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ブラック・スワン

現在、第64回カンヌ国際映画祭の真っ最中ですね。
パルムドールを争うコンペティション部門には日本から、河瀬直美監督の『朱花の月』、
三池崇史監督の『一命』の2本が選出されていて、日本国内でも注目が集まっています。
『一命』はコンペ部門ノミネート作初の3D映画なので、カンヌでの注目も高いです。
でも、主演が市川海老蔵で、例の暴行事件によるダーティなイメージはまだ健在。
ボクもハッキリ言って彼のことは嫌いになったので、下手に受賞でもして、
アッサリ芸能界復帰ということにはなってほしくないと思っています。
なので日本映画は応援したいけど、今回は『朱花の月』だけ期待しています。
ただ時節柄、デ・ニーロたち審査員も日本映画に投票することはないんじゃないかな?

そんな日本映画を含む20本のノミネート作の前情報を見た中で、
ボクが一番気になったのはラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』。
世界一の鬱映画監督が撮るSFがどんなものなのか興味深いです。
でもまぁパルムドールは難しいと思います。
それでも受賞してくれたら日本での公開も早くなるだろうし期待はしちゃいますが…。
日本はハリウッド・メジャーの洋画以外はなかなか公開してくれないので、
面白そうでも国際映画祭関連の作品を観るのは一苦労です。
ハリウッド映画の『ツリー・オブ・ライフ』は早々に公開決定してるんですけどね。
そういう意味では、国外の映画賞の中で一番気になるのは、やはりアカデミー賞かな。

ということで、今日はアカデミー主演女優賞の受賞作の感想です。

ブラック・スワン

2011年5月11日日本公開。
ダーレン・アロノフスキー監督、ナタリー・ポートマン主演の心理スリラー。

ニューヨーク・シティ・バレエ団に所属するバレリーナ、ニナ(ナタリー・ポートマン)は、踊りは完ぺきで優等生のような女性。芸術監督のトーマス(ヴァンサン・カッセル)は、花形のベス(ウィノナ・ライダー)を降板させ、新しい振り付けで新シーズンの「白鳥の湖」公演を行うことを決定する。そしてニナが次のプリマ・バレリーナに抜てきされるが、気品あふれる白鳥は心配ないものの、狡猾(こうかつ)で官能的な黒鳥を演じることに不安があり……。(シネマトゥデイより)



やはり本作の見どころはオスカーを受賞した主演のナタリー・ポートマンでしょう。
彼女は本作でバレリーナ役のヒロインを演じるために、
1年間バレエのレッスンを受けてバレエをマスターしたそうです。
たしかにその努力の甲斐あってそれなりに説得力のある演技できていると思いますが、
顔が映ってしまうダンスシーンでは上半身のアップが多すぎで、
バレエの醍醐味である足運びなどはどの程度出来ているかは甚だ疑問です。
でもボクは、彼女のオスカー受賞には納得できました。

大きな映画賞の演技賞なんて取ってしまうと、その演技についてあれこれ言われるもので、
オスカー受賞後のダンスダブル騒動もそのひとつ。
本作でナタリーのダンスダブル(ダンスシーンの替え玉)を務めたプロのバレリーナが、
オスカー受賞でナタリーばかりがチヤホヤされることを妬み、
「ナタリーは映画全体で5%しか踊っていない」と暴露したという騒動です。
『ソーシャル・ネットワーク』の双子みたいに、顔を挿げ替えていたのならわかるけど、
さすがに「5%しか」ってことはないと思ったので信憑性に欠けるし、
めでたいことなんだからそんなケチ付けなくてもいいのに…、って思います。
それに彼女がオスカーを受賞した要因は、ダンスシーンが評価されたことよりも、
もっと別のところでの体当たりの演技が評価されてのことと思います。

