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ヤバい経済学

2日続けて、ビジネス書(啓発本)が原作になった映画の感想です。
ボクはブログなんて書いてますが、文字を読むのが苦手で、本もほぼ読みません。
特にビジネス書みたいな啓発本は全く読みたくないんですが、
新社会人になった時に上司からD・カーネギーの『人を動かす』など、
有名なビジネス書を数冊薦められて、半ば強制的に読まないといけなくなりました。
嫌々でも読んでみると、意外とためになることも書いてあって、
もし書いてあることを実践できればけっこう立派な大人になれそうな気がしたんですが、
それを薦めてきた上司がお世辞にも立派とは言えないカス野郎で、
奴は読んでいるはずなのに全然実践してないし、なのにちゃんと出世してるし…。
ボクはコミュニケーションの取り方など比較的実践してる方ですが、
浮上する機会はなくずっと底辺のままだし、ビジネス書なんて無意味だと実感しました。
あんなもの読んでも、既存の価値観を植え付けられ、型にハメられるだけで、
新しいものなんて創造できないし、きっと「使いやすい人間」になるだけですよ。

ということで、今日は全世界で400万部売れた経済書を映画化した作品の感想です。

ヤバい経済学

2011年5月28日日本公開。
アメリカに経済学ブームを巻き起こした書籍を映画化したオムニバス・ドキュメンタリー。

経済学者のスティーヴン・D・レヴィットとジャーナリストのスティーヴン・J・ダブナーが、インセンティブ(やりがいや成功報酬)の視点で常識の裏側にある真実に迫る。「不動産業者が自分の家を売るコツ」「子どもは名前で人生が決まる」「大相撲の八百長はデータで証明できた」など独自の理論が展開。さらに、賞金で高校生の成績が伸びるのか実験が行われる。(シネマトゥデイより)



経済学者レヴィットとジャーナリストのダブナーの共著『ヤバい経済学』を映像化した
エコノミック・ドキュメンタリー映画です。
経済学と言ってもそんなにお堅いものではなく、
『ホンマでっか!?TV』くらいの情報バラエティ的なノリで、
マイケル・ムーアとかのやつよりもかなり観易いです。
内容はといえば、「人の行動パターンはインセンティブに基づく」という、
至極当たり前のことを、もったいぶって語っているだけなのですが、
その例として大相撲の八百長問題を挙げたりだとか、その切り口が興味深く、
ひとつひとつの事例に対して別々のドキュメンタリー監督を起用しているため、
視覚的にもバラエティに富んでいて面白いです。
主だった5つのエピソード(ドキュメンタリー)から構成されているので、
ひとつずつ感想を書きたいと思います。

episode1「イントロダクション」
その名の通り、本作の導入部であり、人間の行動パターンの基本を説明しています。
不動産売買を例に説明されていますが、簡単に言えば不動産屋は顧客のためではなく、
あくまで自分のインセンティブのために動いているという話。
一般の顧客にとっては不動産なんて人生に数度しかない大きな売買だけど、
不動産屋にとっては売買成立させても、その何%かの手数料を得るだけなので、
高く売ることよりも数をこなしたい、だから顧客に売買を急がせるアドバイスをする。
言われてみれば当たり前のことだけど、意外と意識しなかったことだと思います。
不動産屋に限らず、金融屋とか法律屋とか、代行業はだいたいそうですよね。
でもそういう業種に限って専門性が強いので、専門家のアドバイスとして鵜呑みにしがち。
たとえわかっていても個人で売買成立させるのは難しく、悩ましいところです。

episode2「ロシャンダが別名なら」
名前によって人生が大きく変わるという興味深い話です。
例として「Temptress(痴女)」と名付けられた少女の話が紹介されますが、
そんなあからさまに酷い名前じゃなくても、白人ぽい名前、黒人ぽい名前というだけで、
対人関係や就職に大きく差が出てしまうそうです。
人種偏見もあって黒人ぽい名前だと、その人の家庭の生活水準が低いと思われるようで、
また実際に低所得な黒人の方が黒人ぽい名前を付ける傾向にあるんだそうです。
そんな露骨な人種差別のない日本ではあまり関係のない話だけど、
日本の子どもの名付けに関する事象といえば、やはりDQNネームが問題でしょう。
あまりに変な名前を付けると、黒人の名前同様に、親の常識力や教育レベルが疑われ、
就職など僅差の書類審査だと、一般的な名前の子より不利を受ける可能性は考えられます。
芸名や源氏名みたいな名前も、かっこいいかもしれないが誤った印象を与えやすいです。
とはいえ、小林可夢偉くんみたいに、その子が大成すれば、個性的な名前は箔になります。

