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白夜行

アカデミー賞候補作も発表されて、映画界も賞レースで盛り上がる中、
まもなく世界三大映画祭のひとつ、ベルリン国際映画祭が開催されます。
去年は『キャタピラー』が銀熊賞を受賞して大いに盛り上がりました。
それも含め、けっこう日本映画と相性のいい映画祭だとは思うんだけど、
今年はコンペ部門に日本映画は選出されなかったようで残念です。
ですがコンペ部門からは外れたものの、今年も日本映画が多く出展されているようで、
それらがどんな評価を受けるのか、そしてそれらの作品の凱旋上映が楽しみです。

ということで、今日はパノラマ部門で上映される作品の感想です。

白夜行
白夜行

2011年1月29日公開。
東野圭吾の人気小説の映画化したミステリー。

昭和55年、質屋の店主が殺されるという事件が起きるが、結局被疑者死亡のまま解決。だが、当時の担当刑事笹垣(船越英一郎)は、何か腑に落ちないものを感じていた。数年後、事件の殺人犯と目されていたがガス中毒死した女の娘雪穂(堀北真希)は美しく成長し、一方質屋店主の息子亮司(高良健吾)も事件後は家を出ており……。(シネマトゥデイより)



東野圭吾の小説が原作と聞いていたので、勝手にミステリーだと思ってたけど、
別に真犯人を推理したり、トリックを暴いたりするのが目的の物語ではないんですね。
予告編とか映画紹介でもほとんど真相を晒しているようなものだったし…。
それさえ観てなければ、けっこう意外な真相だったと思えたでしょうが、
予告編のままの結末でなんだか拍子抜けしました。
それもそのはずで、本作の原作はボクが内容を知らなかっただけで、
すでに何度も映像化された超有名な話だったみたいで、
ほとんどの観客は真相を知ってる上で観る作品のようです。
だから端からミステリーとして観てもらおうという意図はないみたいです。

本作はある殺人事件の加害者の娘と被害者の息子の関係を描いた内容です。
過去の映像化作品では、主にその娘と息子の恋愛を描いたメロドラマだったそうですが、
後発で同じことをするはずもなく、本作は本格的なクライム・サスペンスです。
本作は主に幼い時の殺人事件で人間性を失ったまま成長した、
加害者の娘と被害者の息子の異常性を描いたスリラーになってます。
特に加害者の娘・雪穂(堀北真希)のモンスター性を強調して描いています。
雪穂は、シリアルキラーとなった被害者の息子・亮司(高良健吾)を、
自分の幸せのために魔性の力で裏から意のままに操る悪女です。

雪穂や亮司の生い立ちは想像を絶する酷いものだし、それには同情もできるけど、
その事件で彼らの心境がどう変化したのかとか、彼ら内面は全く描かれないのもあり、
成長してからの彼らの所業にはどうも納得できませんでした。
幼い頃にあんなことがあったら心が病むのはわかるけど、
だからって成長してからあんな酷いことするようになるかな?
特に雪穂の義理の妹に対する所業は、その被害者になった経験のある彼女なら、
一番忌むべき行為だと感じるはずだと思うんだけど…。
亮司にしてもそうで、どんなに人間性が崩壊していたとしても、
彼の立場なら絶対にできないと思う。
せめてその時の彼らの気持ちを少しでも汲み取れるように描かれていたら、
まだ理解できることもあったかもしれないけど、
ただただ血も涙もないモンスターとして描かれているだけなので、
どうも納得できず、ドラマとしてリアリティを感じません。
というか、不愉快な展開でした。

まぁクライム・サスペンスにハッピーエンドなんて期待してないし、
児童買春や淫行が絡む物語なので、どう転んでも不愉快さは残ってしまいますが、
雪穂の義理の妹の件で、本作はそれを"是"としているような印象を受けてしまいます。
亮司の方はある意味でその所業の報いを受けたからまだマシだけど、
雪穂は結末はあれでいいのか…?
死ねばいいとまでは思わないけど、少しは罪の意識を感じたような描写があれば、
いくらか不愉快さも払拭されるんだけどなぁ…。

面白くなかったわけではないけど、後味の悪い作品でした。
でも本作の一番の収穫は、主役(?)の刑事・笹垣を演じた船越英一郎が、
思いのほかよかったことです。
テレビのサスペンスや刑事ドラマの彼は、なんか二枚目を気取った感じで、
正直演技が下手な俳優だと思ってたし、テレビドラマ俳優のイメージが強いので、
いつも彼が映画に出ると、作品が安っぽく観えると感じていたんですが、
本作の彼はいつもと全然違いました。
二枚目でも敏腕刑事でもない年相応で等身大の刑事役で、すごく自然な演技です。
いつものテレビドラマではクセのあるキャラをわざと大袈裟に演じてたんですね。

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