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SP THE MOTION PICTURE 革命篇

『海猿』『踊る』『のだめ』『SP』『相棒』『LIAR GAME』『TRICK』など、
去年はテレビドラマの劇場版が日本映画を席巻しました。
10億稼げば大ヒットの日本映画において、上記の作品は平均40億円以上稼いでおり、
テレビドラマの劇場版が、いかに美味しい商売かわかります。
(ちなみに上記の作品は稼いだ順で並べてあります。)
でも今年はあまり公開されないようで、ボクが把握している限りでは、
絶賛公開中の『SP』と、『こち亀』『怪物くん』だけです。
あ、『アンダルシア 女神の報復』もそうかな?

ボクは『怪物くん』に期待してます。
テレビドラマの方は見てなかったんですが、劇場版の監督が中村義洋だそうで、
こども騙し、嵐ファン騙しでは終わらない、面白い作品になるはずです。
『こち亀』は今のところ期待に値する要素は見つかってません。

ということで、今日は今年初めて鑑賞したテレビドラマの劇場版の感想です。

SP THE MOTION PICTURE 革命篇

2011年3月12日公開。
テレビドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』の最終章となる劇場版第2弾。

官房長官を狙ったテロから2か月。警視庁のSPである井上(岡田准一)は上司の尾形(堤真一)への不信感を募らせながらも、尾形の指令で国会での警備を担当することになる。そして麻田雄三(山本圭)内閣の不信任案の採決が行われようというそのとき、国会議事堂で銃声が鳴り響き……。(シネマトゥデイより)



今までいろんなテレビドラマの劇場版が制作され、公開されてきましたが、
本作がテレビドラマの劇場版史上、一番面白かったと思います。
ハリウッド張りの本格アクション・サスペンスだし、
テレビドラマの劇場版では珍しく恋愛を絡めない脚本で、かなり硬派。
ほぼリアルタイムで描かれたちょっと大きな密室劇で、時事ネタも絡めてあり、
そこにリアリティが生まれ、抜群の臨場感でハラハラドキドキです。
これだけちゃんとしていると、逆にテレビドラマの劇場版であることが残念です。
(テレビドラマの劇場版は有識者などから正当に評価されないから…。)

本作は連続テレビドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』の劇場版の後編で、
謎だらけだったシリーズの真相が明らかになる完結編です。
前作『SP 野望篇』までの最大の謎だった尾形(堤真一)の企ては概ね明らかになるものの、
それが明らかになったことで現れるさらなる黒幕の存在や新たな謎、
わざと回収されない伏線や何かが起こりそうなラストシーンから、
(期待も込めて)さらに続編があると思っている人も多いようですが、
ボクは「絶対にない」と思います。
悪く言えば中途半端な終わり方だけど、こんな全てを詳らかにしない終わり方、
含みを持たせた終わり方こそ、このシリーズの魅力のひとつです。
それに残った謎は然して重要なものでもなく、難しく考える必要もないので、
この真相を描くためにまた続編作っても、面白いものができるとは到底思えません。
現時点で続編の構想なんてほとんど無いという確信があります。
ドラマ終了時も劇場版の構想は明確にはなく、結果劇場版までに3年もかかりました。
ただフジテレビのことだし、本作の興行成績が50億円を超えるようなことがあれば、
「もう一儲け!」ってな感じで続編制作に乗り出すかもしれませんが、
本作が素晴らしいだけに、安易に続編を作って、シリーズを貶めるべきではないです。

シリーズの主人公は井上(岡田准一)ですが、
彼の因縁はドラマの最終回でほぼ決着がついてしまっているので、
劇場版は尾形の因縁を描いた物語といえるます。
観客も尾形を敵役とは見てないはずで、むしろ本作の真の主人公として見ているはず。
だから井上がどう尾形のテロ行為を阻止するかが観たいのではなく、
尾形がどう義賊的行為を成し遂げるかを見守る感じで、
クライム・サスペンスとして楽しめるんだと思います。