episode3「純粋さの崩壊」
大相撲の八百長問題を題材にしたエピソードで、日本人にとっては最も興味深いところ。
いくら相撲協会が否定したところで、データみれば八百長の存在は一目瞭然。
そのことを曙や小錦の証言も交えながら解説していきます。
またその話はどんどん深化し、相撲業界の腐敗、時津風部屋力士暴行死事件、
日本のマスコミや国家権力でも踏み込めない大鳴門親方の変死事件にまで及び、
そこから日本警察の検挙率の高さのロジックにまで飛躍します。
日本の利権(暴力団絡み)とは一切関係ないハリウッド映画だから描けるのか、
これほどまで闇の存在を断定的に明言してくれると痛快です。
でもハリウッド映画の本作が、こんな極東の不正に一番尺を取っているのも意外だし、
日本人以上に神事として相撲を高く評価してくれていたことも意外でした。
内向きの問題だと思ってたけど、こうやって海外から指摘されるとなんか恥ずかしいね。
もう一度純粋さを復権してくれるといいけど、システム上無理なことがわかりました。
これからも不正は横行すると確信します。

episode4「『素晴らしき哉、人生!』とは限らない」
90年代にニューヨークの犯罪率が急激に下がったのは、中絶が合法化したからという話。
中絶が犯罪だったルーマニア独裁政権が革命で倒れたことで、
アメリカ国内で中絶を合法化しようという動きとなり、望まれずに生まれる子供が減り、
環境的に犯罪に走らざるを得ない子供が減ったことで、犯罪率が下がったという、
「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話。
前のエピソードと違い、日本とほとんど関係ない話ということもあって、若干退屈です。
映像的にもどこかの公益法人が作ったビデオみたいで、面白くありません。
犯罪率が下がった要因は中絶合法化によるものが40%以上で一番大きいという趣旨ですが、
ボクはむしろ2番目に大きいとされている、刑務所のキャパの影響が気になりました。
日本は刑務所が不足していますが、それは厳罰化による服役の長期化が影響しているはず。
犯罪抑止のための厳罰化で、刑務所のキャパが少なくなると犯罪が増加するということで、
まさに囚人のジレンマですね。

episode5「高校1年生を買収して成功に導けるか」
シカゴ大学が高校生を対象に、「全教科C評価以上なら月50ドルあげる」と買収して、
短期間で成績を上げることが可能か試した興味深い社会実験のドキュメンタリーです。
(全入時代の日本では大したことではないけど)大学に進学するというのは、
将来的にかなり有利なことだけど、目の前のインセンティブしか見えない高校生は、
勉強にインセンティブは感じません。
そこで勉強で成績を上げることに金銭的インセンティブを与えて勉強させようという
リアリティ番組的オモシロ企画です。
…が、結果的には全体の数%上がっただけで、思ったほど劇的な効果はなく…。
本作でこれまでインセンティブの重要性についてアピールしてきたのに、
最後のエピソードでそれをひっくり返したような構成ですが、
それが逆に本作の視点の公平さを感ることになって好印象でした。
まぁ完全に実験の効果を否定したわけではなくて、
「テコ入れするには高校生ではすでに遅かった」という締め方になってましたが…。
たしかに高校生だと手遅れだし、50ドル程度の報酬では遊びたい気持ちが勝つと思います。
中学生、小学生だったら、きっと費用以上の効果を発揮できたでしょうね。

池上彰並みにわかりやすい解説と、ほどよい毒で、
誰が観てもそれなりに面白い作品だとは思いますが、
中絶問題、命名問題、教育問題など、子供の将来に関わるエピソードが多いので、
特に近々親になるかもしれない子づくり世代は一度観ておくと役に立つと思います。
ボクも子供には絶対普通の名前を付けなくちゃと肝に銘じました。
(あ、DQNネームを否定する意図はありません。)

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