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死刑台のエレベーター

ハリウッド映画は、依然リメイクブームが続いていますが、
最近の傾向としては、意外とオリジナル脚本がランキング上位に並んでいるようで、
今年ヒットしたのはリメイク作品は『ベストキッド』と『タイタンの戦い』くらいで、
リメイクものは期待されるほど集客できてない気もします。
それでもまだリメイクものの方が安定感があるのか、
世界中からリメイク権を集めまくってますね。
日本からも近年噂になったものでは『悪人』『おくりびと』『感染列島』『鴨川ホルモー』
『告白』『デトロイト・メタル・シティ』『DEATH NOTE』『隣人13号』などなど…。
ほとんどは噂どまりだと思いますが、ちょっと話題になればすぐ唾をつけて、
ハリウッド映画はよほどネタ不足で困ってるんだと思ってしまいます。

しかし最近は邦画にもその傾向が…。
去年の『サイドウェイズ』はハリウッド映画『サイドウェイ』の逆リメイクですが、
今年はあの超有名な名作『ゴースト/ニューヨークの幻』を逆リメイクした
『ゴースト もういちど抱きしめたい』が公開されます。
なんだか最近は微妙な漫画や小説まで実写映画化されたりしてるし、
ネタ切れ感は否めず、このリメイクの傾向は今後もどんどん加速する気がします。
まぁオリジナルを謳ってる邦画でも、洋画のパクリってのはよくあるし、
ちゃんとリメイクを明言しているだけ、健全になっただけかもしれないけど…。

ということで、今日は仏映画の邦画リメイク作品の感想です。

死刑台のエレベーター

2010年10月9日公開。
ルイ・マル監督の名作サスペンス映画を、世界で初めてリメイク。

医療グループの社長夫人・芽衣子(吉瀬美智子)は若い医師・時籐(阿部寛)と愛人関係になり、年の離れた夫を自殺に見せかけ殺害することを計画。犯行当日、芽衣子は約束の場所で時籐を待つが彼は一向に現れない。芽衣子がいら立ちを募らせる一方、時籐はエレベーターの中に閉じ込められるアクシデントに巻き込まれていた。(シネマトゥデイより)



本作はフランスの巨匠ルイ・マル監督のデビュー作にしてサスペンスの金字塔と呼ばれる
名作映画を世界で初めてリメイクした日本映画です。
原作映画は有名な作品らしいけど、50年以上も前の作品で、しかもフランス映画なので、
ちょっと今まで見る機会がなくて、その存在すらまったく知りませんでした。
なので新作のオリジナル映画を観るくらいのつもりで観に行ったのですが、
きっとリメイクだと知らないお客さんでも、何かのリメイクだと気付くと思われるほど、
どこか古典的な印象を受ける作品でした。
悪く言えば「古臭い」です。

若い世代の知らないような古い名作をリメイクするのは意味のあることだと思うけど、
キャストを変えるだけじゃなく、舞台や設定を現代風に置き換えることが必要だし、
それでも原作映画の本質を曲げないようにするというのが、
リメイクを制作する人の腕の見せ所だと思うんですよ。
しかし本作は、邦画リメイクということもあり、
舞台や設定を日本化することは頑張っているんですが、
現代化することをほとんど放棄してしまっていて、
設定や展開に重大な時代錯誤を感じます。

まず主人公の男が閉じ込められるエレベーターですが、50年前ならいざ知らず、
安全設備が充実している現代日本のエレベーターでは成立しません。
なのでわざわざ古いビルをロケハンして辻褄を合わせようとしてます。
現代では誰でも当然持ってるケータイも50年前にはなかったものですが、
これも作品の展開上都合が悪い道具なので、登場人物は何らかの理由で
ケータイに出られないように演出されているのですが、どうにも不自然です。
さらに事件のカギとなるカメラも、現在主流のデジカメでは都合が悪く、
現像が必要なフィルム式でないとダメなので、それを使う普通の若い女の子が、
たまたまカメラに詳しいという設定にしてあるんですが、ご都合主義丸出しです。
しかし一番の問題は、科学捜査が当たり前の現代ではすぐに犯人がわかるような
ずさんな事件にもかかわらず、警察は指紋の採取すらしないで、
状況証拠のみで動くのには、さすがに無理があります。
という具合に時代錯誤だらけで、まったくリアリティがなくなってしまっているんですが、
設定を現代に合わせるのが面倒なら、わざわざ舞台を現代に変更しなくても、
50年前という設定で撮ればいいのに…、といった感じです。

「日本化することは頑張っている」と書きましたが、
実はそちらにも限界があり、原作映画の雰囲気を残したいためか、
舞台を横浜にしてモブキャラの多くを西洋人にしています。
そこまでしないと邦画リメイクできないような作品なら、
リメイクしない方がよかったんじゃないか、とさえ思えます。
ちょうど今、原作映画のニュープリント版の公開も始まっているし…。
もちろんそれは本作に便乗してリバイバル上映しているわけだけども、
そんな比較されるようなことされたら、本作の製作陣はたまったものじゃないですね。

ストーリーは社長夫人・芽衣子(吉瀬美智子)と、その愛人・時籐(阿部寛)が、
社長(津川雅彦)を殺す完全犯罪を実行するが、
犯行後に時任が乗った現場のエレベーターが停止して閉じ込められてしまうという話と、
若い巡査(玉山鉄二)とその彼女(北川景子)が、暴力団組長(平泉成)を
衝動的に殺害するという、ふたつの話が並行して進む形式です。
タイトルがタイトルだけに、エレベーター脱出の話がメインかと思いきや、
むしろ巡査とその彼女の若いカップルの逃避行の方が中心なような感じ。
だけどこの巡査が、キ○ガイかと思うほどのアホで、まったく行動原理がわからず、
主人公のひとりなのに、全然共感できないキャラなので、この話は面白くありません。
そんな男に惹かれるその彼女も、やはり共感できないので、どうしようもないです。
社長夫人の芽衣子は、出番も多く、ひとりのシーンやアップの多い、いい役ですが、
なぜそんな重要な役に吉瀬美智子が抜擢されたのかちょっと不思議。
彼女は美人だけど、脇を固める綺麗どころという感じで、主演の華がないです。
むしろその役は暴力団組長の情婦役のりょうの方が向いてる気がしました。
他の主演級3人(阿部寛、玉山鉄二、北川景子)はなかなか豪華なのに、
吉瀬美智子が看板だとあまりヒットを見込めそうにないです。

サスペンスは時代を色濃く映し出すので、
リメイクには向かないと感じさせてくれた作品でした。

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