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奇跡

2009年あたりから子役ブームが来ているようです。
子どもってのは視聴率持ってるし、その割にギャラは安いので、
この不況下では重宝されるのでしょうね。
下手な大人のタレントよりも演技力はあるし可愛くて華もあります。
『さや侍』のように達者な子役のお陰でなんとか成立している作品も多いです。
子役はドラマや映画では欠かせない存在だと思います。

ですが、15歳以下の子を働かせるのは基本的には法律違反。
それを演劇(映画含む)という特殊な事情を考慮して、例外的に容認しているだけで、
本来ならば演劇以外では子どもの使用は避けるべきです。
というか、13歳未満の子どもは演劇以外は例外なくダメだと習ったはずなんですが、
実際はタレント、演歌歌手、マイジャン、お笑い芸人、ジュニアアイドルとして、
バラエティ番組やステージに当たり前に出演してますよね?
これって法律的に大丈夫なのかな?
子役とはいえ芸能人は労働者ではなく個人事業主だからOKなのかな?

子役タレントは演劇においては「余人をもって替え難し」として必要不可欠ですが、
他の芸能活動に関しては、大人のタレントによる代用は可能。
というか、その方が確実に高いレベルの芸を見せられるはず。
子役は可愛いと思うけど、それだけの理由で素人同然の芸を見せられたくはないです。

ということで、今日は子ども漫才師・まえだまえだの主演映画の感想です。
ハッキリ言ってこの子らの漫才は全然面白くないので、このままチヤホヤされると、
りあるキッズみたいに、芸歴と実力のアンバランスな芸人になってしまいそうです。
本作を機に、芸人から俳優に鞍替えするといいと思います。

奇跡

2011年6月16日公開。
今年3月に全線開通を迎える九州新幹線を題材に描いた感動ストーリー。

離婚した両親がやり直し、再び家族4人で暮らす日を夢見ている航一(前田航基)。母親と祖父母と鹿児島で暮らしながら、福岡で父親と暮らす弟・龍之介(前田旺志郎)と連絡を取っては家族を元通りにする方法に頭を悩ませる航一は、九州新幹線全線開通にまつわるうわさを聞きつけ、ある無謀な計画を立て始める。(シネマトゥデイより)



本作は今年3月に全線開通した九州新幹線(鹿児島ルート)の完成を記念して作られた
JR九州と九州新幹線のプロモーション映画です。
普通ならば沿線の観光地を物語に絡めて、九州への観光客を誘致するための、
新幹線による地域振興ご当地映画になりそうなものですよね。
でも本作はそれだけには止まらない、見応えのあるいい映画になっていると感じます。

当然当初は九州新幹線のプロモーション目的でスタートしたはずですが、
その監督として白羽の矢を立てたのが、なぜか『誰も知らない』の是枝裕和監督。
大凡こんな企画モノに着手するような監督さんではないと思っていたのですが、
「電車撮り放題」につられてアッサリ依頼を受けてしまったそうです。
是枝監督が撮るとなると彼を慕っていい俳優が集まります。
橋爪功、樹木希林、原田芳雄、阿部寛、オダギリジョー、大塚寧々、長澤まさみ…、
単なるご当地映画では勿体ないくらいの豪華のメンツです。
しかし驚くのはむしろ、そんな大御所・人気主演級俳優を押しのけて、
本作のメインキャストになっているのが、ほぼ演技経験のない子役たちということ。
しかも主演は子ども漫才師・まえだまえだの2人です。
ただの新幹線PR映画ならボクも観るつもりもありませんでしたが、
その監督やキャストの人選にただならぬものを感じ、観に行きました。

まず驚いたのが、新幹線PR映画、ご当地映画としての体裁をとる気がなさそうなこと。
新幹線には一切乗らないし、車両自体もほとんど出てきません。
だから全線開通したことの利便性などのアピールも当然ありません。
ご当地映画としては、九州新幹線沿線の福岡、熊本、鹿児島が舞台になっているのですが、
福岡、熊本に関しては観光地や名産品が一切出てきません。
特に物語の中心となる鹿児島は、それなりに名物が出てくるのですが、
大阪出身の主人公の少年・航一(前田航基)は、
桜島の近くに住むことを「灰が降る所に住むなんて意味わからん」と嫌がり、
鹿児島銘菓かるかんを「ぼんやりした味」とダメ出しし、
「大阪に早く帰りたい」と逆PRする始末です。
目的をわかっていながらこんな脚本を書いた是枝監督は只者ではないと思いましたが、
こんな脚本をそのまま通したJR九州の寛容さも感心しました。
でも基本的にはプロモーション映画なので、
あまり暗い話には出来ないなど、最低限守るべき縛りはあります。
そのことが是枝監督にいい影響を与えており、今までの是枝作品の中でも、
最も娯楽性が高く、老若男女楽しめる間口の広い作品になっています。
結果的に宣伝効果も高くなっていて、いい相乗効果を生んでいると思います。

