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ヒア アフター

昨日の『パラノーマル・アクティビティ2』の感想のまくらでもちょっと触れたけど、
欧米人ってあまり幽霊を怖いと思ってないみたいですね。
ホラー映画の超常現象の正体も和製ホラーはほぼ幽霊だけど、
洋画では悪魔か宇宙人で、心霊ホラーはほとんどありません。
もちろん幽霊が出てくる洋画もいっぱいあるけど、
『ホーンテッドマンション』や『ゴースト・バスターズ』みたいなコメディか、
『ラブリーボーン』や『ゴースト』、最近では『きみがくれた未来』など、
感動のヒューマンドラマであることが多いです。
ファンタジー王国のイギリス人は、ほぼ全員幽霊の存在を信じてるらしいけど、
イギリス人だけでなく欧米人は霊魂の存在を当たり前に感じているため、
幽霊を怖いなんて思う感覚がないのかもしれませんね。

まぁ幽霊を怖がる日本人でも、幽霊が白人だとあまり怖くないですよね。
幽霊自体も日本みたいにオドロオドロしい姿じゃなくて生前の姿のままだし、
性格も生前のままで陽気なやつも多いです。
ボクは幽霊よりもまだ宇宙人の方が信憑性があると思うほど幽霊は信じてませんが、
もしホントにいたとしたら欧米人の考える幽霊の方が尤もらしいと思います。
欧米人と書きましたが、中国や韓国のホラーも心霊ものは少ないし、
幽霊怖がるのって日本人だけなのかも?

ということで、今日は死後の世界に迫るオカルト映画の感想です。

ヒア アフター
Hereafter.jpg

2011年2月19日日本公開。
クリント・イーストウッドがメガホンを取り、
スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務めた感動のヒューマン・ドラマ。

霊能力者としての才能にふたをして生きているアメリカ人のジョージ(マット・デイモン)、津波での臨死体験で不思議な光景を見たフランス人のマリー(セシル・ドゥ・フランス)、亡くなった双子の兄と再会したいイギリスの少年マーカス。ある日のロンドンで、死に取りつかれた3人の人生が交錯する。(シネマトゥデイより)



クリント・イーストウッドは毎回趣の違う作品を作る監督だけど、
本作はそんな中でも彼らしくないと思うような作品でした。
なにしろ本物の霊能力者が主人公の心霊オカルト映画ですからね。
クリント・イーストウッドがオカルト映画を撮るのって初めてじゃないですか?
最近お年寄りたちと話す機会があって、その時に彼らが仰ってたんですが、
老い先が短くなると霊魂とか死後の世界とか興味を持つようになるんだそうです。
ボクにはまだその感覚はわかりませんが、あの世や来世があると思えることができれば、
死ぬのも怖くなくなるかもしれないですね。
どうりでお年寄りの方が霊感商法にひっかかりやすいわけです。
おっと話は反れましたが、クリント・イーストウッドも御年もう80歳で、
そんな霊的なものに興味が出てきたのかもしれない、と思いました。

本作はアンサンブル・プレイ形式の作品で、
本物の霊能力がありながら霊能力者を廃業し肉体労働者になったアメリカ人男性の話と、
臨死体験をしたことで、来世を証明しようとするフランス人女性の話と、
双子の兄と事故で失い、何とか兄の霊と交信を試みるイギリス人少年の話の、
悩める3人の物語が同時進行で進み、ラストで運命的に邂逅するという感動のドラマです。
3つとも死後の世界や霊魂が絡むのは共通してますが、
基本的にラストの邂逅までは完全に独立した物語です。
この手の形式だと、3本中1本くらい退屈な物語もありそうなものだけど、
3本とも興味深く趣の違った作品であるため、いい映画を3本観たような得した気分です。
それだけにまとめて感想を書くのは難しいので、ひとつずつ書きます。

