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デイブレイカー

『トワイライト』シリーズのおかげで吸血鬼作品が世界中でブームみたいですね。
日本では『トワイライト』自体がそんなにヒットしてないために、そうでもないけど、
洋画ではハリウッドに限らず吸血鬼映画が多い気がします。
でも当然ですが吸血鬼ものなら何でも当たるわけでもないですね。
鳴り物入りで映画化された人気小説『ダレン・シャン』なんて、
壮絶なコケ方で、完結してないのに続編制作の見込みはもうないですもんね。
結局、吸血鬼映画がブームだと思っているのは供給側だけで、
消費者にとっては『トワイライト』がブームなだけなんですね。
なのでこのブームも最終作が公開になる再来年までですね。

ということで、今日は吸血鬼映画の感想です。
吸血鬼ブームはティーンが中心なので、R指定の本作はその恩恵を受けられず、
そんなにヒットしませんでしたが、内容は面白いです。

デイブレイカー

2010年11月27日日本公開。
イーサン・ホーク主演、近未来SFアクション・スリラー。

人類のほとんどがバンパイアと化した近未来、食糧源である人間の数は減少する一方だった。バンパイアは不老不死である代わりに、人間の血液を取り込まないと理性を失い凶暴化してしまう。そんな中、自らもバンパイアである血液研究者のエドワード(イーサン・ホーク)は、絶滅寸前の人間に危害を与えずに済む代用血液の開発に奮闘するが……。(シネマトゥデイより)



本作はゾンビ映画的な発想でつくられた吸血鬼映画です。
ゾンビ映画のアンデッドを吸血鬼に置き換えただけの作品はけっこう多く、
一番有名なところでは『アイ・アム・レジェンド』だと思います。
大体の場合、ゾンビ映画の方に比重がかかっていまい、
ゾンビ映画とジャンル分けされてしまうことが多いです。
本作は『アイ・アム・レジェンド』の世界観に影響を受けている気がしますが、
その世界観を吸血鬼映画として練り直し、考証を重ねたような、
世界観の設定が秀逸な作品です。
揚げ足を取ろうと思えば全く取れないわけではないですが、
この手の作品としては最高レベルに練り込まれた設定ではないでしょうか。

ある日、感染した人間が吸血鬼化する未知のウイルスが世界中に蔓延し、
またたく間に正常な人間と吸血鬼の人口比率が逆転。
社会は吸血鬼のものとなり、彼らの食料となる血液のために、
人間は捕獲され、家畜のように飼育、血液を搾取されるようになる。
しかし、人間は減り続け、2019年には全人口の5%以下に…。
吸血鬼社会は絶望的な血液(食糧)不足にみまわれることに。
巨大製薬会社に勤めるエドワード(イーサン・ホーク)は、
血液の不足を解消するために代用血液の開発を急ぐが、
それは飢える吸血鬼のためではなく、絶滅の危機にある人類を開放するためだった。
しかし、代用血液の開発は容易ではなく、日に日に血液不足は深刻化していく…。
そんなエドワードの前に、元吸血鬼のエルヴィス(ウィレム・デフォー)が現れる。
彼はある事故により図らずも吸血鬼から人間に戻った人間だった、という物語。

パンデミック系ゾンビ映画のような始まり方をする本作だけど、
本作における感染者は生ける屍のゾンビではなく、知性を持つ吸血鬼です。
普通に社会生活を送れる上に、不老不死である吸血鬼は、
ある意味では人間より高度な存在であり、人口が逆転してからはそれが一般常識。
人間は食料として管理され、ハイテク人間飼育マシンに生きたまま全裸で磔にされ、
死ぬまで血を抜かれ続けるわけです。
(このハイテク人間飼育マシンの悪趣味な造形がイイ!)
多くのゾンビ映画がそうであるように、本作も実社会の寓話的な要素があり、
この吸血鬼と人間の関係は搾取する人間と搾取される人間との関係や、
人間と家畜の関係にも見立てることができたり、
吸血鬼の増加による血液不足は、人口増加による資源不足を示唆するものでもあります。
でも多くのゾンビ映画と同じように、そんな社会風刺は味付けでしかなく、
基本的には娯楽的なB級映画なんだけど、この辺の設定がかなり練り込まれているため、
単なるB級映画とは切り捨てられない魅力を放っています。

