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インシテミル 7日間のデス・ゲーム

昨日公開になった『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』ですが、
若手筆頭の映画俳優・藤原竜也を主演に、普段は商売敵である人気主演級女優の
綾瀬はるかと石原さとみのWヒロインというトロイカ体制で、
その共演者には、あまり映画に出演しない大女優の片平なぎさや、
大御所俳優・北大路欣也の他、人気若手タレントで脇を固めた豪華オールスター作品、
…と思っていたんですが、よくよく聞いてみると全員ホリプロ所属で、
豪華共演どころか、お手軽キャスティング作品だったみたいですね。
なんでもホリプロ50周年記念作品だかららしくて、身内縛りでキャスティングしたようで、
事務所内の力関係の影響か、エンドロールがキャリア(年齢?)順になっていて、
主演の藤原竜也が中盤にくるという普通ではありえない序列になってました。

他の芸能事務所も映画製作したりしてるけど、
これだけ自前のタレントだけで固めるのはなかなか珍しいんじゃないかな?
ちょっと事務所パワー使い過ぎで、なんだか閉鎖的な印象も受けますが、
一事務所だけで全キャストを調達できるのは、アイドルから俳優、芸人まで、
個性に富んだ人気タレントを数多く輩出しているホリプロくらいのもので、
率直にすごいと思います。

ということで、今日はそのホリプロ映画の感想です。

インシテミル 7日間のデス・ゲーム
インシテミル

2010年10月16日公開。
人気ミステリー作家、米澤穂信の同名小説を映画化した心理サスペンス。

時給11万2,000円という怪しい求人広告を見て、暗鬼館へと集まった男女10人。仕事内容は24時間監視されながら7日間を過ごすこと。そして、個室にはそれぞれ異なる凶器が置かれ、何も起きずに7日間経過するか、生存者が2名になるまで暗鬼館に残らなければならない。しかし早速2日目に銃殺による死者が出てしまい、彼らは疑心暗鬼に陥っていく。(シネマトゥデイより)



本作は古典的なミステリー小説をオマージュ的に、
パロディ的に描いたメタミステリーですが、
意外性を重視するミステリーというジャンルをメタ的に描くと、
意外性の逆を突くことになり、結局何の意外性もない作品になります。
ミステリー小説などを読み慣れている人はミスリードするかもしれないから、
逆に意外で新鮮な展開に感じるかもしれないけど、
そうでもない人だと、予想通りのことが当たり前に展開され、
それがさも意外であるかのように描かれていることに違和感を感じるはず。
結果、なんだか仰々しいだけで退屈な映画です。

舞台は10人の男女が集められた施設で、その中で1人の死体が発見される。
ミステリーなら9人の中に犯人がいると考えるのが普通で、
劇中の登場人物たちもそう考えるんだけど、
観客の多くは「この中に犯人はいない」と思うはずです。
なぜならその10人は心理実験の被験者であり、
その殺人は心理実験の一環として計画されたものという設定なので、
はじめから真犯人(黒幕)はその実験の主催組織とわかっているわけで、
ひとつひとつの殺人に対して、「犯人が誰か」なんてどうでもいいことです。
そこで登場人物と観客の間に大きな温度差が生まれて、
登場人物に感情移入できないどころか、バカバカしく感じてしまいます。

そもそも設定は密室でも生き残りをかけたシチュエーション・スリラーなのに、
それをクローズドサークル型ミステリーの体裁で描こうとしているわけだけど、
完全にベクトルの違うジャンルであるために、うまくバランスが取れておらず、
どっちつかずの微妙な作品に仕上がっています。
シチュエーション・スリラーとしては設定が緩すぎて危機感がないし、
クローズドサークル型ミステリーとしては人が死にすぎて推理の余地もありません。

そしてどちらのジャンルにしても、構成がいい加減すぎて現実味がないです。
まず登場人物たちが、特に理由もなく心理実験主催組織の思惑通りに動きすぎで、
この実験をホントに成立させるなら、主人公以外は全員組織の回し者じゃないと無理です。
実際に組織の回し者も紛れ込んでいますが、こんな緩い実験ルールだと、
その人が序盤で殺される可能性だってあるわけで、
実際にこの実験が行われたとしたら、不確定要素が多すぎて、
倫理面は置いとくにしても、絶対にありえないし成立しない物語だといえます。
なんというか、心理実験が舞台なのに、登場人物の心理面が蔑ろにされてるんですよね。
被害者も加害者も殺される理由も犯行の動機もなく、まるでゲームのコマ扱いです。
まぁそんなミステリーに必要不可欠な心理描写を取り去ったというところが斬新であり、
それゆえのメタミステリーなんですけど、少なくともこれはミステリーとはいえません。
かといってシチュエーション・スリラーとも言えないし、
もしカテゴライズするとしたら、SFじゃないかな?
ガードロボットなんて、完全にSFの産物だったし。

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