交霊することができる霊能力者ジョージ(マット・デイモン)は、
その能力を活かし売れっ子霊能力者として稼いでいたが、
人に触れると交霊してしまう能力が故に、まともな生活を送れないことに嫌気がさし、
名声を捨て霊能力者を廃業、一切の交霊依頼を断り、肉体労働者になります。
ジョージが報酬や名声と引き換えにしてでも手に入れたかったまともな生活とは、
ふつうに女性とお付き合いできるようになりたいというものです。
肌に触れると否応なく交霊してしまうために、相手の全てが分かってしまい、
まともな恋愛ができないんですね。
でも全く懲りずに、恋愛したいと思う気持ちは人一倍あるようで、
ジョージは新たな出会いを求めて料理教室に通います。
日本でも料理教室合コンみたいなのが流行りましたが、向こうにもあるんですね。
なんか実直そうなマット・デイモンのキャラも相まって、プラトニックでかわいいです。
そこで同じような目的で料理教室に通っていた女性といい感じになるんですが、
またいつものように…。
よく考えたら、この悩みって霊能力者を廃業しても続けても変わりないですよね。
でもジョージって、ホントに女性と付き合うこと以外は全く考えてないみたいで、
ラストの妄想キスシーンだけはさすがに理解できませんでした。

フランス人女性ジャーナリストのマリー(セシル・ドゥ・フランス)は、
休暇先の東南アジアでスマトラ島沖地震を思わせる大津波にのみ込まれ死にかけます。
本作の冒頭がマリーが津波に襲われるシーンですが、これがなかなか大迫力。
ヒューマンドラマだと思って観に行ったので、こんなディザスター・ムービーの
クライマックスのようなスペクタクル・シーンが初っ端にあるなんてビックリしました。
その津波による臨死体験中に不思議な光景を見たような気がしたマリーは、
帰国後その体験を基に「HERE AFTER」という著書を執筆するも、
ジャーナリストの上司からトンデモ本扱いされ、恋人からも見離されます。
上司から「そんな本はアメリカで売れ」と言われるエスニックジョークが笑えました。
結果的に幽霊大好きなイギリスで出版になったのも面白いです。
臨死体験により、まともな生活が出来なくなったということではジョージと同じですが、
霊的なことを避けようとする立場のジョージと、追求しようという立場のマリー、
全くベクトルの違うふたつの話がひとつの映画になっていて、
ラストで運命的に収束するというのは興味深い展開です。

そういう意味では、イギリス人少年マーカスの物語はまた一味違います。
マーカスは双子の兄ジェイソンを事故で失い、彼ともう一度話したいと、
いろんな霊能力者の許を訪れます。
しかし、どの霊能力者のインチキばかりで…。
他のふたつの物語が霊の存在を肯定的に扱っているのに対して、
この物語だけはアンチ・オカルト的な趣が強いです。
いや霊的なものを否定しているのではなくて、超能力者の存在を懐疑的に描いています。
本作中にも多くの霊能力者が出てきますが、本物はジョージだけです。
他は全員インチキで、大抵コールド・リーディングを使っているのですが、
それが少年も騙せないほどの出来の悪さで滑稽です。
なので本作は基本的には悪意を感じるほどアンチ霊能力者な作品だと思います。
ボクも霊能力者は須らくペテン師であると断定しているので小気味よかったです。
来世についてマリーの恋人が「あるなら誰かが見つけて存在を証明している」という
セリフがありましたが、まさにその通りで、これだけ霊能力者や臨死体験者がいるのに、
未だに霊の存在を証明できないのは、霊なんていないって証拠ですよね。
もちろん霊能力者も存在しないし、逆に霊能力者ほど霊を信じてない人はいないです。

オカルトの是非は置いといて、このマーカス少年の物語は実質メイン・エピソードで、
彼が兄弟を亡くした喪失感がよく描けていて、泣けました。
自分のせいで死なせてしまった兄弟に会いたいという展開は、
『君がくれた未来』を思い出しましたが、ボクも兄弟がいるので結構響きます。
このマーカスやその兄ジェイソンを演じた双子の子役は、
本作が演技初挑戦らしいですが、素晴らしいキャスティングだったと思います。
特に地下鉄のシーンは予想外かつ感動的でとてもよかったです。

オカルト、ロマンス、家族愛、スペクタクル、シニカルな笑い、感動と、
一粒で三度美味しいどころではない超お得な映画でした。

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