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太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-

映画館をついに出入り禁止になったため、暫く映画を観に行けません…。

…嘘です。今のところ出禁にはなってません。
でも暫く映画館に行かないのは事実です。
このところ、やるべきことが山積みなのに、映画を観ることに執着しすぎていて、
生活に支障が出ているため、ひとまず1カ月ほど映画館通いを断ちます。
あ、でも明後日は「映画の日」(毎月1日は映画1000円)だから3月2日から断ちます。
とはいえあまり意思の強い方ではないので、1週間も続かないかも…。
特に5日公開の『ツーリスト』なんて、とても楽しみにしてたので…。

ちょうど今日のこの記事で、ネタ(鑑賞済みの映画)のストックも尽きました。
なので暫くは映画の感想記事も書けませんが、映画以外にも書きたいことはあるので、
ブログ更新はなるべくすると思います。

太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-

2011年2月11日公開。
アメリカの作家ドン・ジョーンズの長編実録小説を原作とした戦争映画。

1944年、太平洋戦争末期。サイパンに、アメリカ軍から“フォックス”と呼ばれ、恐れられた一人の日本人、大場栄大尉(竹野内豊)がいた。大場は47人になりながらも仲間の兵士たちと共に16か月間敵に立ち向かい、多くの民間人を守ってきた。やがて彼の誇り高き魂は日本人だけでなく、アメリカ人の心も動かしていく。(シネマトゥデイより)



戦争映画ということもあって、シリアスでしんどい内容かもと覚悟はしてたんですが、
いざ観てみると、娯楽的でかなり観やすく楽しんで観ることができました。
ただ、ある程度重い内容や、それを乗り越えての感動も期待していたので、
若干物足りないという気分も…。
これが完全フィクションの物語だったら、楽しい戦争映画で終われるけど、
多大なる被害を出した実際の戦争を基にした実録再現ドラマだから、
あまり爽やかすぎるのもどうかと思うんですよ。
抗戦することを美談にしすぎだし、映像も小綺麗で戦争の悲惨さが伝わりません。
特に是非の判断が難しい太平洋戦争が舞台ですからね。
『ローレライ』『真夏のオリオン』なんかも爽やかすぎやしないかと思ったものですが、
それらは完全にフィクションでしたから問題視する気も起きませんが、
実話が基になっているとなると話は違います。
舞台考証もより完璧にするべきだし、相手のあることだから公平に描いてほしいです。
本作の前半部分のアメリカ軍は、ひとりの知日派大尉を除き、鬼畜米兵的な描かれ方で、
それが事実かどうかは知らないけど、ちょっと申し訳ない気分になりました。
映画『パール・ハーバー』で日本人が受けた不愉快な演出を逆にしているような感じです。
米軍の指揮官が代わってからはそんなこともなくなりましたが…。

サイパン島の戦いで絶対不利な状況下で米軍を翻弄し、
敵である米兵から畏敬されていた日本人士官・大場大尉(竹之内豊)が、
ポツダム宣言後も祖国や日本人のために抗戦を続けるという物語が、
勇気あるひとりの日本兵の美談のように描かれています。
興味深いのはそんな本作の原作が敵国アメリカの作家によって書かれたってことです。
その事実からも大場大尉が米兵に一目置かれていたことは間違いなさそうだし、
それは同じ日本人として誇らしく感じます。
ただそれを文脈どおり真に受けてしまっていいのかですよ。
米軍を巧みな戦略で翻弄した大場大尉に対して、付いたあだ名が「フォックス」ですよ。
キツネってなんか賢いというより、狡猾って感じじゃないですか。
あまり敬意を込めて付けるようなあだ名じゃないと思うんですが…。
恐れられていたのは事実でしょうが、畏敬ってのはよく取りすぎじゃないかな?
日本で作られた映画なので、日本人好みに偏るのは当然ですが、
せっかくアメリカ人視点で書かれた太平洋戦争の小説が原作なので、
ハリウッド映画になるか、せめて日米合作として世に出たら嬉しかったかな。
アメリカは黄禍論や核兵器使っちゃったことに引け目があるみたいで、
太平洋戦争の映画作るのは避けてる感じもありますが…。

劇中で、捕虜になるくらいなら死を選ぶ日本人の気質を、
知日派米軍大尉がチェスと将棋の違いになぞらえて説明するところがありますが、
その発想はなかったと感心したというか、如何にも外国人らしい発想で興味深かったです。
外国人はよく、日本人の気質を「武士道」で説明しようとします。
武士道は世界に誇れるものだと思うし、嫌な気は全くしないのですが、
こと戦争に関して、集団自決やバンザイ特攻を武士道と関連付けるのはやめてほしいです。
あれは武士道でも何でもなく、上層部による戦争教育とプロパガンダによる洗脳で、
「鬼畜米兵に捕まるくらいなら死んだ方がマシ」と信じていただけです。
同じ自決でも戦時中のものは単なる命の無駄遣いであり、
責任を取るための建設的なハラキリとは真逆の性質です。
でも日本映画の本作でも武士道が強調されてしまっているように、外国人だけじゃなく、
日本人の中にも戦争と武士道を関連付けて美化する輩が多くて困ります。
もし武士道だったなら(誰とは言わないが)敗軍の将は切腹するべきで、
ある意味自決したヒトラーの方がまだ武士道です。

なんか批判ばかりしてますが、それはボクが戦後の加害者教育に毒され、
太平洋戦争を美化することに抵抗があるだけで、
娯楽映画としては十分に楽しめる作品だと思いました。
特に楽しめたのがキャスティングで、単純に豪華だったのもあるけど、
主演の竹之内豊をはじめ、あまり戦争映画なんかに出演しそうもない俳優が次々登場し、
どちらかといえばコメディ作品でよく見かける人が多かったけど、
それがなかなか役にハマっているのが意外で面白かったです。
唐沢寿明なんて、正直大した役じゃなかったけど、スキンヘッドにまでして気合十分です。
竹之内豊はなんか久々に見た気がしましたが、渋くていい感じになってきましたね。

ストーリーは、大場大尉以下数十人の日本兵は投降し生き残ることが
史実としてわかっていたので、サバイバルとしてのハラハラ感はあまりなかったけど、
大場大尉の地の利を活かした巧みな戦略や、米軍のビラやスピーカーによる情報戦略など、
ドンパチだけではなく、相手をいかに騙すかという駆け引きが重要な戦いで興味深いです。

基本的にはよく出来たいい映画なんですけどね…。
もちろんボクは太平洋戦争を経験したわけではないんですが、
戦後処理が拙く、未だに近隣諸国から賠償と謝罪を要求されたり、
北方領土問題があったりと、不愉快なことを引きずっている戦争なので、
それを肯定する気にはサラサラなれず、こんな風に美談にされるのは抵抗があります。

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