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エクスペリメント

日本人のように世界各国の映画をふつうに観ている国民ってのは意外と珍しいらしく、
特にアメリカ人は英語圏の映画しか観ない人が多いんだそうです。
だから海外映画のハリウッド・リメイク作品も、オリジナル感覚で観れるんですね。
リメイクする製作陣たちも、観客がオリジナルを観てないと思っているためか、
ほとんどそのままの内容でリメイクしちゃうみたいですね。
最近は日本でも、『パラノーマル・アクティビティ』や『ゴースト もういちど抱きしめたい』など、
海外作品の邦画リメイクが増えてきましたが、オリジナルとの差別化のために、
原型がわからなくなるくらいアレンジしてしまいがちですよね。
それにより、オリジナルのよさが失われてしまうこともしばしば…。
どちらがいいってこともないけど、どうせリメイクするなら、
オリジナルより面白くしないと意味ないと思うんですが、
オリジナルがリメイクしたくなるような名作なだけあって、
オリジナルを超えるリメイク作品ってのはかなり困難ですよね。

ということで、今日はドイツ映画のハリウッド・リメイク作品の感想です。

エクスペリメント

2010年12月4日日本公開。
ドイツ映画『es [エス]』をリメイクしたサスペンス・スリラー。

職を失ったばかりのトラヴィス(エイドリアン・ブロディ)は、恋人のベイ(マギー・グレイス)とインドへ旅行するため、日給1,000ドルの実験に参加する。それは、被験者24人が刑務所と同じ環境で看守役と囚人役に分かれて過ごすというものだった。しかし、囚人役となったトラヴィスは看守役のバリス(フォレスト・ウィッテカー)と対立し……。(シネマトゥデイより)



本作は、アメリカのスタンフォード大学で実際に行われた心理実験、
「スタンフォード監獄実験」を題材にしたサスペンス・スリラーです。
「スタンフォード監獄実験」とは、新聞広告等で募集した20人程度の一般人を、
囚人役と看守役に分け、刑務所に見立てた施設で2週間生活させるというもので、
肩書きや地位によって、人はどんな行動をとるかということを調べる心理実験です。
その実験は、研究者の予想を超える結果となり、6日目で中止されてしまいました。
その心理実験を題材にして、2001年に制作されたのがドイツ映画『es [エス]』ですが、
本作はそれのハリウッド・リメイクということになるみたいです。

『es [エス]』はその衝撃的な内容で日本でもそこそこ話題になりましたが、
ボクも数年前にDVDで鑑賞して、やはり衝撃を受けました。
内容はもちろんのこと、こんな映画みたいなデスゲームが、
実話を基にしているということにビックリしました。
その作品が、実際にその実験をしたアメリカに逆輸入され、リメイクされたわけですが、
『es [エス]』を見た当時ほどの衝撃はもう期待できないとはわかっていながらも、
『es [エス]』も実話を基にしているだけで、結果や内容は実際の実験とは違いますし、
本作はリメイクではなく、『es [エス]』と同じ実験を題材にした作品と宣伝していたので、
もしかしたら全く違う内容の作品になっているかも、と楽しみにしてました。

でもいざ観てみると、内容的には実際の実験よりも『es [エス]』を踏襲していて、
リメイクであることは間違いないと思われます。
ただその心理実験の異常さを強調した『es [エス]』に比べると、
本作はその実験に参加者のキャラが掘り下げられていて、ドラマ性が高くなっています。
主人公も『es [エス]』では囚人役の男だけでしたが、本作では看守役の男とW主演になり、
ただ看守たちが悪役として描かれていた『es [エス]』よりも、
看守側の心理状態がうまく描けていると思います。
でも参加者のキャラ設定に重点を置いた分、心理実験の設定は疎かになっている気がして、
『es [エス]』ほどのリアリティはなくなっちゃったかな…?
特にこの心理実験を主催している研究者たちの不在感は不自然極まりないです。
囚人と看守の2人の主人公にしても、どちらかといえば看守側に重点が置かれ、
囚人のエピソードもけっこう削られちゃってます。
なのでリメイクなのは間違いないけど、作品から受ける印象はかなり違って、
『es [エス]』を観た人でも新鮮な気持ちで観れるんじゃないかと思います。
まぁ、どちらも観てない人には『es [エス]』をオススメしたいですが…。

オリジナルとの比較はこの辺にして、本作の内容の感想ですが、
囚人側の主人公トラヴィス(エイドリアン・ブロディ)は、
人一倍正義感が強く、曲がったことが大嫌いな男で、
横暴な看守側に反抗する急先鋒として、囚人側のリーダー的存在になるんですが、
実は一番囚人側の状況を悪くしてるのはコイツなんじゃないかと思うんですよね。
コイツがチンケな正義感を振りかざして、看守に刃向わなければ、
囚人も看守もみんな平穏無事に高額報酬(14000ドル)ゲットできたはずです。
看守側だってはじめは報酬のために真っ当に役割をこなしていただけなのに、
囚人側が与えられた役割を放棄しているのであって、あまり囚人側に同情できません。
どんな仕事だって理不尽なことはあるし、心理実験とはいえ仕事なんだから、
ご飯がマズイだけでいちいち怒ってたら、どんな仕事にも就けませんよね。

看守側の主人公バリス(フォレスト・ウィッテカー)は、
はじめは気のいいオッサンだったが、家庭環境に問題があり、抑圧されて育ったようで、
看守役になり、囚人たちを従わせることで、異常なサディストとして覚醒します。
彼は他の看守役とは違い、高額報酬よりも看守という権力に魅了されてしまったため、
ルール無視してやりたい放題で、かなり性質が悪いです。
バリスはまんまと主催者たちの思惑にハマったわけだけど、
彼の場合もトラヴィスと同じで、彼さえいなければ実験は平穏無事に終わりそうです。
この2人が揃ってたから惨劇になってしまったわけだけど、
このルールでは、2人のうちどちらかいないだけでも、
何も起きず2週間経過してしまい、全く心理実験が成立しなそうです。
だから本作は心理実験の設定が甘いなと感じるんですよね。

ハリウッド・リメイクだから、もっと派手に凄惨な展開になるかと思ってたんですが、
オリジナル版よりも看守や囚人の行動も温くなってる気がするし、
実験の結末もオリジナル版よりも犠牲者が少なく、グダグダな終わり方だと思います。
血なまぐさいデスゲーム系の映画を見慣れてるせいか、本作はかなり緩く感じます。

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