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キック・アス

昨年、一昨年はかなり豊作でしたが、今年は公開スケジュールの関係か、
日本ではアメコミ映画があまり公開されませんでした。
先週までだと『アイアンマン2』くらいしかなかったんじゃないでしょうか。
アメコミ映画ファンとしては、ちょっと寂しい一年でしたね。

しかし来年から、いや今週からは違います。
公開されたばかりの『キック・アス』を皮切りに、
『RED』『グリーン・ホーネット』『マイティ・ソー』『X-MEN ファーストクラス』
『グリーンランタン』『トランスフォーマー3』『キャプテン・アメリカ』と次々公開。
関連作品ではドリームワークスの『メガマインド』や、
日本ではDVDスルーになりましたが『ジョナ・ヘックス』も近日リリースです。
その勢いは再来年になっても増すばかりで、
2012年は『スパイダーマン』『アベンジャーズ』『バットマン』『スーパーマン』など、
凄まじいラインナップになっているようです。
(でも、何気に一番楽しみなのはPS3の『MARVEL VS. CAPCOM 3』だったりします。)

ということで、アメコミ映画フィーバーの開幕を飾る映画の感想です。

キック・アス
Kick-Ass.jpg

2010年12月18日日本公開。
同名アメコミをブラッド・ピットの映画会社が実写化したアメコミ・ヒーロー映画。

コミックオタクでスーパーヒーローにあこがれる高校生デイヴ(アーロン・ジョンソン)は、ある日、インターネットで買ったスーツとマスクで、ヒーローとして街で活動を始める。何の能力も持たない彼はあっさり犯罪者にやられるも、捨て身の活動がネット上に動画で流され、“キック・アス”の名で一躍有名になってしまう。(シネマトゥデイより)



本作は当初日本での劇場公開が危ぶまれた作品です。
『ジョナ・ヘックス』同様、日本ではアメコミヒーロー映画はウケが悪く、
集客が見込めないから…、という理由もあるでしょうが、
主な理由は、その過激な内容によるものでしょうね。
日本でも大人気なブラット・ピッド製作でニコラス・ケイジ出演作だし、
普通ならすんなり公開されて当然の布陣だけど、
スーパーヒーローの扮装をした小学生の女の子が、放送禁止用語を連発し、
銃火器や日本刀で大人をブチ殺しまくるという過激な内容で、
日本での公開以前にアメリカで配給されるかが危ぶまれたほどです。
むしろ未成年の取り扱いは、アメリカの方が厳しいですから、
6大メジャーからは無視されたとはいえ、よく全米公開できたものです。
本作はMARVEL系のアメコミですが、ディズニーだったら絶対に不可能ですね。
しかもそんな内容で全米初登場1位の大ヒットですよ。
日本でもアメコミ映画ファンの間で公開が待ち望まれていましたがなかなか決まらず、
ボクも半ばあきらめかけてたころに、急遽日本公開が決定し、
かなり小規模ながらもなんとか公開され、ホントよかったです。

いやぁ~、面白い、面白いとは聞いてはいましたが、ホントに面白いです。

たしかに下品な演出や過激すぎるアクションも盛り沢山で、
誰にでもオススメできる映画ではないけれど、アメコミ映画ファンなら絶対観とくべき。
ファンなら言われなくてももうすでに観てると思いますが、
ファンでよかったと思える面白いパロディやオマージュがいっぱいです。
なによりブラピをはじめ、製作陣のアメコミに対する愛情が半端なく感じられて、
なんだか嬉しくなるような作品です。
本作はアメコミ映画のパロディ的な内容なのに、なぜかアメコミ映画の真髄を感じます。
今までにも『Mr.インクレディブル』『ハンコック』『スーパーヒーロームービー!!』など、
アメコミ人気に便乗したアメコミヒーローコメディの名作はいっぱいありましたが、
作品にかかっている愛情、そして面白さは本作がダントツだと思います。

もう基本は褒めるところしかないんですが、そんなのは映画情報誌がしてくれているので、
ここでは批評ではないけど、ちょっと「あれ?」と思ったことを書きます。
本作のストーリーは、アメコミオタクの冴えない高校生が、
「スーパーヒーローに憧れている人は多いのに、なぜ誰もやらないのか?」と疑問を持ち、
自らコスチュームを身に纏い、"キック・アス"と称して自警活動を始めるというもの。
主人公の"キック・アス"ことデイヴ(アーロン・ジョンソン)は、
スパイダーマンやスーパーマンのように特殊能力があるわけでもなく、
アイアンマンやバットマンのような財力があるわけでもない普通の高校生。
あるのはヒーローに対する憧れと、正義を愛する心だけ。
(それと交通事故の後遺症で神経が麻痺していて、人より痛みに強いという特性。)
そんな等身大のヒーロー像が画期的で、そんな彼がどう活躍するのか興味深いです。
なんの力もないのにヒーローになりきっているデイブの滑稽さで笑い、
弱いのに必死に悪漢と戦うキック・アスの奮闘に胸を打たれるわけですが、
そんな活躍が面白おかしく描かれるシーンは前半に集中していて、
後半はむしろ別の女性ヒーローである"ヒット・ガール"の活躍が中心になっています。

