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わたしを離さないで

けっこう前の話ですが、運転免許の更新に行ったんですよ。
そしたら免許証が新しくなってて、特に著しく変わってたのは、
裏面が臓器提供意思表示カードになってたことです。
なるほど、これならいつでも身に着けてられますね。
(ボクはダッシュボードに入れっぱなしですが…。)
今まで気にもしてなかったけど、図らずもドナーカードを持つことになったので、
免許更新の講習で面白くない福留功男のビデオ見せられている間に、
臓器提供するべきかどうかについて少し考えてみました。

…で、結論はとりあえず保留にしています。
もし提供意思を示すと、いざそんな事態になった時に、家族の了承を取るんだそうで、
そんな大変な時に、そんなことで手を煩わせるのは悪いかなぁ…、と。
なにより誰に提供されるのかがわからないのが怖いです。
患者が親族だったらボクの意思は尊重されるらしいけど、基本的には順番制で、
ボクの番が真っ当な人だったらいいけど、救う価値の無い悪人の可能性だってあります。
死んだ後の世界のことなんてどうでもいいけど、
自分の一部が悪人の一部になって生き続けるのは嫌かも…。
逆にすごくいい人に提供されるなら、それは願ってもないことなので、
とりあえず保留にしています。
きっと保留のまま死ぬんでしょうが…。

ということで、今日は臓器提供を題材にした映画の感想です。

わたしを離さないで

2011年3月26日日本公開。
ブッカー賞受賞作家カズオ・イシグロの小説を基にした青春ドラマ。

外界から隔絶された寄宿学校ヘールシャムで、幼いころから共に日々を過ごしてきたキャシー(キャリー・マリガン)、ルース(キーラ・ナイトレイ)、トミー(アンドリュー・ガーフィールド)。普通の人とは違う“特別な存在”として生を受けたキャシーたちは、18歳のときにヘールシャムを出て、農場のコテージで共同生活を始める。(シネマトゥデイより)



先達ての東日本大震災の影響で、多くの洋画が公開中止や公開延期になったので、
その穴を埋めるためか、当初予定になかった作品を公開する映画館がチラホラあります。
本作も多分そんな穴埋め作品のひとつで、急に拡大公開された印象です。
もしホントに地震の影響なら不謹慎かもしれないけど、
拡大公開されたことで、こんな面白い作品を容易に見ることができて助かりました。

物語の舞台は、病気を治す画期的な治療法が出来たため、平均寿命が100歳を超える世界。
タイトルからは想像も尽きませんでしたが、本作はSFです。
主人公たちの過ごした寄宿学校は、一切外出を許されないず、
異常なほど健康管理にうるさい学校です。
なぜならそこは、将来ドナーになる運命のクローンの子供たちの学校だからです。
この設定で思い出すのは2005年のSF映画『アイランド』ですよね。
あの作品は自分がクローンだと知らない人たちの物語で、
自分たちが強制的にドナーにされると知って反発し、
最後は自由を勝ち取ってメデタシメデタシでしたが、
本作はそんな痛快な話ではありません。
寄宿舎の子供たちは自分たちが誰かのクローンであり、
将来ドナーになって、数度の移植手術の末に、死ぬ運命であることを知っています。
しかし生まれた時からそう教育されて育ったので、反発なんてしません。
逃げようと思えばいくらでも逃げられるけど、そんな子はいません。
そんな状況、普通なら耐えられるわけないと思うんですが、妙なリアリティがあり、
教育次第ではそんな風に育ってもおかしくないなと思わされます。
子供の人身売買を扱った社会派映画『闇の子供たち』でも描かれてたけど、
生きたまま臓器売買される子供ってホントにいて、
その子たちも為す術もなくもなく悲惨な運命を受け入れてるんですよね。
本作はフィクションですが、それを思いだして切なくなりました。

本作のような設定だと臓器移植ドラマ『7つの贈り物』みたいに暗くなりそうですが、
そんな状況の中でも、多感な年ごろのクローン少年少女は青春します。
幼馴染で同級生のキャシー(キャリー・マリガン)、ルース(キーラ・ナイトレイ)、
トミー(アンドリュー・ガーフィールド)の三角関係や友情を軸に描かれた、
甘酸っぱい青春ラブストーリーであり、そんなに悲惨な印象は受けません。
むしろ爽やかな青春と不条理な世界観が絶妙なバランスで、
何とも言えない切なさを感じて、キュンキュンします。

…今更ですが、本作が臓器移植が題材というのはちょっとネタバレでした。
まぁ比較的早く明かされることなので、問題ないと思いますが…。
一番初めの「病気を治す治療法」というのが、クローンを使った臓器移植ってことです。
それにより平均寿命は100歳以上になったわけですが、
クローンは臓器を提供することで、ほぼ20代で死にます。
つまりクローンは人間としてはカウントされてないってことですね。
主人公たちの育った寄宿学校は酷い施設だと思ったけど、
実はまだ文化的な方で、他の寄宿学校はブロイラー状態だったりするそうです。

とりあえず現実ではまだヒトのクローンは作られていないことになってますが、
研究者の倫理観が欠如すれば、そう遠くない未来に誕生すると思います。
その倫理観ってのは宗教的なものが大半で、体外受精や代理母を批判する延長線上にあり、
神の御業たる行為を人が行ってはいけないというものでしょう。
だから現実にもクローンが人間扱いされるかは懸念を感じます。
クローンが人間じゃないなら、一部の特別な人間を生かすために、
クローンを利用するという考え方も出てくるよね。
『闇の子供たち』も日本人の子供を生かすために、タイの孤児の心臓を買う話でした。
あれはフィクションだったらしいけど、日本人の海外での臓器売買は盛んらしいです。
明らかに倫理的に問題のある「人体の不思議展」を喜ぶ日本人の倫理観の薄さ…。
日本でヒトのクローンは絶対つくらない方がいいです。

あ、話がかなり反れてしまいましたが、本作は内容の興味深さもさることながら、
メインキャストの3人が注目の若手俳優の揃い踏みって感じで豪華なのも見どころ。
女優二人もいいけど、特に『ソーシャル・ネットワーク』の助演で大注目され、
新『スパイダーマン』の主演も決まったアンドリュー・ガーフィールドは要チェックです。
キャシーの子供時代を演じた子役も、キャリー・マリガンの趣を持ってて可愛かったです。

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