吸血鬼の設定もいいですね。
ゾンビより高度な知性を持った吸血鬼ですが、吸血鬼は弱点が多いことでも有名です。
本作にはニンニクや十字架は出てこないものの、
心臓に杭を打たれたり、日光に当たると焼け死ぬのは一般的な吸血鬼と同じ。
本作は「日を遮断する者」というタイトル通り、日光がポイントなんですが、
吸血鬼たちが昼間動けないというのは社会生活する上で非常に不都合なので、
そのあたりをどう克服しているかという設定の細かさもユニークです。
その日光という弱点を逆手に取った処刑方法も斬新で、目からうろこが落ちました。
杭の設定も面白く、吸血鬼に突き刺すと爆発炎上するというド派手な殺し方。
おそらく銃弾は吸血鬼には効かないため、主要武器は杭を飛ばすボーガンなんですが、
矢に当たると爆死するので、ボーガンなのにナパーム弾みたいでカッコイイです。
ちゃんと描かなくても伝わる吸血鬼という既知の設定をうまく使っているところが、
設定がまちまちのゾンビ映画と違い、世界観が理解しやすく、受け入れやすいです。

本作オリジナルの吸血鬼の生態として、人間の血液を一定期間摂取しないと、
"サブサイダー"と呼ばれるコウモリの化け物に変異してしまいます。
手が羽のように変化し、コウモリのように天井からぶら下がることもできるし、
腕力や身体能力もアップするようですが、ガーゴイルのような醜い風貌になり、
自我を失い、ただただ血を求めるだけの完全な化け物になります。
理性的な吸血鬼社会にとっても治安を乱す迷惑な存在で、サブサイダーは排除されますが、
血液不足に伴い、血液が高騰し、血液が手に入らない吸血鬼も急増、
望まずもサブサイダー化する吸血鬼が増える一方で、深刻な社会問題になります。
これも、格差社会で貧困により治安が悪くなることへの風刺でしょうかね。
主人公の吸血鬼エドワードは人間に同情的な吸血鬼ですが、
そんな彼でも血を摂取しないとサブサイダー化は免れないわけです。
奇しくも『トワイライト』の主人公エドワードと同名ですが、
こちらのエドは草食系とはいかないようで、そこの矛盾も面白いですね。

今のところ設定の話ばかりですが、ストーリーも意外性があり面白いです。
エドは人間を解放するために代用血液の開発を急ぐのですが、
そんなのが簡単にできたら献血なんて必要ないわけで、開発は難航します。
しかし世界を救う唯一の手段と思われた代用血液の開発は実は最善の解決法ではなく、
元吸血鬼の人間に会ったことで、もっと抜本的な解決法があることに気付きます。
普通に考えたらその解決法は至極当然な解決法、吸血鬼社会の設定が秀逸で、
吸血鬼の立場から観ていたので、コロンブスのタマゴのように感じました。
この展開のもっていき方がうまいなぁと感心しました。
また、人間を助けるために、いい吸血鬼が悪い吸血鬼と戦うという
『ブレイド』や『トワイライト』みたいな暴力による解決ではなく、
あくまで研究者として人間を解放するという展開も、吸血鬼映画としては斬新です。
もちろんアクション・シーンもあります。
日光に弱いという吸血鬼の設定を生かした、けっこう派手なカーチェイスや、
R-15のゾンビ映画風な作品なので、体が千切れたりするグロ描写も多いです。
怖いということはないけど、急な音や映像でちょくちょくビックリできます。

ちょっと変わった吸血鬼映画として、かなり楽しめる作品だと思います。

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