製作側から訴えられたそうです。
『世界侵略~』のVFXの同社が請け負ったらしいのですが、
同じような設定(ロスに宇宙人襲来)の本作を制作中であることを黙っていたとして、
『世界侵略~』側からクレームが出たみたいですね。
公開順からしても『世界侵略~』が二番煎じみたいになっちゃうけど、
構想からわずか51週間で公開された本作だけに、どちらの企画が先だったかは明白。
だからといって本作が『世界侵略~』をパクったとはいいませんが、
少なくともハイドラックス社は『世界侵略~』の依頼を請けるべきじゃないと思います。
日本は東日本大震災さえなければ『世界侵略~』の方が先に公開になってたんですけどね。

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