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ゴースト もういちど抱きしめたい

先週の『金曜ロードショー』で初めてちゃんと『ゴースト/ニューヨークの幻』を見て、
「あ、こんなに面白い映画だったのか」と再認識しました。
と同時に、スルーするつもりだった『ゴースト もういちど抱きしめたい』に興味が湧き、
急遽観に行くことにしました。
『金曜ロードショー』とか『土曜プレミアム』とか『日曜洋画劇場』とか、
公開中の映画の関連作を放映することが多いけど、それなりに宣伝効果あるんですね。
やっぱりあれって公開中の映画と連携して番組編成してるんですかね?
映画関係者にしてみたら、掻き入れ時の週末にテレビで映画なんて放映されたら、
客を取られて迷惑じゃないかと思うんだけど、それでも宣伝効果の方が大きいのかな?
でも今回みたいにリメイク作品の場合は、基本的には同じ内容だし、
完全にネタバレになるんで、営業妨害なんじゃないかと思うんですが…。
というか、公開中のリメイク作のオリジナルを地上波で放映してるのなんて、
今回初めて見た気がします。

ということで、今日はオリジナルと比較されて気の毒なリメイク作品の感想です。

ゴースト もういちど抱きしめたい

2010年11月13日公開。
1990年に公開され、大ヒットした『ゴースト/ニューヨークの幻』の日本版リメイク。

会社経営者として多忙な日々を送る七海(松嶋菜々子)は、ある晩、陶芸家志望の韓国人青年ジュノ(ソン・スンホン)と出会う。やがて二人は運命的な恋に落ち、新しい生活をスタートさせるが、七海はある事件に巻き込まれて突然命を落とす。彼女の魂は天国へ行くことを拒み、地上でゴーストとなって愛するジュノのそばに寄り添うが……。(シネマトゥデイより)



世間では本作に対して否定的な意見が多いようですが、
ボクは世間の評価ほど酷い作品だとは感じませんでした。
ただひとつ、決定的なミスは、『ゴースト/ニューヨークの幻』をリメイクしたこと。
あんな映画史に残る名作、誰がどうリメイクしても文句は出るに決まってます。
でも「日本でリメイクする」という企画が通ってしまったから仕方ないです。
制作陣はやれるだけのことはやったと思います。

本作の経緯ですが、松竹が配給しているため、
松竹がリメイク権を買って制作した完全な邦画と思っている人もいるようですが、
実際はパラマウントのローカルプロダクツみたいですね。
しかもパラマウント初の日本映画ということのようで、
6大メジャーのひとつであるパラマウントが日本の映画市場に進出してきたことは、
ハリウッドがまだ日本史上を重視してくれていることの表れであり、
映画好きとしては喜ばしいことです。

日本に乗り込むにあたって、日本でも知名度の高い自社作品のリメイクという、
安易な手段を取ったんでしょうが、残念ながら選ぶ作品を間違えてます。
日本ではなく、もしハリウッドでリメイクしたとしても結果は同じで、
『ゴースト/ニューヨークの幻』はどう考えてもリメイク向きの作品ではありません。

その理由のひとつが、本作にはサスペンス的要素があるからです。
ネタバレ厳禁のサプライズを含む作品だからです。
サプライズになるのは、主人公がなぜ殺されたのかってところですが、
オリジナル版が有名すぎて、その真相および犯人は周知のことになってます。
そんな犯人がわかっているサスペンスが面白いはずないです。
もしリメイクするなら、バカ正直にオリジナルを模倣するのではなく、
サスペンス部分だけでも独自の結末を模索すべきでした。
本作では配偶者に殺人の嫌疑がかけられるという独自の展開を見せますが、
すぐ否定せず、その可能性を残すというのもありだったかもしれません。

もうひとつの理由が、オリジナルで悪徳霊媒師を演じたウーピー・ゴールドバーグの存在。
彼女はこの役でアカデミー賞助演女優賞を受賞したわけですが、
それくらいにハマリ役で、これ以上ないベストな配役でした。
そんなウーピーの役を出来る役者を、日本の中で選ぶとなると、
樹木希林を選んだことはベターな選択だとは思うし、本人も頑張ってたけど、
やっぱりオリジナルを超えることは絶対に不可能です。
このウーピー演じる悪徳霊媒師のキャラクターで、本作は名作になり得たわけですが、
逆に言えば、そこがダメなら全てダメです。
挙句にはこの悪徳霊媒師の見せ場が、オリジナルよりかなり削られていて、
オリジナルの面白いシーンがゴッソリ無くなってしまっています。
これではつまらなくなって当然です。

とはいえ、ダメなのはそれくらいで、他は無難な出来か、オリジナル以上の出来。
特によくなっていると感じたのは、オリジナルで一番印象的なシーンだけど、
ストーリー上全く意味のない陶芸のシーンを、ラストの伏線として利用していること。
オリジナルでは官能的なシーンを入れたいがために取って付けたようなシーンで、
ストーリー上、全く意味のないシーンでしたが、本作ではそれをうまく活かせてます。
主人公の配偶者が陶芸家という設定も、オリジナルより大きく扱われてますね。
ここは東洋ならではといったところでしょうか。

もうひとつよくなっているのは、天才子役・芦田愛菜ちゃん演じる少女のゴースト。
オリジナルに出てくる病院のゴーストと地下鉄のゴーストを足した役ですが、
この子はホントに天才で、短い出演時間にもかかわらず、強烈な印象を残します。
しかし、この少女のゴーストですが、わざわざキャラを掘り下げたにもかかわらず、
その設定を投げっぱなしで物語は終了しちゃうんですよね…。
ちゃんと成仏させないと可哀想だろ!と思ってしまいました。
この少女ゴースト、ソン・スンホンのことは「お兄ちゃん」と呼ぶのに、
松嶋菜々子に対しては「おばちゃん」と呼ぶんですよね。
まぁ子供らしい正直な発言だけど、誰もツッコまないのが可笑しかったです。

主人公カップルの男女が逆転していることに関しては、
日本で恋愛映画として撮るなら、その方が妥当かなと思いました。
オリジナルは恋愛映画というよりは、ファンタジーであり、
男性客も充分に楽しめるコメディ的な部分も多いですが、
本作は完全に韓流ドラマが好きな女性層をターゲットにした作品だし、
それなら、主人公もターゲットに合わせて女性にした方がいいに決まってます。
でも女性が死ぬという展開は、男が死ぬ展開よりも重たいですよね。
この変更だけで、オリジナルにあったコメディ色は完全に消えてしまいました。
主人公が女性になったことに伴い、犯人も女性に変更されることになりましたが、
やっぱり女性を何人も殺すことには抵抗があるのか、
ラストでオリジナルのように罪の報いを受けさせことが出来ず、
有耶無耶な形で幕を閉じてしまうのも、スッキリしませんね。
でも女性の幽霊なんて、なんだかJホラー的で、特に夜のオフィスのシーンなんて、
ちょっと不気味さもあって面白いと感じました。
せっかく日本でリメイクしてるんだし、『リング』の一瀬隆重制作なんだから、
松嶋菜々子をもっと貞子みたいにしてもよかったですね。

リメイクとしては残念な出来ですが、日本映画としては無難な出来。
これを国内で公開する分には問題ないけど、
日本の事情を知らない海外で公開するのはやめてほしいかな…。
もうアジア各国で公開されることが決まっているそうですが、
あんな名作に手を出すなんて、日本人は無謀でバカだと思われるんじゃないかな…。

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