是枝監督は当初、典型的なボーイ・ミーツ・ガールの物語を予定していたそうですが、
オーディションでまえだまえだに出会って、兄弟の物語に変更したそうです。
それだけでなく、そのオーディションで、たくさんの子どもたちに会い、
今の小学生の生態を徹底的にリサーチし、どんどん脚本を変えていったんだとか。
さすがはドキュメンタリー番組上がりの監督とでもいうべき柔軟性です。
それが功を奏し、小学生の視点からの世界観をうまく表現していると思います。
何も知らない人にドキュメンタリーとして見せたら、
信じてしまうんじゃないかというほどのリアリティがあります。
そのリアリティに子どもは共感し、大人はノスタルジーを感じられるんじゃないかな?
『奇跡』なんてタイトルだけど、別に大して奇跡的なことは起こりません。
でもどこかファンタジーな印象を受けるのは、子どものリアルをうまく切り取っており、
まだファンタジーを信じられた頃を気持ちを想起させるからでしょう。

九州新幹線の上りと下りの新幹線が初めてすれ違う時、
その場で願い事をすると願いがかなうという都市伝説を信じ、
福岡と鹿児島の7人の子どもたちが、現地熊本に集まるという話。
普通に考えれば前例の全くない都市伝説で、信じる余地なんて全くないんですが、
理論よりもとりあえず実行しようというバイタリティに子どもらしさを感じます。
その願い事も、足が速くなりたい、絵が上手くなりたいという些細なものから、
○○を生き返らせてほしい、仮面ライダーになりという無茶なもの、
ゆとり教育が復活してほしいという突飛なものまで、
大人の願い事とは全く違う発想で面白いです。
また願い事がコロコロ変わるのも子どもらしくていいですね。
主人公・航一の願いは「家族4人が再び大阪で一緒に暮らす」ことですが、
「桜島が大噴火すれば鹿児島が壊滅し大阪に引っ越せる」という発想から、
桜島の大噴火をお願いしに行くんですよね。すごい発想です。
一方、まだ幼く能天気な弟・龍之介は今でもそこそこ楽しく生活していて、
別に家族4人で再び生活したいとは思ってません。
兄弟で同じ小学生でもちょっと年齢が違うと全然考え方が違う、
そんな多感な小学生時代をよく表現できていると感心しました。
それも綿密なリサーチあってこそですね。

さて、脚本に大きな影響を与えたまえだまえだの2人ですが、
主役ということもあり、彼らの出来如何で作品の良し悪しが決まる大役です。
上記のように、ボクはまえだまえだの芸人としての能力は疑問視していて、
バラエティでもバーターの松竹芸人のアシストでなんとか成り立っている感じなのに、
妙にチヤホヤされていて、正直あまり好きじゃありませんでした。
しかし、子役としては達者で、上出来だったと思います。
当て書きされているので素で勝負できるというのもあったでしょうが、
特に兄・前田航基のあまり背伸びをしない演技が好印象。
芸人としては子どもっぽすぎると思ってたけど、子ども役ならばそれが活きますね。
弟・前田旺志郎は若干わざとらしさを感じますが、
普段からケレン味のある子なので、あれが彼の素の演技なんでしょうね。
他のメイン子役たちも、劇団ぽくない素直な演技で好印象。
是枝監督は子役に台本を渡さないそうなんですが、その演出方法の賜物なんですかね?

本作はホッコリするいい映画で、意外なことにけっこう笑えたりもします。
イマイチいいものが少ない今年の日本映画の中では、今のところ5本の指に入る佳作です。
主演がまえだまえだということでキワモノ扱いされる方もいると思いますが、
万人にオススメできる出来なので、是非観てください。

あと、九州新幹線に関する余談ですが、ボクは関西在住なんだけど、
よく鹿児島に遊びに行く機会があり、その時はだいたい九州自動車道を使います。
いつも混んでないし走りやすいいい高速道路なので、
それに沿って走る九州新幹線はあまり必要性を感じません。
むしろ大分~宮崎~大隅半島の九州東海岸の方に作ればいいのに…、と思いました。
でも今週末で高速上限1000円が終わっちゃうんですよね。
今までは上限1000円だったから車で行ってたけど、これからは2万弱かかることに…。
そうなると、新幹線で行っても料金的には今までほどは差がないし、
新大阪から鹿児島まで4時間程度で1本で行ける九州新幹線の開通はありがたいかも。
まぁ飛行機だったら1万ちょい、2時間程度で行けちゃうんですけどね。

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