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メアリー&マックス

「日本はアニメ大国」とか「日本のアニメは世界一」とか思ってる人って多いですよね。
ボクもそれが事実ならば誇らしいことだと思いますが、実際はどうなのかな?
たしかに世界中に日本アニメの愛好家はいるようですが、
それが即、世界一面白いとか評価が高いといことにはならないですよね。
実際に世界各国のアニメと比べてみないと、ホントに優れているかなんてわかりません。
その比べる数少ないモノサシのひとつが国際的なアニメの賞だと思うんです。

アヌシー(フランス)、オタワ(カナダ)、ザグレブ(クロアチア)、広島で行われる
アニメ専門の映画祭を、総称して世界4大アニメーションフェスティバルと呼びます。
これがどの程度権威のあるものかはわかりませんが、海外と比較する機会にはなります。
でも日本の有名なアニメスタジオはホームである広島映画祭でさえ、エントリーしません。
土俵にも上がらないんだから勝負にもなりませんよね。
ボクはこれを日本アニメが「逃げている」と受け取ります。
ハリウッドメジャーだってエントリーしないし、それで世界一が決まるとは思わないけど、
愛好家だけでなく国際的にも認められているという証が何か欲しいです。

ということで、今日はオタワ、アヌシーで最優秀長編作品賞を受賞した、
世界的に高い評価を受けたアニメ映画の感想です。

メアリー&マックス

2011年4月23日日本公開。
アダム・エリオット監督の実体験に基づき制作されたクレイアニメ。

メルボルンに暮らす8歳の少女メアリーは、ある日アメリカに住む誰かに手紙を送ろうと思い立ち、電話帳から選び出した人物に手紙を書き始める。そしてニューヨーク、人付き合いが苦手で一人孤独な日々を送っていた中年男マックスのもとに、オーストラリアから一通の手紙が届く。それを機に、メアリーとマックスの2つの大陸をまたいだ20年以上にわたる交流がスタートする。(シネマトゥデイより)



世界各地の映画賞(主にアニメ部門)を総なめにした本作。
日本公開が決まってから、公開はまだかまだかと待ち続けましたが、
関東での公開から1カ月以上して、ようやくコッチ(関西)でも公開が始まり、
即行で観に行きました。
いやぁ~、すごいすごいとは聞いていましたが、予想以上の名作です。

内容は、家庭環境に問題があり孤独な8歳の女の子メアリーと、
アスペルガー症候群で人付き合いができない中年マックスの、
文通による心の交流を描いた話で、精神病絡みのなかなか重たい話ですね。
ウィットに富みすぎてちょっと汚い描写や、不謹慎に思える展開があったり、
登場人物はほぼ全員病んでるし、コロコロ死ぬしで、けっこうブラックでもあります。
たぶん実写だったなら、観るに堪えなかったと思いますが、
それを『ウォレスとグルミット』風のクレイアニメで表現することで、
ずいぶんポップでキュートな印象に抑えられてると感じます。
どんないい話でも、ユニークフェイス気味のブサイクな女の子と、
挙動不審な肥満オヤジの話なんて、実写だったら観てられないものになると思うけど、
クレイアニメでデフォルメされていれば全然平気。
むしろそれをキャラ個性として魅力に変えることだってできます。

クレイアニメで柔らかく描いてしまうと、物語本来の重さが伝わらない気がしますが、
逆にデフォルメすることで大袈裟に強調して描いても違和感がないので、
重さが深さに変換されて、テーマ性は増幅されていると感じます。
これは実写には真似出来ない、アニメーションだけの力であり、
漫画を動かしているだけの日本のアニメとは違い、
アニメーションという表現方法を選択するの本来の目的のような気がします。
差し障りがある内容でも、アニメだから許されるってやつですね。

クレイアニメの撮影技術的にも素晴らしいです。
アヌシーでのアニメ映画祭では、同じくコマ撮りアニメの『コララインとボタンの魔女』と
グランプリを分け合ったそうですが、『コラライン~』が物量的にすごかったのに対して、
本作は演出が素晴らしかったと思います。
動きもカクカクしててあまり滑らかではないけど、その分魅せる工夫を頑張っています。
そのひとつが色使いです。
ニューヨークのシーンはモノトーンで、オーストラリアはセピアでまとめてありますが、
これは映像の加工ではなく、素材で色分けしてあるんですよね。
当然フルカラーのカメラで撮ってあるので、色味がとてもナチュラル。
映像加工ではこうはいかず、これもクレイアニメならではの魅せ方です。
またオーストラリアのメアリーから贈られた真っ赤なポンポンは、
モノトーンのニューヨークのシーンでも元の色のままで、白黒の物の中でとても映えます。
それがこのふたつの世界が繋がっていることの証明のようで、
ふたりの絆の架け橋のようでもあり、なんだか感動的でした。

ストーリーについては例によって是非みんなにも観てほしいのであまり書きませんが、
ホントに感動的で、アニメで久しぶりに涙腺崩壊しました。
内容が内容だけに、下手すると最悪な結末を迎えるかもと覚悟していたんですが、
その不安が的中しかけた寸前の隣人ヒスロップさんの行動は、
カタルシス爆発で、もう卑怯と思えるほど感動的です。
ラストも完全にハッピーエンドとは言えないかもしれないけど、
とても穏やかな気持ちで劇場を後にすることができました。

でも本作は監督の実体験が基になってるって話だったから、
当然マックスは監督がモデルだと思ってたので、あのラストはちょっと意外でした。
まぁ本作は不幸のデパートみたいな内容で、いくらなんでも事実とは思えないものなので、
ほぼフィクションだと思って観る方が、変な先入観も持たずに済んでいいんじゃないかな?
隣人ヒスロップさん、第二次世界大戦で日本人からの拷問で足をピラニアに食われたって、
それはいくらなんでもないだろうって設定だし…。
やっぱり監督がオーストラリア人だから日本人は嫌いなのかな?
上映前に流された東日本大震災のお悔み的なメッセージには、
「愛する日本が…」みたいなこと書いてあったけども…。
メアリーの父親が津波で死ぬシーンがあったから一応それの配慮かな?
まぁ個人の思想は作品の出来とは関係ないので別にいいです。

上映規模が小さくて観るのもちょっと大変かもしれないけど、
とにかく名作なので多くの人に観てほしいです。
でもちょっとセクシャルなシーンもあるので、子供連れは気を付けて。

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