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もしドラ

映画館の上映スケジュールをチェックしていて気付いたのですが、
明日、例のAKB48選抜総選挙の開票イベントの日みたいですね。
ボクはAKB48のファンではないし、参加もしないのであまり関係ないのですが、
J-POPは好きなので、この社会現象に関しては少々興味があります。
CDに特典(投票券)を付けることで、同じCDを複数枚買わせるという商法ですが、
CDの売れない時代にどう売るかというアプローチの手段として興味深いし、
AKB48の人気がピークの今、今後の音楽業界のあり方を考えるひとつの社会実験として、
なかなか面白いんじゃないかと思います。
ただ特典で釣るなんて楽曲を売ることが目的の音楽CDとしては本末転倒で、
AKB48は音楽は二の次のアイドルタレント集団だからまだ許されるものの、
本物のアーティストであるB'zが複数枚買い商法を用いたことにはガッカリしました。

オリコンシングルランキング44作連続初登場1位記録を更新中だったB'zですが、
最新シングルの1位奪取がAKB48の投票券付きシングルに阻まれるのを恐れて、
複数枚買うともれなく特典CDをプレゼントするという企画を急遽発表しました。
それが功を奏して連続1位記録を45に伸ばしてめでたしめでたしでしたが、
こんな恥も外聞もない商法で、ファンに負担を強いてまで、
守らなければならない記録だったのかと…。
それ以前に、もしこんな情けない企画を用いなくても、ファンは勝たせてくれたはず。
今までこの記録の維持に貢献してきたファンたちを信用できなかったことが、
なによりも情けないです。
結局AKB48ごときに振り回され、試合に勝って勝負に負けたって感じです。

ということで、今日は選抜総選挙の1位候補が主演する作品の感想です。
この時期に主演作が公開されるってのは、公選法に抵触するレベルのアドバンテージです。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら

2011年6月4日公開。
累計発行部数222万部を突破しているベストセラーを映画化した青春ストーリー。

病床の親友、夕紀(川口春奈)に代わり、甲子園の東京都予選であっさり一回戦で敗退した野球部のマネージャーをすることになった女子高生のみなみ(前田敦子)。しかし、エースの浅野(瀬戸康史)をはじめ、部員の大半は練習をさぼって遊び放題。途方に暮れたみなみは、マネージャーの仕事について書かれた本を探すことにする。(シネマトゥデイより)



超有名な映画評論家の町山智浩が、観もしないで本作を貶したことも話題になりましたが、
公開一周目にして「早くも失速の兆しを見せている」なんて言われている本作。
先週末の観客動員が14万人くらいなので、数字的にはそう悪くはないが、
シングル発売1週で日本史上最高の130万枚以上売り上げたアイドルグループの中心である
前田敦子の主演作と考えると、成績以上のギャップを感じてしまうのは確かです。
(町山同様、観てない人のものも多いでしょうが)本作の各所での評価も散々で、
その批評の大半は前田敦子の吊し上げる内容になっているようです。
ボクもよほどひどい演技なんだろうなと覚悟して観に行きましたが、
実際見た印象では、若干目力が強すぎて演技の邪魔になっていると感じたものの、
演技力それ自体は叩かれないといけないほど悪くはないかと思いました。
前田敦子に対する吊し上げは、アンチのネガティブ・キャンペーンであると断言します。

ただ彼女を含めてキャスティングが失敗していることは間違いなく、
これでは客が呼べるわけはありません。
AKBファンの実数は10万人に満たず、前田本人に限れば多く見積もって3万人といわれ、
むしろ14万人も動員できたことが奇跡だと思います。
なぜちゃんと脇を固めず、前田敦子ひとりに背負わせる形にしたのか。
特に野球部員の面々が、人気も実力もイマイチな奴ばっかりでショボすぎます。
総合プロデュースの秋元康の読みの甘さが、失速の大きな原因です。

