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クロサワ映画

世間ではあまり意識されてないようだけど、日本は世界第2位の映画消費大国です。
なのに日本には世界的に認知されているような権威のある国際映画祭がありません。
たぶん日本最大の国際映画祭は現在開催中の"東京国際映画祭"だと思いますが、
カンヌ・ベルリン・ヴェネチアの世界三大映画祭や、
モントリオール・ロカルノなど有名な国際映画祭などに比べると、
まだまだ足元にも及ばない存在です。
でもいずれ日本に権威ある国際映画祭ができる可能性はあると思います。
何しろ世界2位ですからね。
ただ国内でも一般注目度の低い東京国際映画祭がそうなるとは限らず、
他の国内の映画祭にも日本一の映画祭になるチャンスはあると思います。
その代表格はマスコミによって異様なほど推され、国内認知度は非常に高い、
"沖縄国際映画祭"ではないでしょうか。

ただこの沖縄国際映画祭、最高賞である金石獅賞を2年連続で邦画が受賞していて、
国際映画祭とは名ばかりの実態なんですよね…。
しかも2年目は協賛企業である吉本興業制作の映画が受賞してしまうという、
今年のヴェネチアのタランティーノ審査委員長もビックリの身内贔屓で、
国際的に見ると出品する甲斐がない映画祭だと思われても仕方ないです。

ということで、今日は第2回沖縄国際映画祭金石獅賞作品の感想です。
正直、コンペに出品された横並びを見る限り、最高賞でも納得の佳作ですが、
吉本興業は受賞、いやコンペ出品は自重するべきでした。

クロサワ映画

2010年8月1日公開。
吉本興業×フジテレビジョン制作のハートフル・ラブコメディ(?)。

森三中の黒沢かずこは、メンバーの大島美幸、村上知子に出遅れ、一人だけ女の幸せを逃していた。そんなある日、パーティー会場で黒沢のファンというイケメン俳優・渋江譲二が声を掛けてくる。降ってわいたような出会いに舞い上がる黒沢と渋江は急接近! 黒沢はアラサー独身女の代表という汚名を返上するかに見えたが……。(シネマトゥデイより)



吉本興業が沖縄国際映画祭の為にキー局5社と各一本ずつ5本の映画を制作した
「ヨシモト Laugh & Peace ムービーフェスタ」。
ホントは5作品とも観て、比較できたら楽しいだろうと思ってたんですが、
大阪の梅田ブルク7では5作品が日替わりで上映される形式だったために、
どうしても予定が合わなくて、結局TBSテレビ制作の『無知との遭遇』と、
フジテレビ制作の本作しか観ることができませんでした。
一気に公開しないで、ばらして公開してくれたら観易かったんだけど、
映画館側の都合を考えればそうもいかないかな?

マクラでも書きましたが、本作は第2回沖縄国際映画祭のグランプリです。
第1回のグランプリだった『鴨川ホルモー』もかなり面白い映画だったし、
単純に考えれば、他のムービーフェスタ4作品よりも面白いはずとは思ってました。
が、その反面、吉本興業とフジテレビのバラエティ班が、
女芸人・森三中黒沢を主演に撮った企画モノ作品ということで、
笑えるだろうけど、作品としてはそれほど高い期待はしてなかったのも事実。
しかし本作はそんな予想を一蹴してしまうほどの快作でした。

笑えるし感動もできるんですが、それ以上に予想外の展開に意表を突かれ、
これほどまでに制作者の「思うつぼ」にはめられたと感じた映画は久しぶりです。
しかも1作中でまんまと2回もはめられたのは本作が初めてで、
ここまで手玉に取られると痛快感があります。
う~ん、いつもどおりネタバレなしだとこれ以上のことは何も書けないので、
一応公開日からかなり経ってる映画だし、ネタバレしてもいいかな?

