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ブンミおじさんの森

昨日の記事で渋谷近辺のミニシアターの閉館ラッシュの話題に触れましたが、
地方に住んでるボクにとっては、とにかく地元で作品が公開されるかどうかが重要で、
ミニシアターでもシネコンでも、作品さえ公開してくれれば場所はどうでもいいです。
日本は何でも東京中心なので、東京で上映されてもこちらで上映されない、
または公開がかなり遅れる作品もけっこうあります。
ミニシアター系の映画が地方でも公開されるかは毎回綱渡り状態です。
なので映画の地域格差の温床である東京のミニシアターの存在は、
羨ましいを通り越して妬ましく感じることもしょっちゅうです。
なので今回の閉館ラッシュも内心胸がすく思いだったりします。
でもまだ渋谷近辺には8つもミニシアターがあるんですってね…。
先日感想を書いた『THE JOYUREI ~女優霊~』もシアターN渋谷での単館上映だったし、
カンヌ帰りの話題作『Chatroom/チャットルーム』も東京公開しか決まってないみたいで、
ホント悔しいです。

ということで、今日は関西のミニシアター"梅田ガーデンシネマ"で観た作品の感想です。
なんでも、日本の配給会社が本作を買わなかったために、
渋谷のミニシアター"シネマライズ"が自ら買い付けた作品だとか?

ブンミおじさんの森

2011年3月5日日本公開。
第63回カンヌ国際映画祭最高賞のパルムドールを受賞したタイ映画。

腎臓病を患い、自らの死期を悟ったブンミ(タナパット・サイサイマー)は、亡き妻の妹ジェン(ジェンチラー・ポンパス)を自宅に招く。昼間は農園に義妹を案内したりして、共にゆったりとした時間を過ごす。彼らが夕食のテーブルを囲んでいると、唐突に19年前に亡くなったはずの妻(ナッタカーン・アパイウォン)の霊が姿を現し……。(シネマトゥデイより)



第63回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した由緒正しき作品ですが、
前年のパルムドール『白いリボン』に続き、カンヌの審査委員の感性がよくわかりません。
今回の審査委員長はティム・バートン監督でしたが、彼もこの映画を称賛してます。
彼の撮った映画は全部好きだといっても過言ではないほど感性が合うと思ってたのに、
彼が称賛する作品は全然面白くないというちょっと不思議な状態です。
ほんとはこんな映画が撮りたいけど、商業的な成功のために、
普段はポピュラリティを重視して映画製作してるんでしょうか…?
まぁたしかに、本作もダークファンタジー的なところもあるし、
彼が好きそうといえば好きそうかもしれませんが…。

とにかく本作はポピュラリティが皆無で、取っつきにくさが半端ないです。
というか、なにが描きたかったのか、全く意味が分からないです。
初めはタイの美しい風景や、心地よいBGMのような虫の声が情緒的で、
まるでネイチャードキュメンタリーを観ているような気持ちになります。
でもネイチャードキュメンタリーなんてのは10分も観てたら飽きます。
あとは物語の面白さ頼みなんですが、これが全く抑揚のない展開で、
盛り上がりもない上に意味が分からず、まぶたの重さが尋常ではなかったです。

ブンミおじさん(タナパット・サイサイマー)は重い肝臓病でもう長くはない。
そんなある日、親戚と食事をしていたら、19年前に死んだ妻の幽霊が現れ、
さらに13年前に行方不明になった息子が、猿の精霊になって現れます。
このオカルトチックな世界観はなかなか期待させるものがありますよね。
特に目だけが赤く光り、毛むくじゃらの猿の精霊は、見た目のインパクトも強くて、
一体猿の精霊って何なの?って感じですごく興味をそそります。
しかし、このブンミおじさんや彼の親戚たちは、
幽霊や猿の妖精が現れるというスーパーナチュラルな状況に直面しているにもかかわらず、
すっごいリアクションが薄いんですよ。
一瞬「えっ?」ってなったけど、すぐに状況を理解して食事に戻ります。
「へぇ、不思議なこともあるもんだなぁ…」みたいな感じです。

特に意味が分からないのは、その次に描かれる王女とナマズの話です。
ブサイクな王女様が喋るナマズに獣姦(?)されるという滅茶苦茶な話で、
ビジュアル的にも気持ちのいいものではないし、
なによりブンミおじさんとは全く関係のない内容で、
何のためにこのエピソードが必要だったのか首をかしげてしまいます。
もしかしたらオムニバス形式なのかな?と思ったのですが、
たいしたオチもなく王女の話が終わると、またブンミおじさんの話に戻り、
その王女の話だけ、異様に浮いている気がしました。

次はブンミおじさんが妻の幽霊に連れられて森の洞窟で死ぬという話。
ただただ森を突き進むシーンが続き、途中何かハプニングがあるわけでも、
死に際に何かドラマがあるわけでもなく…。
ブンミおじさんが死んだ後は、彼の葬式当日の親戚の話になるんですが、
これがまた不条理極まりないオチで意味不明…。
そこで全然映画の雰囲気にそぐわないタイのポップミュージックが流れてきて、
何の説明もないままエンドロールが流れ始めます。
もう期待はしてなかったけど、幽霊の妻や猿の息子がどうなったのかも描かれません。

シュール、前衛的と言えば聞こえはいいけど、ただ煙に巻かれただけ。
実際は難解ぽく作ってあるだけで、中身なんて何もないんだと思います。
でもそういう映画をアートとして必死に理解しようという奇特な人たちがいて、
結果的にパルムドールなんて取っちゃうわけですね。
本作を「素晴らしい」とか「深い」とか言ってる映画通でも2度は観たくないはず。
もし本作がほんとに素晴らしいテーマを持つ作品だったとしても、
それが一般大衆に伝わらないのであれば、製作者の伝える能力が低いということです。

この3ヶ月でカンヌ絡みの作品を4本観ましたが、
(『白いリボン』『ウッドストックがやってくる!』『アンチクライスト』)
どれも理解に苦しい内容で、あまり楽しめませんでした。
カンヌ絡みの作品は地雷率が高いので気を付けないといけません。

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