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アンチクライスト

先日、一カ月ほど映画館通いをやめることを宣言しましたが、
まだ始めて1週間しか経ってないのに、昨日うっかり観に行ってしまいました。
別に禁映画生活に我慢できなくなったわけではなく、
人から誘ってもらったので、無下に断るのも忍びなくて…。
…というのは嘘で、二つ返事でOKして、喜び勇んで観に行きました。
ボクはよく人を映画に誘うんですが、残念ながら誘われることはあまりないので、
こんな機会は大切にしないといけません。
しかも作品が作品なので、ひとりじゃ観に行けなかったと思うし、とても有難かったです。
まぁ相手もそう考えて誘ってくれたんだろうけど…。
でもこれは例外的なことで、これで映画通いを解禁したわけではないです。

ということで、今日はひとりでは観に行くことはなかった作品の感想です。

アンチクライスト
Antichrist.jpg

2011年2月26日日本公開。
第62回カンヌ国際映画祭のコンペ部門で上映され物議を醸した禁断のスリラー。

愛し合っている最中に息子を事故で失った妻(シャルロット・ゲンズブール)は罪悪感から精神を病んでしまい、セラピストの夫(ウィレム・デフォー)は妻を何とかしようと森の中にあるエデンと呼ぶ山小屋に連れて行って治療を試みるが、事態はますます悪化していき……。(シネマトゥデイより)



鬱映画として名高い『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のラース・フォン・トリアー監督が、
制作途中に鬱病になって撮影が延期になったりしたという本作。
それだけでも今度はどんな鬱映画だろうと身構えてしまいますが、
それ以上に本作が初上映されたカンヌ映画祭での反応が興味をそそります。
なんでも、あまりに過激な内容で観客から非難され、数人の観客は気絶したとのこと。
監督は公開後の会見で釈明を求められ、特別に反賞(最低賞)が贈られたらしいです。
それだけならどんな酷い映画かと思うだけですが、そんな非難の反面、
主演のシャルロット・ゲンズブールは女優賞を受賞しているし、
そもそもカンヌ映画祭のコンペ部門で上映できるくらいの作品なので、
非難と同等以上に称賛された作品でもあるんだと思います。
賛否両論で物議を醸しまくりの作品なので、ボクも怖いもの見たさで興味はあったけど、
鬱映画は苦手だし、万一にも気絶して病院送りになったら…と考えて、
たぶん観に行くことはないと思ってましたが、機会に恵まれたために観てしまいました。

たしかに心臓の弱い人は気絶しかねない衝撃的なシーンはありますが、
内容的にはそれほど衝撃的なものではなく、ちょっと肩透かしをくらった感じです。
でも、期待していたものとはベクトルが違いましたが、面白かったのは間違いなく、
称賛できるような内容ではないことは確かですが、
そんなに非難されるようなものでもなかったという印象です。

『アンチクライスト』という挑発的なタイトルですが、
内容はといえば、別にキリスト教を批判しているわけではなく、
基本的にはトゥーチャーポルノ(エログロホラー)です。
非難している人たちは、本作を神学的なアート系作品と思っていた人たちか、
タイトルに挑発されて釣られてしまったキリスト教徒だと思います。
こんなタイトル付けずに、端からトゥーチャーポルノとして宣伝しておけば、
誰も非難することはなかったと思います。
まぁそれだとこれほど注目を浴びることもなかったはずで、
意図的に批判されるように煽ってるんだと思いますが。
ただボクは無宗教なのでよくわからなかっただけで、
キリスト教徒が許容できないような内容が含まれているのかもしれません。
特に意味ありそうだけど何のことかさっぱりわからなかったのが「三人の乞食」。
あれって何のメタファーなのかな? キリスト教徒ならわかるのかな?

ボクもまさかトゥーチャーポルノと思って観に行ったわけではないけど、
半端ない鬱映画かもしれないと思ってたので、
意外と娯楽的な内容だったことは嬉しい裏切りでした。
しかし前半は重くてシリアスな予想通りの鬱展開でかなりしんどかったです。
スーパースローのシーンが多く、話がなかなか前に進まない感じでまぶたが重くなるし、
「カンヌの客も気絶じゃなくて睡魔に負けただけなんじゃ…?」と思ったほどです。
でも中盤、主人公の周りで怪奇現象が起こり始めてからは、
テンポのいいスリラー展開になり、俄然楽しくなってきます。
でもまだその時は、終盤であんなグロい展開が待っていようとは思いもしませんでした。

本作は日本で公開するにあたって、一部の映像に修正がかかっています。
内容はノーカットですが、男女の局部が映っているので、そこはボカしてあります。
そうしないと日本では検閲通らないし仕方ないことだけど、
やっぱりボカシって見苦しいですよね。(モザイクよりはマシだけど。)
ただ本作に限れば、ボカシがあったおかげで助けられました。
以下、ネタバレになりますが、

本作には局部をハサミでチョッキンする切り株シーンがあります。
最近では『冷たい熱帯魚』でもあったけど、
ホラー映画では男性器を切るシーンはよくあり、なんだかんで見慣れてくるもんだけど、
本作のように女性器を切るシーンってのは初めての経験でした。
あまりのグロさに血の気が引きました。
いや、ホントはボカシで全く見えないんで、想像でしかないんですが、
もしボカシがなければ見るに堪えられなかったと思います。
それこそ気絶しかねないです。
ボカシのおかげでトラウマが増えずに済みました。

そのシーンは衝撃的で強く印象に残ったため、なんだか凄まじい映画を観た気になるけど、
それ以外に何か残っているかと問われれば、何もないかな…?
テーマやメッセージがあるわけでも、明確な答えがあるわけでもないし、
結局シュールすぎてよくわからなかったといった感じです。
ただ、本作でカンヌ女優賞を取ったシャルロット・ゲンズブールの迫真の演技は
凄いというのを通り越して、よくそこまでやるなと感心しました。
『キャタピラー』でベルリン女優賞取った寺島しのぶも、よくやるなと思ったけど、
そんなのの比ではないくらいに体を張った演技です。
とはいえ、結果的に世界的な賞を取れたからいいようなものの、
ボクはそこまでやるほどの作品とは思えませんでしたが…。

ただひとつ確かなのは、カンヌ国際映画祭のコンペ部門で本作と争い、
パルム・ドールを獲得した『白いリボン』よりは100倍面白かったです。

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