尾形たち武装グループは議決中の国会議事堂を占拠し、
テレビ中継を通じて全閣僚の汚職を断罪します。
麻田首相(山本圭)は尾形に日本が無政府状態になることの危険性を諭そうとしますが、
尾形は「政局ばかりやっている国会など、すでに無政府状態のようなもので、
日本は国会なんてなくてもなんとかやってきた」と切り返します。
このやり取りは今の日本の政治を端的に表していて、妙に納得しました。
特にここ数年は、政府や政治家に何も期待できないような状態が続いているので、
尾形の義賊的行為に同調してしまいますよね。
今回の地震にしたって、政府や閣僚の存在感薄すぎるでしょ。
こんな危機的状況でもリーダーシップを発揮できない政治家なんていらないし、
政治家の力借りなくても、被災地はちょっとずつ復興し始めてる感じです。
尾形のテロ行為は、事業仕分けならぬ政治家仕分けって感じで、
武装するのはまずいけど、一年に一回くらい本当にやればいいのにと思います。
本作みたいに閣僚全員が腐ってるとまでは思わないけど、
与野党問わず国会議員なんて半分くらいに減っても何の影響もないです。

ただ憂国から国会を占拠する方法はあまり理にかなった方法とは言えず、
あれだけの伝手があれば、もっと効率的に、効果的にやる方法はいくらでも思いつくので、
ちょっと展開に無理があるんじゃないかなと思いました。
尾形は世直しではなく私怨でやっていることなので、この方法でいいんだけど、
そこに便乗している伊達幹事長(香川照之)やキャリア官僚たちは、
それが自分の思惑通りに行くと思っているなら考えが無さすぎます。
このテロが成功したとしても、伊達が次の首相になる確率なんてゼロです。
暫定政権として一時的になれるかもしれないけど、次の選挙で政権交代は必至ですよね。
結局成功しない企てとはいえ、この辺りの脚本の練りは甘かったと思います。

伊達と尾形の秘密の関係にしても、全く先が読めない展開だったと言えばその通りだけど、
あまりに降って湧いたような設定で、取って付けた感が否めません。
あんなぶっ飛んだ真相にするなら、もうちょっと説得力が出るように、
それらしい伏線を張っておくべきです。
驚いたのは間違いないけど、全然納得がいきません。

逆に一番よかったのは、アクション・シーンです。
前作はアクションに特化した作りで、井上のヒロイックな活躍が楽しかったですが、
本作はほぼ尾形が主人公なので、井上の超人的なアクションなどは少なめです。
しかし、終盤の地下通路での井上と尾形の直接対決は凄かったです。
尾形が銃口が当たるほどの超至近距離から発砲する弾丸を、紙一重でかわす井上。
いくらなんでも人間業ではないのでありえないと思ってしまうのですが、
ふたりの鬼気迫る攻防に、背筋に冷たいものが走り、思わず息をのみます。
ここまでギリギリの緊張感のある格闘シーンはハリウッド映画でもなかなかないです。
井上役のV6岡田准一はホントに優れたアクション俳優だと思います。
テレビドラマの劇場版ではなく、普通のアクション映画にも出るべきです。
爆発シーンの出来も邦画最高峰ではないでしょうか。

とても面白い作品だったけど、どうしても承服しかねることがひとつ。
本作上映1週間前にテレビで放映された特別ドラマ「Pre Episode VI SP 革命前日」は、
本作の補完的な内容になっているものでしたが、
そういうことをすると本作の単体での価値を下げてしまうのでダメです。
ボクはテレビドラマの劇場版も嫌いではないですが、
基本的に映画とテレビは全く別物と考えるべきだと思ってます。
でも最近は映画を有料チャンネルくらいに思ってる制作者が多いですよね。
映画館はテレビドラマの完結編を流すための場所ではないし、
テレビは映画に客を呼ぶための宣伝の場ではないです。

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