ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

少女たちの羅針盤

ボクの地元が舞台となった兵庫県のご当地映画『阪急電車 片道15分の奇跡』、
内容的にもかなりよかったので、大ヒットするかもと期待をかけていたのですが、
公開から4週、週末興行成績6位~7位をふらふらしています。
これがご当地映画の難しいところで、あまりローカル色を出すと、
他の地方、特に東京からそっぽを向かれてしまい、全国的なヒットは難しいです。
『阪急電車』の公開スクリーン数はたったの80程度しかありませんが、
その約半分は関西に集中しており、どれだけ関西以外で注目されてないかよくわかります。

ただ、興行収入をスクリーン数で割った、1スクリーン当たりの興収では、
先週末全国2位の『岳 -ガク-』(スクリーン数は300以上)を上回っています。
もしもっと公開規模が大きければ、もっとヒットした可能性はあります。
(先週末首位の『ブラック・スワン』には負けていますが…。)
現に沖縄国際映画祭では大賞(金石獅賞)だけでなく観客賞(海人賞)も受賞しており、
関西以外の人が観ても絶対に楽しめる映画なはずです。
来週末公開の大阪府のご当地映画『プリンセス・トヨトミ』も全国的にはコケそうだなぁ。
まぁ6月公開の東京都のご当地映画『東京公園』だって、きっと地方ではコケますけどね。

ということで、今日は広島県福山市のご当地映画の感想です。
福山城が見切れるくらいで、特に広島らしい映画でもないですが…。

少女たちの羅針盤

2011年5月14日公開。
長崎俊一監督が同名小説を映画化した青春ミステリー。

新進女優の舞利亜は、ネットシネマの撮影のため生まれ故郷に戻ってくる。誰にも言わなかったのに、監督(前田健)はなぜか自分が伝説の女子高生劇団“羅針盤”の一員だったことを知っていた。4年前、瑠美(成海璃子)と梨里子(森田彩華)、かなめ(草刈麻有)の3人は違う高校に通う蘭(忽那汐里)を誘って新しい劇団を立ち上げ……。(シネマトゥデイより)



本作は、女子高生たちが自ら劇団を立ち上げ、ストリートから次第に人気劇団になるという
青春サクセスストーリーを、推理ミステリーに仕上げた作品です。
青春ドラマの部分は、イジメ、リストカット、レイプ、同性愛、親の離婚など、
刺激的な内容を絡めたケータイ小説のようなストーリーになっており、
それだけではたぶん全然面白くないんですが、そのどうしようもないストーリーを、
ある殺人事件が起こるまでの経過とし描くことで、興味深く鑑賞できるようになってます。
ただし、そのトリックがあまりにもズサンで、真相が読めない展開で鑑賞中は面白いけど、
最後にタネ明かしされると、いくらなんでも納得できないものなため、
どうにも釈然としない気持ちで劇場を後にしました。
そのことについては重大なネタバレになるため、記事の最後の方で書きます。
まだ観てない人、これから観る人は最後まで読まないでください。

本作はサクセスストーリーとしてもそれなりに楽しめますが、
演劇もの映画の難しいところで、当然劇中劇があるわけです。
俳優は演じることを演じなくてはならず、まだ若い女優ばかりだし、
下手すればケレン味が強すぎダイコン芝居になりがちですが、
女子高生劇団"羅針盤"のメンバー4人は、普段と劇中劇をうまく演じ分けており、
なかなか達者な女優が揃っているなと感じました。
ただそんな彼女たちの好演に劇中劇の内容が追い付いておらず、
演劇大会"ステージバトル"での劇「生死のサカイ」はそれなりに面白そうだけど、
その大会に出場を認められる切欠となったストリートでの劇「光のさす方へ」は
さっぱり面白くなさそうで、羅針盤が人気劇団ということの説得力に欠けるのが残念。

それにしても羅針盤の4人の若手女優はいい感じで、
てっきり成海璃子と忽那汐里の二本柱で作られた映画と思いきや、
他の2人(森田彩華と草刈麻有)もほぼ対等な扱いを受けており、
それぞれがしっかり個性付けされていて、構成のバランスがいいです。

さて、これ以降はネタバレになります。

冒頭から犯人のバックショットがずっと映っているのに、
それでも誰が犯人なのか見当がつかないというのは面白いです。
しかし、まずミステリーとして卑怯だと思うのは、
「羅針盤のメンバーの中に被害者と犯人がいる」と明言しているにもかかわらず、
実はメンバー以外の人間が犯人だということです。
もちろん、その前提を否定する材料を提示していません。
本作はトリックというよりも、動機と状況証拠から推理するミステリーなのに、
明示された被疑者の中に犯人がいないのでは、推理の余地なんてないし、
誰が犯人でもいいなら、どうとでも解釈できることになります。
それに犯人が使ったトリックは、あたかもアリバイ確保のためのように見えるが、
そのトリックが使われた時点で被害者の安否は問題ではなく、
そもそもアリバイを作る必要なんてなかったはず。
もしあのトリックをアリバイ確保に利用したいのなら、
犯人はトリックを使った後に誰かと行動を共にする必要があります。
あれではわざと自分に疑いが向く機会を作っただけになります。
意外な真相だと思いましたが、ミステリーのルール破ってるんだから当然ですよ。

ネタバラシ以降の物語も納得いくものではなく、
そもそも被害者は、犯人が捕まることは望んでいなかったはずなので、
わざわざ4年後に壮大な罠を仕掛けて犯人を吊し上げるのは単なる自己満足です。
その罠にかかる莫大な予算も、欄があれだけ嫌っていた義父の財力から捻出しており、
彼女の都合のいい時だけ親の力を借りるその姿勢にはガッカリしました。
トリックの出来があんまりなためにミステリーとしては3流以下で、
結局本作に残ったのはベタベタなケータイ小説のような青春ドラマでしかなく、
あまり好意的に評価できるものではありません。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/479-a4772e17
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad