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裁判長!ここは懲役4年でどうすか

裁判員裁判で初めて死刑が求刑された「耳かき店員殺害事件」ですが、
やはりというか当然というか、死刑判決は回避されましたね。
裁判員だって、どんな理由があれ自分が人の死に加担するなんて嫌なのが普通だし、
ましてや被害者も加害者も他人で、どんな凶悪な事件でも所詮は他人事です。
裁判員制度で死刑が言い渡されることなんて、今後もないんじゃないかなぁ?
ボクが裁判員に選ばれたとしても、まず間違いなく死刑には賛成しないはず。
別に死刑制度に反対なわけじゃないけど、自分は加担したくないから。
というか、死刑求刑に限らず、他人の人生に関わることだし、
裁判員なんて一生やりたくないです。

といことで、今日は裁判もの映画の感想です。

裁判長!ここは懲役4年でどうすか

2010年11月6日公開。
傍聴ブームを巻き起こした北尾トロのエッセイを映画化した社会派(?)コメディ。

三流ライター南波タモツ(設楽統)は、裁判映画の脚本を書くために生まれて初めて裁判所を訪れる。法廷ではアダルトビデオ万引犯や、思わぬ理由で友人を撲殺したまじめなサラリーマンなど、ワイドショー顔負けのスリリングな人間模様が繰り広げられていた。やがて、タモツは傍聴席で知り合った傍聴マニアの面々と共に行動するようになるが……。(シネマトゥデイより)



ボクはバナナマンが好きで、本作もバナナマン設楽が主演しているから興味持っただけで、
何の予備知識もなく観に行きました。(バナナマン日村も少しだけ出演してます。)
後から調べてみると、アングラ雑誌に連載されてたエッセイを映画化したものだとか…。
しかも映画に先んじて、向井理主演でテレビドラマ化されていたとは…。
『傍聴マニア09』というドラマらしく、なるほど微かに聞いたことがあるタイトルです。
向井理はこのテレビドラマと連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』でブレイクしましたが、
どちらも主演を変えて映画化されました。
どちらのドラマも見てないので断言できませんが、映画版の配役の方が絶妙だと思います。

何の予備知識もなく、タイトルから裁判ものであることはわかっていましたが、
まさか傍聴マニアを描いた作品だとは思いもよりませんでした。
傍聴マニアとは、他人の事件の裁判を傍聴することを喜びとするキモチワルイ人たちで、
人の不幸を娯楽にしている絶対に友達になりたくない連中です。
…という印象を本作から受けました。
そもそも傍聴なんて、関係者以外はマスコミや法学部の学生が仕事や勉強のために
仕方なく行くようなもので、まさかそれを楽しみにする人たちがいるなんて…。
しかも作中の傍聴マニアは、自分たちが傍聴することで、
判決に影響を与えたいと思っている人たちで、裁判員すら嫌なボクにとっては、
想像を絶する趣向を持った人種です。

そんな面白半分で裁判を傍聴している傍聴マニアを見かねた女検事(片瀬那奈)が、
自分の受け持つ事件を傍聴に来ていた主人公(バナナマン設楽)に、
「楽しいでしょうね。他人の人生を高みの見物して!」と強烈な皮肉を言いますが、
ボクもまさにその通りだと思います。
こいつら(傍聴マニア)と芸能リポーターだけは、マジで人間のクズです。
こんなの合法なストーカーですよ。
(ターゲットが一般人じゃないだけリポーターの方がマシかも。)
でも、絶対にこんな奴らに品定めされたくないから、絶対に逮捕されたくない、
絶対に裁判に出廷したくないという気持ちになれました。
もちろん被告人としてじゃなくて、裁判員として出席しても、
こいつらの好奇の目に晒されることに変わりはないので、裁判員にもなりたくないです。
裁判員制度が始まって、ケレン味溢れる裁判が増えたので、
傍聴マニアはさぞ嬉しいでしょうね。

この道10年のベテラン傍聴マニアのオッサン(螢雪次朗)が、
「傍聴は映画以上に面白い」みたいなことを言うんですが、映画ファンのボクとしては、
どちらが面白いかは置いといて、傍聴を映画と比較されたことにムカつきました。
たしかに傍聴マニアの気持ちもわかるんですよ。
ボクも映画を通して他人の人生を見るのは楽しいです。
ただそれは何のドラマチックさもない自分の人生がつまらないから、
映画でいろんな主人公の人生を疑似体験したいからであって、
傍聴マニアみたいに、他人の不幸な人生を見下してほくそ笑みたいからではないです。
映画の中にも『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』みたいな、
主人公の不幸な境遇を見て笑おうという趣旨のものもけっこうあるけど、
ボクはそんな作品は大嫌いです。
逆になぜそんな作品が大嫌いだったのか、本作を観てわかった気がします。
こういうことを喜ぶ人間がいることに虫唾が走るからですね。

という具合に、劇中の傍聴マニアには反吐が出ましたが、作品としては面白かったです。
主人公も映画の脚本を書くために取材として傍聴しているだけで、傍聴マニアではなく、
むしろ少し冷めた目で日本の裁判所のシステムや、異様な傍聴マニアたちを観察する、
常識人的な役柄で、観客の代表といったポジションでした。
その少し斜に構えた飄々としたところがバナナマン設楽のキャラにハマってて、
バナナマンファンとしても納得のキャスティングです。
『ソフトボーイ』の監督の作品なので、ラストはスカしてくることは予想してたんですが、
ちょっとスカすタイミングが早すぎたんじゃないかなぁ…?
狙ってやってるんだろうけど、積み上げた伏線を一気に無意味にしてしまうスカし方で、
もうちょっと客にカタルシスを与えておいて、その絶頂でスカす方が、
スコーンッと気持ちよく落とせると思うんだけど…。
『ソフトボーイ』でもそうだったけど、微妙に消化不良を感じるラストでした。

あと、どうでもいい話だけど、
このタイトルをチケットカウンターで言うのちょっと恥ずかしかったです。
館内アナウンスのおねえさんも恥ずかしそうでした。
そういえば劇中でも、検事がアダルトビデオの万引き事件の調書を読み上げるときに、
そのビデオの卑猥なタイトルを真面目に読み上げなければいけない場面を
滑稽に描くシーンがありましたが、その検事の気持ちに近いかも。

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