女優の体当たりの演技といえば、エロいシーンのことを指すと相場が決まってますが、
本作はけっこうエロいことになってます。
普通の濡れ場だけならいざ知らず、レズプレイからマスターベーションまで、
かなり体を張った演技に挑戦していると感じました。
この辺の努力がオスカーに結び付いたような気がします。
まぁ本人にしてみれば、バレエのレッスンの方がしんどかったでしょうが…。

それにしてもここまで官能的な映画だったとは予想外でしたが、
ここまでホラー色が強いというのも予想外。
サイコスリラーというのはわかっていたけど、『レスラー』の監督だから、
もっとスポ根的なノリのヒューマンドラマになっていると勝手に想像してたんですが、
予想外にホラーとして怖い作品に仕上がっているなと思いました。
お客さんはほぼ満席でしたが、明らかにホラーを観るような客層ではなく、
恐怖シーンでは椅子から跳び上がって驚いている人もチラホラ。
きっとダークファンタジーくらいの腹積もりで観に来たんじゃないかと思います。
ボクはホラー慣れしてますが、ニナがささくれ剥くシーンなんて痛そうで痛そうで、
思わず目を背けたくなりました。

物語は、ステージママの母親から寵愛され育った優等生タイプのバレリーナ、
ニナ(ナタリー・ポートマン)が、「白鳥の湖」のヒロインに抜擢され、
その重責と演出家や同僚に対する疑心暗鬼から精神を病んでいく、という話。
ボクはバレエなんてハイソな舞踊劇とは無縁だったので、
「白鳥の湖」がどんな話だったのかも今回初めて知ったのですが、
なんでも「白鳥の湖」のヒロインは真反対な性格の役柄、
白鳥役と黒鳥役を一人二役で演じなければいけないそうです。
過保護に育てられた純真無垢なニナは白鳥役は問題なく演じられるけど、
性的経験が少ないために妖艶な悪女の黒鳥役は上手く演じることができず悩みます。
それを克服するために、母親に反発し自ら堕落していくのですが…。

本作はバレエ界を描いた映画としては、かなりリアルに作られているそうですが、
バレエは芸術とはいえどもやはり芸能で、裏はけっこうドロドロしてるなという印象です。
やっぱりステップアップするためには技術を磨くだけでは無理で、
枕営業とか普通にあるんだなぁ…と。
バレリーナに対しては「足の構造が普通とは違うんじゃないか?」ってほど、
技術的にすごいことをやってのけている気がするんですが、
よくわからないのは「表現力」というエモーショナルな部分です。
フィギュアとかシンクロとかの競技舞踊でも、表現力の差で優劣が決まったりするけど、
どうも納得がいかないというか、技術力で何でもできるんじゃないかと思うんですよね。
経験が演技に出るなら、黒鳥を踊るために自堕落な世界に身を投じれば、
逆に白鳥の演技に悪影響が出るんじゃないかと思うんですけど…。
それ以前にアラサーのナタリーに純真無垢な役ってのがちょっと無理がある気が…。
古参プリマ(ウィノナ・ライダー)を蹴落として主演に抜擢されたニナですが、
すでにロートル感があります。
でもニナ役にもっと若い女優が抜擢されなかったてことは、
演劇でもやはり経験が表現力になるってことかな?

これだけバレエ界をリアルに描いているのであれば、
バレエの魅力ももっと伝わるように描いていてもよかったかもしれませんね。
もうちょっと実際に舞台でバレエを踊っているシーンを観てみたかったし、
「白鳥の湖」の中でも最も有名(?)な四羽の白鳥の踊りもちゃんと観たかったです。
特にクライマックスの黒鳥のシーンはもっともっと観ていたかったです。

バレエ映画としてはもっと美しく幻想的に描いてもよかったと思いますが、
不気味で官能的なサイコスリラーとしてはかなり楽しめる作品でした。
エログロもあるのに上品な感じで、どちらかといえば女性向きの作品ですね。
あ、だから一般的にレディースデイの行われる水曜日に公開されたのか…。

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