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星守る犬

先週8日、『マイ・バック・ページ』の討論会で主演の妻夫木君がいいこと言いました。
「(日本の)映画の興行を回しているのはテレビ映画ばかり。
 一方で、ほかの国に発信できるような映画を作るチャンスが小さくなっている。」と。
テレビ映画ってのはテレビ局制作の映画ってことだと解釈しましたが、全く同感です。
日本の映画関係者が選んだ日本アカデミー賞を受賞した後の発言だからこそ重みがあるし、
映画関係者もテレビ局関係者も真摯に聞くべき意見だと思います。
(でも隣に日テレ映画『GANTZ』の主演・松ケンがいるのに、辛辣な発言ですよね。)
ボクは娯楽映画が好きなのでテレビ映画を全て否定するつもりはないけど、
それで本当に国際的な映画を作れなくなっているのであれば、とても遺憾なことです。
とはいえ現状では製作や宣伝面でテレビ局の力に頼らないとヒットしないのが現実で、
なかなか悩ましいところですよね。
まぁテレビ局が国際的に通用する映画を作れば解決する話ですが…。

俳優の発言で言えば、先月とても話題になりましたが、反原発を叫んだ山本太郎が
福島原発に原子炉を納入していた東芝がスポンサーのテレビドラマから降ろされたそうで、
ボクは反原発ではないけど、彼に対するこの仕打ちは酷いなと思いましたね。
まぁテレビ局はスポンサーがお客様ですから、お客の意向に沿うのは当然のことだけど、
そこがテレビ局、テレビドラマの限界ですよ。
一方、映画にも制作資金を出すスポンサーはいますが、それはあくまで投資です。
ヒットすれば配当が出るので、広報のため掛け捨てのテレビ番組のスポンサーとは違う。
だから映画はテレビよりも自由なんだけど、制作にテレビ局が絡めば結局同じことです。

昨日、東日本大震災被災者支援発表会見に出席した菅原文太や西田敏行も
「原発にNO!」を突きつけたそうです。
山本太郎程度の中堅役者では、あっさりテレビ局から吹き飛ばされてしまいましたが、
彼らくらいの大御所なら、これくらいのことではビクともしないかな?
海外では俳優がイデオロギーを表明するのは当然のこと。(義務とも言える。)
日本の俳優もスポンサーやテレビ局の顔色ばかり窺ってないで、彼らを見習うべきです。

といことで、今日は西田敏行主演のテレビ局制作ではない日本映画の感想です。
まぁ電通制作だし、ただテレビ局制作じゃないからいい作品ということではないです。

星守る犬

2011年6月11日公開。
村上たかし原作のベストセラーコミックを実写映画化した感動作。

北海道の小さな町で、死後半年を経過したとみられる男性(西田敏行)と、死後ひと月の犬の遺体が見つかる。市役所の福祉課勤務の奥津(玉山鉄二)は、遺棄された車に残されていたリサイクルショップの買い取り証を発見。彼は仕事上仕方なく、50代とおぼしき身元不明の男性と犬がたどったと思われる道をさかのぼる旅に出ることになる。(シネマトゥデイより)



ボクはイヌが大好き、イヌが出てくる映画大好きで、
そんなボクが今年一番期待していたイヌ関連の映画が本作でした。
でも残念ながら期待したほどではなかったです。
忠犬と中年男の絆を描いた、イヌ好きなら感動必至の物語なはずなんですが、
構成が悪さが先に立ってしまい、どうも素直に感動できません。

北海道・旭川でワゴン車に乗った身元不明の男性と一匹のイヌの死体が発見されます。
ケースワーカーの奥津(玉山鉄二)は、その身元不明の男性=おじさん(西田敏行)が、
何者なのか個人的に調べるために、数少ない遺留品を頼りに、
おじさんの最後の半年の足跡を辿って旅をする、という話。
奥津は生前おじさんに会った人たちから証言を聞き追憶する狂言回し・進行役であり、
本作は奥津を通して描かれたおじさんの回想録という形式になるのですが、
奥津の知りえないところまで映像化されてしまっているんですよね。
東京から旭川まで旅した回想録ですが、東京出発以前と青森以降のおじさんの行動が、
奥津の知りえない情報であり、それは内容の半分以上にも相当します。
これならば奥津の追憶形式にする必要なんて全くなく、
おじさんの行動を時系列に追うか、愛犬ハッピーの視点で描いた物語にした方がいいです。

