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ジーン・ワルツ

第83回アカデミー賞の発表があと10日ほどに迫ってますが、
一足先に本日、第34回日本アカデミー賞の発表がありました。
日本アカデミー賞は本家と違って、ノミネートで優秀賞受賞扱いだし、
新人賞もバラマキすぎで、なんか軽いというか甘いというか、
もっとシビアな賞にすればいいのにと思うのですが、
ボクは邦画も好きなので、なんだかんだで注目してます。

今年は俳優に送られる最優秀賞4部門を『悪人』が総なめにしたものの、
グランプリである作品賞と、俳優賞以外の主要部門(監督賞と脚本賞)を
『告白』がすべて取るという、2作品の完全な痛みわけ状態でした。
いや、痛みわけというよりは、双方に花を持たせたといった印象で、
なんか政治的なものを感じますよね。
とはいえ、ボクとしても概ね納得の結果でした。
あまりに妥当すぎて、ちょっと面白みに欠けると思ったくらいです。

作品賞などでこの2強と争った3作品はちょっと不遇すぎましたね。
『十三人の刺客』は技術系部門の最優秀賞を4つも取ってるからまだいいけど、
『おとうと』と『孤高のメス』はすべて優秀賞止まりで…。
どちらも例年なら2~3部門受賞できそうな作品だったのに…。
やっぱり今の日本映画界は東宝の一人勝ち時代なので、
東映や松竹には逆風が吹いてるんでしょうか…?

ということで、今日は『孤高のメス』同様、東映が配給する医療映画の感想です。
たぶん今回は賞レースとは無縁で終わりそうですが…。

ジーン・ワルツ

2011年2月5日公開。
海堂尊のベストセラー小説を映画化したメディカル・ドラマ。

不妊治療のエキスパートとして帝華大学病院で働きながら、廃院寸前の小さな産婦人科医院で院長代理を務める曾根崎理恵(菅野美穂)。そんな彼女が、禁断の治療をしているという。うわさを聞きつけた上司のエリート医師・清川吾郎(田辺誠一)は、理恵の周辺を探り始めるが……。(シネマトゥデイより)



ボクは阿部寛と竹内結子が、俳優の中では五指に入るくらい好きなので、
映画『チーム・バチスタの栄光』や『ジェネラル・ルージュの凱旋』が大好きです。
主演が好きだからというのがキッカケだけど、作品自体も面白いですよね。
なのでその原作者である海堂尊の小説にも興味を持ったのですが、
如何せん活字を読むのが苦手で、手が出せないでいます。
だからバチスタ・シリーズの続編が映画化されるのを心待ちにしていたのですが、
シリーズ続編ではなく、海堂尊の別の小説『ジーン・ワルツ』が映画化されました。
もちろん阿部寛も竹内結子も出ませんが、世界観は地続きなんだそうで、
例えば本作の主要キャラ・清川吾郎(田辺誠一)は、
『ジェネラル・ルージュの凱旋』の主要キャラ・速水晃一(堺雅人)とは、
医大時代の剣道のライバルなんだそうです。
まぁ配給会社からして違うし、そんなこと劇中で匂わしたりはしてませんが、
何かそんなクロスオーバーって楽しいですよね。
…ということもあり、本作もバチスタ・シリーズと同様に楽しみに観に行きました。
(あ、ちなみにテレビドラマの『チーム・バチスタの栄光』は好きじゃないです。)

本作はバチスタ・シリーズと同じ原作者とは思えないくらい作風が違うと感じました。
『孤高のメス』の東映らしい真面目な作りで、なんだかポップさに欠けます。
かといってシリアスかといえばそうでもなくて、なんか中途半端な感じです。
予告編を観た感じでは、顕微授精のスペシャリストである曾根崎理恵(菅野美穂)が、
禁断の遺伝子技術で神の領域を操る、みたいな過激でシリアスな内容かと思ったけど、
実際は不妊治療や中絶や高齢出産、医療事故での逮捕に産婦人科医の不足、
妊婦の受け入れ拒否や医局の弊害、そして代理母出産と、
現代の産婦人科を取り巻く医療システムの問題を坦々と描いた群像劇的な作品で、
そんあに過激でもシリアスでもない内容でした。
産婦人科にまつわるいろんなモデルケースの再現ドラマを観ているようで、
映画としての感動は薄いです。
まぁ出産という行為自体にグっとくるものがあるんで、それなりに感動はできますが、
映画なんだからもうちょっとドラマチックさがあってもよかったかな。

産婦人科の医療システムの問題提起にしても不十分で、
メインテーマである代理母出産の是非についても、他人に借り腹をするケースではなく、
肉親から借り腹するケースなので、ほとんどの人が"是"と思えるものです。
もっと観客の宗教観や倫理観を揺さぶるような内容だと興味深いものになったでしょうが、
これでは「娘のために母親が娘の子を産む」という、ただのいい話です。
クライマックスの大ピンチにしても、医療制度の不備に起因するものではなく、
ただの天災による不遇の事態で、何の問題提起にもなってません。
もともと原作者の海堂尊も自身の作品を問題提起でなく娯楽だと言っているそうなので、
映画化に際して真面目に作りすぎたことが間違いだったんじゃないかと思います。
娯楽作品をシリアス気味に作ってしまったために中途半端な感じになったんじゃないかな?
もしバチスタ・シリーズ同様、東宝制作だったなら、もっと娯楽的に作ってたはずです。

ただ一点だけ、これはホントにどうにかしないとダメだと思った問題提起は、
冒頭で描かれた医療事故による逮捕や医療訴訟の問題です。
医者の絶対数は増えてるはずなのに、いつまでたっても医師不足が叫ばれるのは、
医者が訴訟にビビッて、訴訟の少ない歯科医・眼科医・耳鼻科医に流れたからだとか…。
(特に歯科医って掃いて捨てるほどいるらしいですね。)
医者の進路として、特に大変で訴訟も多い産婦人科や小児科は敬遠されるらしいですが、
それでも産婦人科医や小児科医になろうって医者は志が高い素晴らしい人だと思います。
でもそんな立派な人の方が逮捕されやすい状況は、なんかフェアじゃないです。
本作でも、分娩中に医療事故を起こしてしまった医者(大森南朋)が逮捕されましたが、
彼は最後まで救われることはなく、なんかスッキリしない気持ちで席を立ちました。

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