ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

雷桜

今年の邦画界は時代劇モノの当たり年ですが、
秋から年末にかけて公開される5本の時代劇作品を対象に、
「サムライ・シネマ」なるキャンペーンが行われています。
半券を集めて応募すると旅行ギフト券などが当たるそうです。
『十三人の刺客』『桜田門外ノ変』『雷桜』『武士の家計簿』『最後の忠臣蔵』と、
配給会社もバラバラだし、作品の傾向もバラバラの5作品が対象ですが、
どんな基準なのか、同じ期間中に公開なのに、なぜか『大奥』や『半次郎』は対象外。
たぶん『武士の家計簿』や『雷桜』よりもサムライらしい映画だと思うんですが…。

ということで、今日は「サムライシネマ」の対象作品の感想です。
ホントは観る予定はなかったけど、他の対象4作品は観るつもりだったので、
ついでに観ることにしました。あわよくば旅行ギフト券を…。

雷桜

2010年10月22日公開。
宇江佐真理の小説を基に、岡田将生と蒼井優を主演に迎えた恋愛時代劇。

母の愛を知らずに育った、徳川将軍・秀斉の十七男、清水斉道(岡田将生)。心の病にかかった斉道は、静養のため瀬田村へ向かうことに。道中、瀬田山の中腹で、落雷に撃たれたイチョウの根元に桜が芽をつけた奇妙な巨木、雷桜の下で、斉道は雷(蒼井優)と呼ばれる自由奔放な娘と運命の出会いを果たす。(シネマトゥデイより)



本作は各所で「日本版ロミジュリ」「時代劇版ロミジュリ」みたいに評されてますが、
ホントにそれ以外に何の印象も残さない作品でした。
『ロミオとジュリエット』は"悲恋といえばコレ"って感じの古典中の古典だし、
ロミジュリ風作品なんて今までに何度も何度も作られているわけだけど、
そんな古典的なストーリーを、どうアレンジして制作者の独自性を出せるかが勝負。
本作は日本の時代劇としてアレンジしているわけですが、
時代劇としての基本ができていないのか、全く時代劇らしくないです。
いうなれば、チョンマゲした人がいっぱいいる世界が舞台のファンタジーといった感じ。
なので、せっかくのアレンジが活きておらず、単なるロミジュリ風作品で終わってます。

身分の違い、立場の違いから、想い合っていても絶対に成就できない恋。
日本版のロミジュリを作るとして、封建的な社会システムだった
江戸時代以前を舞台に選ぶのは正しいし、面白くなる可能性は十分あったと思います。
ただ身元不明のターザン女と、江戸幕府の将軍の息子の恋というのは、
時代劇の常識から考えると、あまりにも突飛すぎて不自然です。
将軍の息子、清水斉道(岡田将生)は架空の人物でしょうが
この将軍は第11代将軍・徳川家斉らしいので実在した人物なわけで、
時代考証的にも「いくらなんでもそれはないだろ」と思ってしまいます。
せいぜい男の方は架空の藩の藩主くらいにしといた方がまだ現実味がありました。
他にも時代劇として設定・考証が甘すぎるところが散見され、
これではせっかく正しいと思われた舞台選びも台無しです。

物語としては、山育ちの天狗少女・雷(蒼井優)と斉道との恋愛に時間を割きすぎで、
他の人間関係を疎かにしすぎだと感じました。
封建社会の主従関係や家族関係というのも、時代劇では特に大切なことです。
雷の育ての親である浪人・理右衛門(時任三郎)が殺されるシーンや、
斉家の育ての親ともいえる家臣・榎戸(柄本明)が自刃するシーンは、
泣かせのシーンであると共に、雷や斉道の心境に大きな変化をもたらすことになる
重要なシーンであるはずなのに、このふたりの侍の背景が十分に描かれておらず、
雷や斉道にとってこのふたりがどれだけ大切な存在だったかも伝えきれてないため、
雷や斉道の心境の変化に共感しにくいし、当然全く泣けません。
特に理右衛門はそれだけで映画一本出来そうなくらい
ややこしい背景を背負っている登場人物のようなんだけど、
「ちゃんと知りたい人は原作読めば?」と言わんばかりの乱暴な扱いです。
なので、彼のライバルの間者(ピーター)なんて更に意味不明な人物になってます。
切腹した家臣の榎戸の方も、斉道への想いが主従関係以上のものには感じられず、
「なんでそんな最期になるの?」って拍子抜けしました。
あ、そういえば上映直後に登場した村人Aですけど、あの俳優って柄本明の息子ですよね。
他の作品でもたまに見かけて、やたら個性的な顔で誰かに似てるとは思ってたけど、
今回の共演ではじめて気が付きました。
柄本佑って人ですね。

とまぁ、ストーリー的にはあまりよろしくない作品で、
恋愛映画も時代劇映画も腐るほど上映されている中では、
中途半端な本作はかなり苦戦することになるのは明白です。
でも決して観るべきところが全くないわけでもなくて、
ヒロイン・雷役の蒼井優は魅力的に撮れてたと思います。
かなり体を張った演技にも挑戦しているので、ファンなら観る価値はあるかもしれません。
その相手役である斉道役の岡田将生もそこそこでしたが、
『告白』や『悪人』に比べるとインパクトに欠けるのと、
キレた殿様役では『十三人の刺客』の稲垣吾郎の怪演がまだ記憶に新しいので、
それに比べても更にインパクトに欠けるかな。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/376-be839ced
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad