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冷たい熱帯魚

今日は梅田でも少し積もるほど雪が降って、そんなこと初めての経験なので驚きました。
(梅田はたぶんヒートアイランドで、近隣で雪が降っても雨しか降らない。)
よく考えたら、これってホワイト・バレンタインってやつですね。
なんかロマンチックですよね。
…というのは強がりで、今日は義理チョコひとつしか貰えなかったし、
何もロマンチックなことなんてなかったです。
そんな寂しい日に限って、カップルが目に付くんですよね…。
梅田は普段からカップル多いはずだけど、今日はやたら目に付きました。

ということで、今日はあえて全くロマンチックじゃない映画の感想です。
観たのはバレンタインじゃないけど、観客は男9割で、カップルなんて皆無でした。

冷たい熱帯魚

2011年1月29日公開。
『愛のむきだし』の園子温監督が実在の猟奇事件を基に描いたクライム映画。

熱帯魚店を営んでいる社本(吹越満)と妻の関係はすでに冷え切っており、家庭は不協和音を奏でていた。ある日、彼は人当たりが良く面倒見のいい同業者の村田と知り合い、やがて親しく付き合うようになる。だが、実は村田こそが周りの人間の命を奪う連続殺人犯だと社本が気付いたときはすでに遅く、取り返しのつかない状況に陥っていた。(シネマトゥデイより)



本作が実在の殺人事件を基にしているというのは知っていたのですが、
その基となった事件「埼玉愛犬家連続殺人事件」がどんなものかは知らずに観ました。
観る前は別に基の事件なんか全く興味がなかったんだけど、
本作のあまりの凄まじい内容に、「こんな滅茶苦茶な事件あるはずない」と思い、
鑑賞後にネットで調べてしまいました。
たしかに映画なので誇張しているところもありましたが、
思ってた以上に実話を基に作られていて驚きました。
いやぁ「埼玉愛犬家連続殺人事件」って、凄まじい事件だったんですね。

…という感じで、実話の方があまりにインパクトのある話だから、
どう映画化してもある程度のインパクトは保証されるネタです。
そこからどう料理して、さらにインパクトを与えるかが勝負だと思うんだけど、
本作は基になった事件を超えるようなインパクトはありませんでした。
ボクは普通とは逆に映画から元ネタを知ったから、鑑賞中は結構な衝撃を受けたものの、
もし元ネタを知ってて観たとすると、たいして面白くない作品なんじゃないかと思います。
(でも海外向けのレーベルで制作されたので、観客は元ネタ知らないことが前提かも。)
もともとバラバラ殺人のさらに上をいくような猟奇殺人事件なので、
それを映像化すれば、そのグロさは半端じゃなく、それは衝撃の映像になりますが、
ストーリーの衝撃度ってのは完全に元ネタ頼りになってしまっているので、
もっと脚本も頑張らないとダメなんじゃないかと思いました。
いや、逆に脚本を頑張って、オリジナルとして付け足したところがイマイチで、
特にラストの一連の流れなんかは、凡そ理解に苦しむ展開になっちゃていて、
そのせいで実話が基であることを売りにしているにもかかわらず、
すごく嘘くさく感じてしまって残念です。

基が20年近く前の事件だったので、ペットショップを熱帯魚屋にしたりだとか、
チンピラを弁護士に変えたりだとか、いい設定のアレンジもあったんですが、
事件の誇張が露骨すぎてあまりに現実離れしすぎてます。
特に主犯である村田(でんでん)の行動がぶっ飛びすぎです。
実話の犯人は余罪を含めてもせいぜい10人くらいでしょうが、
村田は50人近く殺していて、それでいて全く警察に捕まりません。
いやいや、無差別殺人ならまだしも、利害の絡む人間を何十人も殺しておいて、
一切尻尾を出さないなんてことあり得ないでしょ。
この世界の警察、いくらなんでもアホすぎますよ。
それに会って二日目の主人公の妻(神楽坂恵)に強姦しかけてるようなやつだから、
よしんば殺人で捕まらなかったとしても、性犯罪で告発されてますよ。
まぁ今回に限れば、その妻が村田を受け入れちゃったから表沙汰にはならなかったけど、
ふつうあんなエロジジイにセクハラされて、拒まないなんてあり得ないでしょ。
完全にポルノシーンが撮りたいから作っただけの展開です。

というか、この物語にあまりポルノシーンはいらなかったと思います。
もっとリアリティを大切にしなきゃいけないのに、出てくる女は淫乱、男も色魔ばかりで、
ピンク映画みたいな無茶苦茶な世界観ですよ。
事件だけで充分に刺激的なので、わざわざエロで別の刺激足すことないのに…。
なんか映画って、いつもセックスとバイオレンス、エロとグロがニコイチですが、
バイオレンスを観たい人がセックスも観たいとは限らないと思うんですよね。
それに一般公開される映画は、高いレイティングを受けることを覚悟すれば、
バイオレンスはかなり表現できるけど、セックスはせいぜいセミヌードが限界でしょ。
本作のようにグロが凄まじいと、エロのバランスが悪く感じるんですよ。

「実話を基に」ってことで、実話のインパクトやリアリティに比べると不満はありますが、
ふつうのクライム・サスペンス映画として観るならかなり見応えがあるし、面白いです。
でんでん演じる村田も、実在の人物がモデルとなるとやりすぎと感じますが、
創作上のシリアルキラーだと思えば、他に類を見ない個性的な犯人でかなり魅力的です。
吹越満演じる主人公・社本もなかなか熱演でした。
でもやっぱり最後の暴走だけは納得できないかな…。
ハッピーエンドとはいかないまでも、もうちょっと救いのあるラストだったら、
もうちょっと鑑賞後感もマシで、もっと褒めれたかもしれないのに…。
園子温監督はよっぽど歪んだ家庭環境で育ったんだろうなぁ…。

あ、園子温監督といえば、本作は「家賃三部作」というものの第一弾だそうで、
次回作で年内公開が決まっている『恋の罪』が第二弾になるんだそうです。
「家賃三部作」は実際の事件を基にした映画を三作つくるというものらしいので、
『恋の罪』も実際の事件「東電OL殺人事件」が基になっているんだとか。
その事件のことも今は全く知りませんが、もし『恋の罪』を観ることがあれば、
今度は予習してから行ってみたいと思います。

コメント

新作の「地獄でなぜ悪い」が面白かったので、過去作も、という感じで観ました。これは、ちょっと、違いましたね、、、
私も最後の暴走はよくわからないです。主人公の気持ちがというより、こういう筋書きにした製作者の意図が...。
「地獄〜」も最後暴走してるけど、観後感良かったのに。

  • 2013/10/04(金) 21:23:30 |
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  • eyo #-
  • [ 編集 ]

『地獄でなぜ悪い』は園子温監督作品の中でも最もライトな部類なので、
そこから最もヘビーな部類の『冷たい熱帯魚』に挑戦するのは危険でしたね。
『ヒミズ』など比較的ライトな作品もあるので、これに懲りずに観てほしいです。
園監督もすっかりメジャー監督になってしまったので、
今後も『冷たい熱帯魚』ほどのヘビーな作品は撮れないはずです。
あと、ヒネクレ者の園監督は基本的にハッピーエンドは好まないそうなので、
彼の作品を観るならそこは覚悟しておいた方がいいかもしれないです。

  • 2013/10/05(土) 21:50:36 |
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  • BLRPN #-
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