本作は女芸人の日常に迫った作品で、登場人物がほぼ全て実名(芸名)で登場し、
ちょっとドキュメンタリー風なつくりになったヒューマン・ドラマです。
今まで男性と交際したことがなく、恋愛に臆病になっている女芸人・黒沢かずこ。
ある日、自分のファンだというイケメン俳優・渋江譲二に声を掛けられ、
自分に対して好意的に接してくれる渋江に恋をしてしまいます。
渋江の方も満更ではない感じで、ふたりは次第にいい関係に…。
黒沢はなにしろ男性経験がないもんだから、恋愛に関しては超プラトニック。
さながら『君に届け』の黒沼爽子みたいな状態で、
その初々しさ清純さにキュンとさせられます。

そんなリアル版『君に届け』のような初めての恋愛模様が前半で描かれるのですが、
実はそれは黒沢をターゲットにした「ドッキリカメラ」の収録であり、
渋江は黒沢をだますために送り込まれた仕掛け人だったのです。
ボクを含め多くのお客さんはプラトニックなラブコメとして観てたので、
実はすべてドキッリだったというあまりの展開に唖然とさせられました。
渋江とのデート中、黒沢が勇気を出して一歩踏み出そうとしたところで、
オリエンタルラジオがドッキリのプラカード持って乱入してくるんですが、
その時の黒沢のリアクションがあまりにもリアルで、健気で切なくて可哀想で、
なんてテレビって残酷なことするのかと、劇場中まさかのドン引きですよ。
ホントにそんな恋愛がらみのドッキリ番組ってあるし、
ボクもいつもはそれにひっかかるタレントを面白がって見てたんですが、
それは仕掛け人側の視点であって、今回は完全にターゲットに感情移入して観てたから、
自分が疑似的にドッキリにかけられたような何ともいえない感覚でした。
(ドキュメンタリー風だっただけに、普通の映画よりも感情移入しちゃってたし。)
ものにもよるけど、もう今までと同じ気分でドッキリ番組見れなくなったかも…。

ドッキリだったとはいえ、自分としては初めての恋愛で、番組とは割り切れない黒沢。
「もう女芸人をやめたい」と森三中を飛び出すが、
そんな折、渋江が事故に会い、頭を強打して病院に入院したという知らせが…。
もう自分とは無関係と思い込もうとするも、居ても立ってもいられず病院に向かう黒沢。
そこには記憶喪失になり、自分のこともスッカリ忘れてしまった渋江が…。
黒沢は、そんな渋江を女芸人として彼を笑わすことで少しでも力になりたいと、
毎日のようにお見舞いに行くうちに、またしてもふたりはいい感じに…。
しかしそこに渋江の婚約者を名乗る女が現れて…。

…本作を観てない人でもお気づきでしょうが、これもドッキリです。
思い返してみると、なんで気付かなかったのか不思議で仕方ないんですが、
ボクも2度目もまんまと騙されてしまいました。
1度はめられたら警戒しそうなもんだけど、作品の構成が絶妙だったのか、
1度ひっかかったことで安心してしまったのか、
またしてもドッキリだったとは全く思いませんでした。
でもネタバラシされた後の衝撃は、さすがに2度目で免疫が付いていたのか、
そんなにショックは受けず、むしろうまく騙されたことへの爽快感がありました。

本作がこれだけ面白い作品になった要因のひとつは、宣伝にあると思います。
あまり宣伝されなかったこともあって、ほとんど予備知識なしに観れたために、
ドッキリというドンデン返しで素直に驚くことができたわけです。
最近の映画はわざわざ「衝撃のラスト」とかドンデン返しを予告しちゃって、
どんなラストでも驚くに驚けないということが多いですからね。
本作はあくまで女芸人の恋を描いたラブコメという情報しかなかったので、
それが功を奏したんだと思います。
本作はその概要から映画ファンにはイロモノと敬遠されそうですが、
2度はできないエポックメイキングな作品だと思うので、一見の価値はあります。
ただここを読んでくれた人は、もうドッキリだとわかってしまったので、
今から観てもそんなに面白くないと思います。

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