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終着駅 トルストイ最後の旅

最近の映画の話題といえば、ヴェネチア国際映画祭とかモントリオール世界映画祭とか、
今真っ最中のトロント国際映画祭など、賞レース関係の話が多いですね。
トロント国際映画祭はアカデミー賞の前哨戦的な映画祭ですが、
今年度のアカデミー賞外国語映画賞の日本代表となる『告白』も上映されるようで、
北米の人たちからどんな評価が下されるのか楽しみです。

そろそろ各映画会社がアカデミー賞へ向けての臨戦態勢に入ってきたようで、
ちらほら気の早い予想なども目にするようになってきました。
ボクもアカデミー賞には注目してるので、早くもちょっとウキウキしてきましたが、
まだ去年のアカデミー賞の候補作もすべて観切れていません。
作品賞候補だった『A Serious Man(原題)』に至っては、依然日本公開未定で、
もう観るのを諦めたというか、観れなくてもいいかなって感じです。
夏になるとアカデミー賞候補作なんて、話題性の旬が過ぎちゃうから、
なるべく春までに公開してほしいもんです。
でもアニメ賞の候補だった『ブレンダンとケルズの秘密』は超面白そうで、
今でも観たくて観たくて仕方ないので、早く全国公開してほしいものです。

ということで、今日は旬が過ぎた去年度のアカデミー賞候補作の感想です。

終着駅 トルストイ最後の旅

2010年9月11日日本公開。
第82回アカデミー賞主演女優賞、助演男優賞にノミネートされた話題作。

ロシアの偉大な作家、トルストイ(クリストファー・プラマー)の妻(ヘレン・ミレン)は50年近く夫を献身的に支え続けてきた。その人生も終盤に近づいたころ、夫は弟子(ポール・ジアマッティ)と新宗教を興し、爵位も財産も捨てようとする。そんな折り、トルストイ信奉者の青年(ジェームズ・マカヴォイ)が助手として屋敷にやって来る。(シネマトゥデイより)



本作はロシアの文豪レフ・トロストイ(クリストファー・プラマー)の晩年の物語です。
ボクは作家とかに疎いんで、トロストイという名前も初めて聞いたし、
本作が実話をもとに作られているというのも知らずに観に行きました。
トロストイは『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』などを書いた作家らしいですが、
たしかにその作品タイトルは聞いたことがあるので、かなり有名な人みたいですね。
童話『イワンのばか』なんかも書いたそうで、それは幼い頃に読んだことがあるから、
もしかしたら知らず知らずに彼の作品に触れてるかもしれません。
トロストイは作家だけでなく、思想家、宗教家でもあったようで、
本作では作家よりも、キリスト教の一派、トロストイ主義の教祖といった印象です。

老い先短くなったトロストイは、自分の著書の版権や財産を手放そうとします。
彼の財産で贅沢な生活を送っていた妻ソフィヤ(ヘレン・ミレン)は大反対するが、
彼の弟子でトロストイ主義運動の指導者であるチェルトコフ(ポール・ジアマッティ)が、
布教のためには版権のフリーにするのが絶対不可欠だとして、
ソフィヤを天下の悪妻に仕立て上げて、トロストイと仲違いさせようと画策します。
という感じの、遺産相続をめぐる身内の見苦しい争いの話です。

ソフィヤはソクラテスの妻やモーツァルトの妻と並んで世界三大悪妻に数えられる悪妻。
だけどそれは彼女のことを目の敵にしている弟子たちによって広められたイメージで、
ホントは夫のことを愛し、家族を守ろうとする情の深い女性だった、
という視点で描かれています。
弟子たちは熱狂的なトロストイ信者の青年ワレンチン(ジェームズ・マカヴォイ)を
トロストイの秘書として送り込み、悪妻ソフィヤを監視させようとするが、
実際に会ったソフィヤは悪妻とは程遠い人間的な女性で、
ワレンチンは信者の中で孤立無援になっている彼女に肩入れするようになります。
実際の彼女がどんな人物だったかは知らないけど、
トロストイの代表作は彼女の献身のおかげで書き上げることができたようなので、
財産については彼女の主張は正しいと思いました。

さらにワレンチンは、トロストイも世間で思われているほどの清廉潔白で、
虫も殺さないほどの聖人ではなく、人間的な人物であることを知り、
彼を聖人君子みたいに虚飾しているトロストイ運動に疑問を持ちます。
宗教なんてもともと誰でも持ってる倫理観を体系化しただけのものなのに、
後からどんどん虚飾されて、本質が曲げられてしまうんですよね。
ボクは宗教大嫌いだけど、釈迦やキリストやムハンマドの教えは間違ってないと思います。
しかしそれが虚飾され、拡大解釈され、どんどん分派して、
布教合戦のために権力を誇示し始め、数の暴力で政治に介入、
挙句の果てには神の名のもとに宗教戦争ですよ。
トルストイの教えが正しいかはわかりませんが、側近の弟子でさえ彼の教えを捻じ曲げ、
彼を聖人君子として奉り、布教に利用しています。
やっぱり宗教なんて、その内容よりも組織を大きくすることが目的で、
ロクなもんじゃないです。

偉人の伝記として以外に何かテーマがあるわけでもなさそうで、
トロストイに興味ある人以外が観ても仕方ない映画だと思いました。
いろんな賞の俳優部門にノミネートされているようで、
俳優の上手い演技を観るということでは意味があるかな?
ただ結局ノミネート止まり、無冠で終わってしまったようですが…。

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