前述のように"ヒット・ガール"は女子小学生のヒーローで、
躊躇なく人を殺し、耳をふさぎたくなるような汚い言葉を使う美少女。
そのインパクトは半端なく、全米公開時から彼女の注目度は大きくて、
特にロリコン文化、萌え文化が市民権を得ている日本では、
"ヒット・ガール"ことミンディを演じた子役クロエ・グレース・モレッツは、
主演のアーロン・ジョンソンを差し置いて雑誌などで大プッシュされてます。
たしかに彼女は可愛いし、そんな子が過激極まりないアクションや演技をしてるんだから、
どうしても目を惹くし、注目したくなる気持ちは分かるんですが、
『キック・アス』という作品はやはり"キック・アス"が主人公だし、
彼女にばかり誘導すると、作品の本質が曲がって伝わる気がします。
ボクは"ヒット・ガール"が暴れまくる後半よりも、
"キック・アス"が活躍する前半の方が面白く感じました。

本作はかわいい女の子によるガールズ・バイオレンス・アクションではなく、
あくまでスーパーヒーローに憧れるダメ高校生の青春コメディだと思うんですよ。
"ヒット・ガール"は特殊能力こそないものの、幼い頃から殺人技術の鍛錬を受けていて、
『エレクトラ』と同じような境遇で、立派な女性アメコミヒーローなんですよ。
"キック・アス"とは違い普通の人間とは言えません。
だから彼女が活躍したところで、それは普通のアメコミヒーロー作品だし、
等身大のヒーローが奮闘するという本作のテーマとはズレた設定のキャラだと思うんです。
だから彼女ばかりに注目して観てしまうように仕向けるのはどうかと思うんですよ。
そもそも製作陣も、原作のテーマを見誤っていて、彼女への比重を重くし過ぎです。
読んだわけではないからハッキリ言えませんが、後半は原作とかなり違うようなので、
原作の方はもっと"キック・アス"寄りに描かれていたんじゃないかな?
ただ、アメコミ映画ではこれだけ注目された女性ヒーローは初めてだし、
クロエ・グレース・モレッツが今後が楽しみな女優であることは間違いないですが…。

そんな新人女優に多少食われ気味ながらも、さすがの存在感を見せていたのが、
ニコラス・ケイジ演じるヒーロー"ビッグ・ダディ"。
その名の通り、"ヒット・ガール"の父親で、彼女をヒーローに訓練した張本人です。
メインキャストがまだ無名に近い若手俳優ばかりの中に混じって、
ベテランの人気俳優ニックが登場すると、なんだか作品に安定感を感じますね。
"ビッグ・ダディ"は誰がどう見てもバットマンのコスプレにしか思えないコスチューム。
この親子はバットマンとロビンを模しているのは確実ですが、
決定的に違うのはバットマンたちのような悪者でも命を奪わない高潔なヒーローではなく、
目的のためなら殺人を厭わないパニッシャーやウルヴァリンに近いアンチヒーローです。
窃盗でも何でもOKだし、一歩間違えばヴィランになりかねない危ない人たちです。
"ビッグ・ダディ"は姿はバットマンぽいのに、行動は全然違うのが面白いんですが、
原作だとライツ関係の問題か、あまりバットマンぽい姿ではないんですよね。
この面白さはパロディに寛容な映画というメディアになったことによる恩恵ですね。

ついでなので、最後に残ったもうひとりのヒーローのことも書こうかな。
クリストファー・ミンツ=プラッセ演じる"レッド・ミスト"ことクリスは、
本作のヴィラン、ギャングのボスであるフランク・ダミーコの息子です。
親が金持ちなので財力はありますが、もちろん特殊能力はなく、
身体能力は"キック・アス"にも劣る普通のお坊ちゃんです。
ヒーローを名乗ってはいますが、父親に協力するためなので、彼もヴィランですよね。
ヒーローだけではなく、ヴィランも普通の勘違い高校生というのが面白いところです。
でもヴィランってのは、ジョーカーを筆頭に、もともと特殊能力を持たないキャラが多く、
"レッド・ミスト"も今回は間抜けなキャラでしたが、
すでに制作が決まっている続編では大化けしそうな予感があります。
なにしろ最後のセリフがアレですもんね…。

…と、続編に期待したいところですが、本作がすでに名作なので、
これで終わっておいた方が無難な気もして、複雑な気持ちです。
万が一にも"キック・アス"が修行して強くなるなんて展開はやめてほしいけど、
どうも本作の終わり方だと、そんな流れになりそうな気がします。
"ヒット・ガール"のクロエだって、すぐ成長して大人っぽくなる年頃だし、
女子中学生くらいなら、どんな過激な役をやっても、インパクトも薄まりますよね。
とはいえ、やっぱり続編があるなら期待してしまうのは間違いないので、
日本公開が不可能になることのない程度で、最高に過激な作品をお願いしたいです。

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