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トロン:レガシー

去年(2009年)は「3D映画元年」なんて言われてましたから、
さしずめ今年(2010年)は「3D映画2年」ですね。
(世間では「3Dテレビ元年」とも呼ばれていますが、ボクはまだ早いと思います。)
ボクは3D映画は一過性のブームだと思っているので否定的な立場ですが、
それでも月1本以上の3D映画は観ていたようです。

いきなりですが、ここで今年の3D映画の個人的なベスト3の発表です。
作品の面白さよりも3D映画としての魅せ方に重点を置きました。
(3Dアニメーション映画も含めると上位独占するので、今回は省きます。)

第1位 『バイオハザード IV アフターライフ』…全編ステレオ撮影の正真正銘3D映画。
第2位 『アバター<特別編>』…もはや3D映画の金字塔。再編集版なので厳しめの評価。
第3位 『バトル・ロワイヤル3D』…ポスプロ型3D映画の可能性を示した邦画。

ということで、今日は4位の作品の感想です。
ちなみに5位は『アリス・イン・ワンダーランド』でした。

トロン:レガシー

2010年12月17日日本公開。
1982年に公開されたディズニー映画『トロン』の続編。

デジタル業界のカリスマ、ケヴィン・フリン(ジェフ・ブリッジス)が謎の失踪(しっそう)を遂げてから20年たったある日、27歳に成長した息子サム(ギャレット・ヘドランド)に父ケヴィンからのメッセージが届く。サムは、父ケヴィンの消息を追って父のオフィスに足を踏み入れるが、そこには衝撃的な真実が待ち受けていた。(シネマトゥデイより)

ディズニーが『トロン』の続編(つまり本作)を制作するという速報を聞いた時、
『トロン』って映画があるのかと、初めて知りました。
『トロン』が公開されたのはボクが生まれたばかりの頃だったし、
同年にはSF映画の金字塔『E.T』なども公開されていたので、
ちょっと影が薄くなってしまってたんじゃないかな?
なのでボクは全然知らなかったんだけど、当時としては画期的な映画だったようで、
ジョン・ラセターやティム・バートン、手塚治虫などに影響を与えた作品なんだとか。
何が画期的かといえば、世界で初めて本格的にCGを導入した作品だったんだそうです。
本作の予習として、遅ればせながらボクも観ましたが、たしかに画期的でした。
当時は最先端だったCGも、今観るとこれが信じられないくらいチープです。
球体や錐体などのオブジェクトを組み合わせただけのCGで、
これならいっそのことアニメにでもしちゃった方が早いんじゃないかと思うほどですが、
あえてそのレベルの技術で作品にしてしまったところにチャレンジ精神を感じます。
ボクは低予算映画が好きなんですが、予算にしても技術にしても、
厳しい制限の中で作られたものの方が、アイディアに溢れていて面白いものです。

で、『トロン』から30年近い月日が流れ、CGの進歩は目覚ましく、
もうCGの表現力の制限なんてなくなってしまった現在、
『トロン』の続編である本作が公開になったわけです。
現在の最新技術であるデジタル3Dを引っさげて。
が、最新技術ではあるものの、前作『トロン』のように世界初ではないわけで、
今では月数本の3D映画が公開されており、全然目新しい技術ではなくなっています。
でも出来て間もない技術には変わりなく、まだ作品によって技術の優劣は激しいですが、
本作は3D技術としては頑張っている方だとは思うものの、
『アバター』という今後10年は超えられないような超ド級の3D映画が
先に公開されてしまった今、本作のインパクトはかなり薄いです。

しかも上映前の注意書きでもわかるように、本作は完全な3D映画ではなく、
けっこうな割合のシーンを2Dのまま上映してるんですよね。
仮想空間の中のシーンは3Dカメラで撮影された完全な3D映像ですが、
現実世界のシーンはほぼ2Dのままです。
これは現実世界と仮想空間の差別化を図った演出のようにも思えますが、
2Dのままのシーンでも、明らかに3Dになることを意識していると思われる演出が多く、
(たとえば公道をバイクで疾走するシーンや、エンコム社のビルから飛び降りるシーン)
当初の予定では、ここも編集で2Dから3Dに変換するつもりだったような気がします。
しかしその変換したシーンが、3Dカメラで撮られたシーンと比較して、
かなり劣っていると判断され、全編3D公開は断念したんじゃないかな?
3Dカメラでステレオ撮影された3Dと、編集で2Dから変換された3Dでは、
そのくらいの差があるということです。
(残念ながら今のほとんどの3D映画は後者になります。)

複雑で雄大な自然の風景をすべて3DCGで再現し『アバター』に比べて、
本作はカセットビジョン世代のグリッドで描かれたゲームを舞台に再現しているので、
技術的にはかなり簡単だったんじゃないかと思うんですよね。
その無機質で、SFなのにレトロな世界観が本作の魅力でもあるんですが、
映像の技術的には大してすごいとは感じませんでした。
ただ一点『アバター』より優れていると感じたのは音楽です。
本作の音楽はダフト・パンクによるものですが、
そのエレクトロニックなサウンドが本作の作風にとてもマッチしていて、
3D映像による視覚より、むしろ聴覚で仮想世界を体感した気分になります。
なので、どうせ観るなら音響設備の整った映画館で観る方がいいと思います。

ストーリーですが、前作は約30年前の作品だし、
『トロン』を観てないお客さんのことも意識して作られてるとは思いますが、
前作で予習してから観に行ったボクからすると、
みんな本作だけでちゃんと理解できるのか疑問に思いました。
ボクが前作を観た時、イマイチ世界観が掴みきれず、内容を理解しきれなかったんですが、
本作から観る人だと、本作でそんな事態が起こりかねないような気がします。
本作の最初に、前作の主人公であるケヴィン・フリン(ジェフ・ブリッジス)が、
息子のサム(ギャレット・ヘドランド)に、前作での出来事を掻い摘んで語るんですが、
それを聞いてボクも前作の内容をちゃんと理解できた感じでした。
とにかく仮想世界の世界観が難解なんですよね。
ゲームの世界に入り込んでしまう、なんて作品を説明されると、
ふつうだとゲームのキャラクターとして入るものだと思うじゃないですか。
でもどうもそうではなくて、プログラムとして入るんですよね。
『トロン』の頃はほとんどの人がコンピュータのことなんてわかってなかったから、
なんとなくそういうものかと、ファンタジー感覚で観れたでしょうが、
現代人は、なまじっかゲームやコンピュータの知識があるもんだから、
余計わかりにくくなっている気がします。

前作の主人公ケヴィン・フリンはもちろんのこと、
その親友のアラン(ブルース・ボックスライトナー)もキャスト続投のまま登場しますし、
タイトルでもあるアランの作ったプログラム"トロン"も、重要な役で登場します。
単純に続編として、前作ファンへのサービスも随所に散りばめてあるので、
どうせ観るなら前作を見てからの方が何倍も楽しめるはずです。
今回の最大の敵であるクルー(ジェフ・ブリッジスが一人二役)も、
前作に登場した奴の進化版ってことになってるんですよね。
これは前作を観てないと絶対わからないことです。
あと、エンコム社の扉のシーンとか、あの悪者デリンジャーの息子も登場したり、
前作を知ってるなら、ちょっとニヤリとできるシーンがいっぱいありますよ。

当時の人が『トロン』に受けた衝撃のようなものは本作にはないものの、
データディスクをチャクラムのように扱うアクションシーンや、
近未来的な乗り物(ライト・ランナーやライト・サイクル)でのチェイスシーンは、
なかなかスタイリッシュで見応えがあり、上質なSF映画になってると思います。

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