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キャタピラー

今日は終戦の日ですね。
太平洋戦争敗戦から65年というちょっとした節目の年であり、
ついでに韓国併合100周年ということもあってか、
テレビ番組や報道でも太平洋戦争の特集が例年より多い気がします。
太平洋戦争なんて苦々しい印象しかないし、正直当事者意識なんてサラサラないので、
鬱陶しいことこの上ないですが、鬱陶しいついでに戦争映画観てきました。
二日で3本の戦争映画を観ましたが、1本は太平洋戦争で、2本はイラク戦争です。

その2本のイラク戦争の映画は『特攻野郎Aチーム』と『ヤギと男と男と壁と』で、
どちらもハリウッド映画のコメディですよね。
イラク戦争は大義のない侵略で、『ハート・ロッカー』まではイラク戦争に触れるのも
タブーみたいな感じだったんですが、すっかり禊ぎを終えたと思っているのか、
ついにコメディ作品まで作られるようになったんですね。
ハリウッドはどんな戦争でもコメディにしちゃってるけど、
太平洋戦争はだけはほとんど無い気がします。
第二次世界大戦はいっぱいあるけど、太平洋戦争だけはほぼ無いです。
コメディに限らなくても有名なものは『パール・ハーバー』と、
『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』の連作だけじゃないかな?
(太平洋戦争の映画は日本の反戦映画と中国の抗日映画ばかりです。)
やはり原爆投下は未だに引け目に思ってるのかもしれないですね。

ということで、今日はせっかく終戦の日なので、日本の反戦映画の感想です。
イラク戦争の2本は明日以降に書きます。

キャタピラー

2010年8月14日公開。
江戸川乱歩の短編小説『芋虫』をモチーフにした反戦映画。

勇ましく戦場へと出征していったシゲ子の夫、久蔵。しかし戦地からシゲ子(寺島しのぶ)の元に帰ってきた久蔵(大西信満)は、顔面が焼けただれ、四肢を失った姿だった。多くの勲章を胸に、「生ける軍神」と祭り上げられる久蔵。シゲ子は戸惑いつつも軍神の妻として自らを奮い立たせ、久蔵に尽くしていくが……。(シネマトゥデイより)



マクラ部分では本作を"終戦の日にちなんで観た"かのような書き方をしましたが、
実際はそんな理由で観たわけではありません。
本作で主演の寺島しのぶが、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞したということで、
今年度の日本アカデミー対象主演女優賞もほぼ確定されたし、
話のタネとして観ておいた方がいいかなという軽い気持ちです。
軽い気持ちで観たのはいいけど、普段は娯楽映画専門のボクにはちょっと重い内容…。
原作である江戸川乱歩の小説『芋虫』は知っていたので、
残酷物語的なエログロは覚悟してましたが、
まさかここまでメッセージ性の強い露骨な反戦映画だったとは…。
ボクは戦争はいかなる場合でも肯定できないと思ってることは当然として、
太平洋戦争に関しては被害者意識も加害者意識も一切ないので、
ここで太平洋戦争についてどうこう言うつもりはないです。
なのでちょっと不謹慎なこと書くかもしれませんがお目こぼしを…。

前述の通り本作は江戸川乱歩の『芋虫』が原作ですが、もうひとつ、
ドルトン・トランボの反戦小説『ジョニーは戦場へ行った』も原作なんだそうです。
後者の方は全く知らないので何とも言えませんが、テーマは後者の影響が強いのかな?
『芋虫』は残酷物語と書きましたが、少なくとも反戦がテーマではありませんしね。
苦痛や快楽や人間の業を描いたキワモノ娯楽小説だった気がします。
テーマは全く違うのに、大筋は『芋虫』とほぼ同じなんですよね。
でもテーマが違えば印象も違うし、もはや江戸川乱歩の『芋虫』とはいえず、
クレジットからも江戸川乱歩や『芋虫』は外れてしまったようです。
(ボクは残しておくべきだと思いますが…。)

顔は焼き爛れ、四肢を失った無残な姿で戦地から帰還した夫・久蔵(大西信満)に
絶望する妻・シゲ子(寺島しのぶ)であったが、
陛下から勲章をもらい生還した久蔵は「生ける軍神」として祀り上げられ、
そんな久蔵を献身的に世話するシゲ子も貞淑な妻の鑑として讃えられるようになると、
シズ子は自らの犠牲的精神に恍惚を感じるようになります。
このあたりの展開は『芋虫』と同じですが、それでは反戦にならないので、
本作では後半再び自分や夫の境遇に対するシズ子の葛藤が大きくなってきます。

と同時に原作にはなかった久蔵の戦争によるPTSDが描かれ、戦争の悲惨さを訴えます。
PTSDというか、戦場で自分がやってしまったことに対する後悔かな?
はじめのうちは勲章や自分を称賛する新聞記事は誇りだったけど、
自分が戦場でやったことで称賛されるようなことは何一つなく、
ただそんな無残な姿で生還したことで「生ける軍神」として崇められているだけ…。
そんな姿になった原因だって褒められたものではありません。
戦争によって得られるものに、称賛に値するものなんて何もないってことですね。
久蔵は原作通り自殺するんですが、妻が原因で自殺する原作と違い、
この心境の変化がが自殺の理由になっているんですね。
これだけでもかなり印象が変わってきます。
もしかしたら、ただ敗戦したことが原因かもしれないけど…。
原作は日露戦争だったから敗戦してませんもんね。

銀熊賞の寺島しのぶですが、体当たりの演技で納得の受賞だと思いますが、
う~ん…、彼女のせいじゃないけど、ちょっと脱ぎすぎじゃない?
畸形の夫と夜伽しなきゃいけないってのは、映像的にもかなりショッキングだし、
戦争による結果の悲惨さを伝えるのには絶好の演出だけど、
2桁ちかい回数の夜伽シーン見せられたら、正直慣れてきて、悲惨さも薄れます。
見せる順番もおかしくて、普通はまずは食事の世話とか軽いジャブから入って、
ココイチでガツンと夜伽シーンでしょ。
なのに急に下の世話からですからね。
そりゃ初めの衝撃はその展開が一番強くなるとは思うけど、あとは右肩下がりです。
回数も多すぎるし、監督はただ寺島しのぶを脱がしたいだけかと勘繰ってしまいます。
そんなとこだけ江戸川乱歩の小説の官能性を取り入れてみたとか?
寺島しのぶは「脱いだことばかり話題になる」と何かの雑誌で憤っていたけど、
この演出ではそれも仕方ないと思います。
文句を言うなら若松監督に言った方がいいです。

最後に主題歌として元ちとせの歌「死んだ女の子」がたっぷりと聴かされますが、
この歌はどうやら広島原爆がテーマのようで、
本作のテーマとはかなりズレてると思いました。
というか、ホントは原爆のことが描きたかったんじゃないかという気がしました。
本作は実際のところ、反戦という漠然としたもの以外、
何がテーマだったのか、かなりボヤけてる気がします。
どう感じたかは観客に任せる、といった感じでしょうか?

それにしても劇場が満席で立ち見までいるのはビックリしたなぁ。
そのほとんど年配の人で、若い人はあまりいませんでした。
ボクは早めに座席購入していたのでなんとか座れましたが、
ボクの3倍以上の年齢の人が立ち見してるのに座席に座ってるってのは、
なかなか良心に突き刺さるものがありますね。
かといって譲る勇気もないし…。
もっと拡大公開すればいいのに…。

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