奥津はおじさんを客観的に説明するための狂言回しなわけですが、
彼自身わかりにくい性格で、それを補う目的か、彼の旅に同行者が付きます。
それが原作にはいない映画オリジナルキャラの少女・川村有希(川島海荷)です。
彼女は狂言回しの奥津を客観的に説明する役柄で、いわば狂言回しの狂言回し。
そもそも狂言回しが機能を果たしていないのに、更に狂言回しをかぶせるなんて意味なく、
奥津以上に意味のない役柄です。
家出少女である有希を、奥津が仕方なく家に届けるという設定で同行するのですが、
恋人同士でもおかしくない2人で、なんだかいかがわしさを感じてしまいます。
原作どおりだとキャストの平均年齢が高いので、なんとか客層を広げるために、
無理やり可愛い少女を突っ込んだんでしょうが、意味がないどころか邪魔でした。

なので構成的に問題のある奥津と有希の二人旅はもう無視して、
おじさんとハッピーの最後の旅の物語だけならば、まぁまぁよかったと思います。
しかし、ハッピー役のチビは演技経験のないシロウト犬だったようで、
あまり言うとおりに動いてくれなかったらしいのですが、
それを知ってたためか、どうもハッピーの感情表現の不出来が気になりました。
終盤の献身的におじさんに尽くす忠犬ぷりはとてもよかったのですが、
出発前や旅の途中のハッピーはおじさんに対して無関心にしかみえない印象があります。
もうちょっと平時から仲のよさをアピールできていたら、
ラストはもっと盛り上がったんじゃないかと思うんですよね。
でも怪我をした時の演技はすごかったですね。
シロウト犬にあんな迫真の演技、どうやって仕込んだんでしょうか?
それがホントに痛々しくて、ハッピーに致命傷を負わせたあのクソジジィには、
フィクションなのはわかっていますが殺意すら感じましたよ。

おじさんも内面がかなりわかりにくいキャラなのですが、
一番わかりにくいのは旅の目的ですよね。
死に場所を探しているようでもあり、新天地を探しているようでもあり…。
別に東京にそのままいれば、行き倒れみたいな悲惨な末路にはならなかったのに、
そこの動機をもうちょっと明確に描いてもらえると、感情移入もしやすかったけど…。
死んでまで身元を隠す明確な理由もわからないし…。
まぁ結局最後まで本名すらわからない謎の多い人物ですからね。

劇中に「小泉政権圧勝」の記事が一面の新聞が映りますが、
その後すぐにおじさんは長年勤めていた工場から解雇されますよね。
それを契機におじさんの転落人生が始まるわけですが、
やはりあれは今の格差社会の元凶である小泉政権に対する批判でしょうね。
特に製造業の派遣解禁した04年の労働者派遣法改悪に対する。
あれで本当に製造業の労働者は苦しいことになりましたもんね…。
そのあとで今度は鳩山の記事が載った新聞が映ります。
それも政権交代に期待したのに何も変わらなかったという皮肉でしょうか。
北海道に上陸後、おじさんが家屋が倒壊した村を通り抜けるシーンがありましたが、
あれは東日本大震災に引っかけた演出なのかな?
別に物語展開上全く意味のないシーンだったし、後から足されたんじゃないかと思ったし、
本作のロケ地の中には甚大な被害を受けたところもあるみたいなので…。
でも北海道だから十勝沖地震の痕跡なのかな?
せっかくだから社会風刺や時事ネタも入れたいのもわかりますが、
もともと要らないものを詰め込み過ぎの映画なので、
もっとおじさんとハッピーの関係に絞って描かれてもよかった気がします。

最近のイヌ関係の映画はイヌがあまり活躍しなくなってきています。
なんかイヌを出しに使って、イヌ好きを釣っているようで、あまりいい気はしません。
ちゃんとしたイヌ中心映画もお願いします。
今年下半期に公開される注目のイヌ映画は『ロック ~わんこの島~』くらいかな?
『DOG×POLICE』は…、ちょっと違うか。

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