でも、もし本作に実力派俳優ばかりキャスティングすればどうなるかといえば、
やはり駄作であることに変わりはないと思います。
こんなカスみたいな脚本では、どうあがいても駄作にしかならず、
本作で吊し上げられるべき戦犯は主演俳優ではなく、原作者および脚本家(監督)です。

原作は200万部を超える去年の年間ベストセラー小説ですよね。
普通だと映画の動員数は発行部数を超えるものですが、
本作は最終累計動員でも30万人越えるかどうかという感じ。
これが表わしていることは「読んでみたけど面白くなかった」ということに他なりません。
経営管理者であるマネージャーと、運動部の女子マネージャーを掛けるという発想は
ちょっとしたコロンブスのタマゴ的ないいアイディアで面白いと思いますが、
その素晴らしいアイディアを発展させる能力に欠けています。
簡単に言えば原作者の野球(特に高校野球)に対する造詣が浅く、
せっかくのアイディアが机上の空論で終わってしまっています。
「野球小説じゃなくて経営学の入門書だからそれでいい」という意見もありますが、
おそらくこの原作者は、ドラッガーに対しても理解がないと思うんですよ。
ドラッガーは何よりも「真摯さ」が大事であると説いているわけだし、
本作もそれが主題なはずなんですが、本当に理解して真摯に行動しているならば、
こんなに高校野球の考証がいい加減なわけがないです。
少なくとも高校野球には真摯に対応しているとは言えず、むしろ冒涜しています。

ボクは野球経験者ではないけど、出身校が強豪校だったので、
甲子園を目指す野球部がどんなものかは多少わかっているつもりです。
まずイノベーションと称して考案された「ノーバント、ノーボール作戦」ですが、
ツッコむ気も失せるほどの愚策ですよね。
甲子園がノックアウトトーナメント方式である以上、こんな不安定な作戦はあり得ません。
しかもこれを行うチームは、守備力が低いということまで劇中で明言しています。
ほぼピッチャーだけのワンマンチームなのに、その投手力すら制限する愚策です。
わざわざヘボ選手をキャプテンにして、人数制限のあるベンチ入りメンバーにするのも変。
思いで作りならそれもいいけど、甲子園目指しているとは思えません。
ベンチ入りと言えば、女子マネが2人ベンチ入りするのは規定違反なのであり得ません。
味方出塁時の野次作戦も、規定上の是非はわかりませんが、良識的に問題があります。
決勝戦のラストバッターが取った行動も、ただ味方の意表を突くだけのもので、
理論的には何の意味もない作戦です。
この全てが高校野球がわかってないことの証明であると同時に、
ドラッガーの教えとは全く関係ない、またはネガティブに働いているものばかりで、
高校野球映画としても経営学の入門映画としても体を成していません。

いや『ROOKIES』とかだって、ちゃんと高校野球の考証ができているわけじゃないし、
100歩譲って、そこまでは求めないことにします。
しかし本作にはスポ根として決定的に「熱さ」が欠けているため、好感が持てません。
その要因のひとつは主要な演者が野球をやったことがない、興味がないためでしょう。
どんな局面でも坦々と芝居しやがって、甲子園に対する情熱が皆無です。
その点『ROOKIES』は暑苦しいくらいだったので、細かいことはともかく好感が持てます。
とりあえず人気者・前田敦子を撮っていればそれでいいと、
監督が何のポリシーもなくアイドル映画として作ってしまったからでしょうね。
よく批判されている元女子マネ(川口春奈)の顛末についても、
あれで感動を得られると思ってるなら、作家・クリエーターとしての良識を疑います。

本作は公開すること自体が罪じゃないかと思えるほどの駄作ではあるものの、
ひとつ映画界にとって利点があったとすれば、AKB主演ではコケることが証明されたこと。
延いては総合プロデュースの秋元康の手腕が疑問視されるようになることです。
ボクはAKBのファンでもアンチでもないけど、秋元康は嫌いなので本作がコケたのは嬉しい。
AKBの子たちはそこにいたら女優の道が閉ざされかねないので、
女優への踏み台と考えてるならさっさとグループやめた方がいいです。

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