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ノルウェイの森

近年、映像化不可能と言われていた小説がドラマや映画などになることが多いですが、
技術の進歩で映像化が可能になったファンタジーやSFならわかりますが、
そんなジャンルの作品じゃないならば、
今まで映像化されなかったのには何か理由があるはずです。
まぁ大抵の場合は「映像化しても面白くなるとは思えないから」という理由でしょう。
特に映画は「映画らしさ」を求められがちな媒体なので、
有名で人気のある小説だからって、映画に向いてない作品だと、
映像化しても残念なことになるだけなんですよね。
映画には映画の良さがあって、小説には小説の良さがあると思うんですが、
最終的に何でも映画化してしまうんなら、小説家なんて初めから脚本家になればいいです。

ということで、今日は技術的な理由以外で映像化不可能と言われていた作品の感想です。

ノルウェイの森

2010年12月11日公開。
村上春樹の代表作『ノルウェイの森』をトラン・アン・ユン監督が映画化。

ワタナベ(松山ケンイチ)は唯一の親友であるキズキ(高良健吾)を自殺で失い、知り合いの誰もいない東京で大学生活を始める。そんなある日、キズキの恋人だった直子(菊地凛子)と再会。二人は頻繁に会うようになるが、心を病んだ直子は京都の病院に入院してしまう。そして、ワタナベは大学で出会った緑(水原希子)にも惹(ひ)かれていき……。(シネマトゥデイより)



村上春樹といえば国内外でカルト的とも思えるほど人気のある小説家ですよね。
彼はボクの地元が輩出した著名人のひとりでもあり、親近感もあるし、
(といっても学生時代に住んでただけですが…)
そんな彼が「世界一有名な日本人作家」などと称されていることは、
ちょっと誇らしくもありました。
でも、ボクはとにかく小説を読むのが苦手で、彼の作品はひとつも読んでません。
彼の作品は映像化されることも少ないので、今まで全く接する機会がありませんでした。
そんな折、ついに彼の小説が映画化。
しかも、日本一の発行部数を誇る彼の代表作『ノルウェイの森』です。
さらに主要なロケ地はウチの地元周辺になるということで、
これはもう観に行かないわけにはいかないです。

で、期待に胸を膨らませて観に行ったんですが…、
…すごくつまらなかったです。
なぜこんなものが日本一の発行部数になるのか疑問に思いました。
と同時に、これが代表作の村上春樹も、思ってたほどスゴイ人じゃない気がしました。
映画化に際して、かなり改変(改悪)されたためかとも思いましたが、
本作を撮ったトラン・アン・ユン監督によれば、かなり原作に忠実に撮ったとのこと…。
むしろ若手随一の演技派俳優・松山ケンイチや、国際派女優・菊地凛子の演技や、
70年代を意識したセットのディテールの繊細さや、
砥峰高原で撮られた日本とは思えないような雄大な自然のロケーションなど、
映像化したことにより顕在化したものにはかなり見どころを感じましたが、
ストーリーやキャラ設定など、小説由来のものに全く魅力を感じませんでした。

ストーリーはセックスと精神病と自殺といった安直なトピックスで客の関心を引く感じで、
一昔前に流行ったケータイ小説のお決まりパターンと大差ないなと思いました。
もう村上春樹のどこがスゴイのか理解に苦しむ内容です。
逆に言えば、ケータイ小説の作家たちに、ハルキストが多いからかもしれませんが…。
なんにしてもそのストーリーには斬新さも感動もなく、
率直に言えば、ポルノ映画を観せられている気分でした。
なんだか全体の半分くらい濡れ場だった気がします。
それはそれで、そのつもりで観れば楽しめるのかもしれないけど、
そのくせ出演女優たちは悉くヌードがNGだったようで、
中途半端な濡れ場でフラストレーションが溜まるし、なによりリアリティがないです。
菊地凛子もある意味全裸以上に卑猥な手コキやフェラのシーンはOKしてるのに…。

登場人物も悉く人格異常者ばかりで、彼らに全く同感できません。
ヒロインの直子(菊地凛子)は精神を病んでいるので同感できなくて当然ですが、
直子のことが好きなのにナンパした女を抱きまくる主人公・ワタナベ(松山ケンイチ)。
そのくせ緑(水原希子)の誘惑には全く乗らないし…。
その緑は父親が病死したばかりなのに彼氏とセックス旅行に繰り出すイカレ娘です。
主人公の友達のキズキ(高良健吾)はまだ高校生だったにもかかわらず、
彼女とセックスが出来ないというだけで排ガス自殺してしまうアホ。
主人公の先輩・永沢(玉山鉄二)とその彼女・ハツミ(初音映莉子)も、
常人とは大きくかけ離れた恋愛観を持っていて、気持ちが全く理解できません。
とにかく、常識的な恋愛観を持っている人物が誰一人いないために、
恋愛映画として観ることは不可能だと思われます。

恋愛映画でないならば、この作品は何がテーマだろうと考えてみるのですが、
一向にその答えが見えません。
村上春樹の作品は難解だと言われてるけど、そのせいなんでしょうか?
タイトルの意味も最後までわからなかったし…。
何が描きたかったのかわからない映画ほど退屈なものはないです。
それでも何とか最後まで観ることができたのは、キャストの演技力のおかげです。
特にススキの草原を直子とワタナベが歩くシーンは、
あんなとんでもない長尺のシーンを、よくワンカットで撮ったもんだと感心しました。
松山ケンイチに菊池凜子という、明らかに名作を狙った露骨なキャスティングですが、
本作の主演が彼らじゃなかったら、もうどうしようもない作品になっていたと思います。

本作のおかげで村上春樹には幻滅させられましたが、
逆になぜ人気があるのか謎が深まり、彼に対する興味は強くなりました。
今更だけど『1Q84』でも読んでみようかな…。

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