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キッズ・オールライト

昨日、関テレの番組『スーパーニュースANCHOR』で興味深い特集をやってました。
「吹き替え映画が増える理由」のいう特集です。
なんでも近年の邦高洋低の傾向を受けて、洋画の吹き替え版の需要が高まり、
吹き替え版が制作される洋画の本数が、去年は10年前の4倍以上にもなったんだそうで…。
その需要はどんどん高まり続け、近々5割近くになるだろうという話です。
ボクも実感として吹き替え版が増えているとは思ってたんですが、まさかそこまでとは…。
ボクは字幕派なんで、限られたスクリーン数を吹き替えに奪われることに懸念を感じます。

洋画の吹き替えはもともと漢字の苦手なチビッコのための措置だったはずですが、
近年は「吹き替えの方が楽」なんて考える軟弱な大人も増えてきているようで、
そんなダメな大人用の吹き替え版もあるらしいです。
その例として挙げられていたのが『ソーシャル・ネットワーク』。
PG指定だし、チビッコが好き好んで観るような映画ではないあの作品に、
まさか吹き替え版が存在したなんて昨日初めて知りました。
同作品は展開が速いく、セリフが早口でカットが目まぐるしく変わるために、
字数制限のある字幕ではセリフを忠実に表現しきれていないという理由で、
吹き替え版に向いている好例として番組内では挙げられていましたが、
ボクからすればこれほど吹き替えちゃダメな作品ないと思います。
なぜならこの映画が評価されているのは内容ではなく、役者の演技です。
マーク・ザッカーバーグを演じるジェシー・アイゼンバーグの演技、あの喋り方ですよ。
コリン・ファースの素晴らしい演技でオスカーを受賞した『英国王のスピーチ』を、
日本語に吹き替えてしまったら作品の価値が半減するのは誰でもわかるでしょうが、
同じ理由で『ソーシャル・ネットワーク』を吹き替えるのも愚行としか言えません。
もし吹き替え版で観た人は、現状ではその作品を観てないも同然、
来月DVDが出るはずなので、字幕で見直した方がいいです。

ということで、今日は『ソーシャル・ネットワーク』や『英国王のスピーチ』と、
第38回アカデミー賞でオスカーを競い合った作品の感想です。
吹き替え版での上映はありません。

キッズ・オールライト

2011年4月29日日本公開。
第68回Gグローブ賞で作品賞・主演女優賞に輝いたヒューマン・コメディ。

同じ父親を持つジョニ(ミア・ワシコウスカ)と弟レイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)は、それぞれの母親と一緒に仲良く幸せに暮らしていた。そんなある日、自分たちの父親ポール(マーク・ラファロ)の存在が気になり始めた姉弟は、2人で彼を訪ねる。そのことがそれぞれの母親ニック(アネット・ベニング)とジュールス(ジュリアン・ムーア)に知れたことから、家族の関係がきしみだす。(シネマトゥデイより)



とりあえず、アカデミー賞作品賞にノミネートされた映画は全部観て回るつもりですが、
面白そうなものが多い去年度の作品賞10本のうちで、一番期待してなかったというか、
ぶっちゃけあまり観たくないと思っていたのが本作です。
その理由としては、単純にゲイ映画が好きじゃないから。
でも一昨年度は『シングルマン』、その前の年度は『ミルク』と、
近年は作品賞の候補の中に1本はゲイ・フィルムを入れるのが恒例化しているようで、
去年度のゲイ映画枠に選ばれたのが本作というわけです。
(他にも超大作枠、低予算枠、実話枠、アニメ枠とか決まっていそうな感じです。)
何にせよノミネートされちゃったものは仕方がないので、覚悟を決めて観に行きました。

…が、意外と面白かったです。
ゲイ映画ってのは基本的に性的嗜好がテーマになっているものが多いわけだけど、
本作のテーマはあくまで"家族"です。
レズビアンカップルが精子バンクを使って子どもを儲け家庭を築くという話で、
ともすればマイノリティの社会的軋轢を描いたような話になりそうですが、
本作は「もしお父さんが女性だったら」って感じのシチュエーション・コメディで、
ちょっと変わった形態の家族が織りなす、明るいノリのファミリードラマです。
その普通じゃない境遇がユーモアたっぷりに描かれているので、
けっこう笑えるところも多かったです。
両親が同性愛者だったらと思うと、その子どもはすごく不幸だと思ってしまいますが、
本作に限ればそんなことは全くなく、タイトル通り「子どもたちは問題ない」ようで、
むしろ普通の家庭よりオープンな感じで、羨ましく思うほど楽しげです。

その子どもたちが年頃になって、自分の生物学上の父親(精子提供者)に興味が湧き、
勝手に父親とコンタクトを取ってしまうことで、そんな幸せな家庭に波乱が起こります。
このマーク・ラファロ演じる父親がまたいいキャラのオッサンで、
楽しくて優しいいい男なんだけどかなりオッチョコチョイ。
彼の軽率な言動でレズビアン家族が家庭崩壊の危機に陥ります。
普通なら「なんてKYな野郎だ」と思うところですが、なんだか憎めないキャラで、
そのダメっぷりがまた笑いを誘います。
男としては彼に感情移入して観てしまいましたが、本作はハッピーエンドだけど、
彼にとっては残念なラストでちょっと可哀想だと思ってしまいました。
それにしても精子提供者ってどんな気分なんでしょうね。
関係を持ったこともない見ず知らずの女性の子どもが自分の遺伝子を持ってるわけだけど、
本作の彼みたいにやっぱりその子に対して自分の子みたいに愛着を感じたりするのかな?
その母親に対してはもっと複雑な感情でしょうね。
関係はないけど元カノみたいな感情になっちゃうのかな?
まぁその複雑な感情は双方にあるもので、生物学的は親族だけど社会的には他人という、
その微妙な距離感がうまく描けていて、面白かったかな。

ゲイ映画には性描写が付きもので、ボクはそれをキモチワルイと感じるのですが、
本作は不思議とそんなでもなかったです。
まぁ総称としてゲイ映画とは言ってますが、実際はレズビアン映画で、
ボクとしては男同士の絡みを見せられるのはキツイけど、女性同士だからマシなのかも。
レズビアンカップルのアネット・ベニングもジュリアン・ムーアも、
もういいオバサンなので、さすがにそれ見て興奮したりはしませんが…。
彼女たちは行為に及ぶ時に、レズのくせになぜかゲイビデオを流して気分を高めます。
曰く「レズものはストレートの女優がレズを演じてるから面白くない」らしいです。
なんか妙に納得してしまって、笑ってしまいました。
本作の監督は自身もレズビアンらしいので説得力がありますが、
その監督が本作のアネット・ベニングやジュリアン・ムーアを見ても、
やっぱりストレートがレズビアンカップルを演じてると思うんですかね?
ちょっとメタ的なものを含んだセリフで、興味深かったです。

なかなか楽しめてしまった本作ですが、所詮はゲイ枠で選出されたオスカー候補。
受賞作『英国王のスピーチ』や他の候補作と比べるとやはり弱いです。
来月は作品賞候補作『ブラック・スワン』の日本公開になります。
本作と主演女優賞でも競い合い、見事オスカーを受賞した作品です。
楽しみですね。

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