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ヤギと男と男と壁と

今日は一昨日宣言した通り『ヤギと男と男と壁と』の感想を書きますが、
この作品の邦題、千原ジュニアがテレビ番組の企画で付けたらしいです。
原題が『The Men Who Stare at Goats(ヤギを凝視した男たち)』という、
ちょっとシュールすぎるタイトルなので、邦題つけたくなる気持ちもわかりますが、
関西芸人が大喜利で詰まった時に答えそうな、残念な邦題ですね。
配給会社も命名を依頼したものの、さぞガッカリしたことでしょう。
配給会社は話題集めのために良かれと思って依頼したんでしょうが、
「千原ジュニアが命名したから観る」なんて動機の人はまずいません。
それどころか、そんなことをしてまで話題作りしなきゃいけない程度の
作品なのかと思われても仕方ない企画です。
そんなことよりジョージ・クルーニーとユアン・マクレガーの豪華W主演てことを
もっとアピールした方が宣伝として効果的だと思うんだけど。

最近、芸能人やテレビ番組とコラボして商品開発する企画が多いけど、
企業は斬新なアイディアやハイセンスなものを求めて依頼してるんでしょうが、
大概、無難なものや期待ハズレなものになりますよね。
まぁ商品は期待ハズレでも地上波の番組ならかなりの宣伝になるだろけど、
本作はCSのマイナーな番組ですからね。
残念ながら、微妙な邦題によるマイナス効果しかないと思います。

ということで、今日はタイトルがすべってる映画の感想です。
でも物はいいんで、是非いろんな人に観てもらいたいです。
鑑賞料の一部が千原ジュニアのロイヤルティになると思うと腹立つけど…。

ヤギと男と男と壁と

2010年8月14日日本公開。
ノンフィクション「実録・アメリカ超能力部隊」を基に描く娯楽作。

2003年、新聞記者のボブ(ユアン・マクレガー)は、妻が浮気相手の元に去ったのをきっかけに、イラク戦争の取材に赴く。彼はイラク入国のため待機していたクウェートのホテルでリン(ジョージ・クルーニー)と出会う。リンはその昔、闇に葬られたアメリカ軍の超能力特殊部隊“新地球軍”に所属していたと語り……。(シネマトゥデイより)



本作の主人公である新聞記者が書いたノンフィクション本を映画化した作品です。
取材を兼ねてアメリカ超能力部隊の男と共にイラク入りした新聞記者の見聞録。
…という体裁で描かれた作品です。

新聞記者のボブ(ユアン・マクレガー)は、ひょんなことから、
自称アメリカ超能力部隊の男リン(ジョージ・クルーニー)と出会う。
ボブは超能力を信じているわけではないが、好奇心と記事にしたいという功名心から、
極秘任務でイラク入りするというリンに同行取材することにした。
リンが語るアメリカ超能力部隊の驚愕の実態を聞きながらイラクを旅する2人。
道中いろいろな困難に見舞われながらも、ついに目的地にたどり着くが、そこには…。
といった感じの物語で、内容の半分はボブがイラクで体験したことだけど、
もう半分はアメリカ超能力部隊についてのリンの回想が占めています。
この回想部分は自称超能力者のリンの証言でしかないため真偽不明です。
透視や遠隔視、ヤギを眼力で殺したなど俄かに信じ難い活動内容が語られますが、
リンが嘘をついているようには見えず、不思議と真実味を感じさせます。
道中もリンの超能力(?)により酷い目にも合うが、大局的にはよい方向に転び、
はじめは取材のために真に受けた素振りをしていただけのボブも次第に…。

作品としても特に超能力を否定するわけでも肯定するわけでもなさそうです。
ただ未だに真面目に超能力部隊が活動しているバカバカしさを笑うコメディなので、
基本的には超能力を嘲笑する作品ですよね。
でも妙なリアリティもあるので、超能力やオカルトを信じてる人は、
本作のアメリカ超能力部隊の実態に素直に驚けるかもしれません。
普通の人はリンの回想の部分はさすがに真に受けないとは思いますが、
ボクはリンの回想だけじゃなくて、ほぼすべてが創作されたものだと思います。
原作がノンフィクション本ということ自体がフェイクじゃないかな?
まぁそれには何の根拠もありませんが…。

本作は超能力に対してだけでなく、戦争に対してもシニカルに描かれています。
超能力部隊が結成時の構想は「敵を武力で傷つけることのない愛と平和の軍隊」、
遠隔視による諜報活動や、心理的な手段で武力衝突を回避する平和的軍隊です。
それがある男の陰謀により、超能力で敵を殺傷することを目的にした、
非人道的な軍隊にと変革されていきます。
愛と平和を愛する超能力者リンは、その事態を憤り、ひとり立ち上がる。
…という話で、ちょっとした反戦映画でもあると思います。
イラクの一般市民との交流や、戦地でのアメリカの民間人の横暴なども描かれていて、
ただ笑えるだけのコメディではないところが興味深いです。

リンは平和を愛する超能力戦士である自分を"ジェダイ"と称し、
超能力部隊が平和的軍隊から非人道的軍隊に変貌する様子を
"ダークサイドに堕ちる"と表現しています。
もちろん元ネタは『スターウォーズ』です。
そんなことをリンから言われて、困惑気味のジェダイ・マスター、
オビ=ワンことユアン・マクレガーが面白いですね。
このネタがやりたいがためにキャスティングされたんでしょうね。
他にも"アンジェラ・ランズベリー"や"ウォルト・ディズニー"など、
映画やドラマのオマージュネタがちょこちょこあります。

それにしても超能力部隊なんてのがホントに存在したら最強でしょうね。
でもそんな最強の部隊がこの世に存在したなんて事実は一切ないわけで、
それは超能力なんてものが存在しないことのひとつの証明だと思います。
一時期話題だった超能力捜査官マクモニーグルのような遠隔視にしても、
マルチプルアウト、レトロフィッティングという占い師がよく使う手口です。
超能力師も占い師もただのペテン師なのに、それを信じてしまう人って多いですよね。
それも権力者やお偉いさんほど信じてしまう傾向があるみたいで、
だからアメリカ超能力部隊も絶対にありえないとは断言できない、
というか実際にあるんじゃないかなと思ってしまうんですよね。
まぁ自称超能力者の使う心理トリックも、なかなか習得できるもんじゃないし、
信じやすい人が多い以上、実戦でも有効なのは間違いないので、
そんな特殊部隊があっても不思議じゃないかな?

余談ですが、本作でボブは一発当てようと戦場ジャーナリストになるわけだけど、
最近テレビで人気の戦場ジャーナリスト(カメラマン)渡部陽一さんって、
本作に邦題を付けた千原ジュニアが発掘したようなものらしいですね。
渡辺さんは喋り方が独特でおもしろいキャラだけど、
バラエティ番組に呼んで戦場のエピソードを話してもらってみんなで笑うってのは、
ちょっとモラル的にズレてる気がします。(ボクも笑っちゃうんだけど…。)
あんな感じだと戦争の現状が歪曲して伝わっちゃうんじゃないかなぁ?

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